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魔王の姫達と魔王候補達

突如、魔方陣に囲まれ大成は助かった。

だか、知らない少女の声が聞こえ、魔方陣が輝き大成は姿を消した。

【異世界・魔人の国・ラーバス国・ラーバスの屋敷】


(…僕は、いったい…)

大成は、意識が朦朧とする中…。


「おい、なぜ人間が混ざっているのだ!?」

「術式が、間違っていたのですかね?」

2人の男の声がする。


「ローケンス様、少し落ち着いて下さい。それにニール様、魔法陣を見ましたがミスはしていませんでした」

今度は、聞き覚えのある幼い少女の声がした。


(どこかで、聞いたことのある声…。)

倒れている大成の手がビクッと動く。


「なら、説明しろ!ウルミラ!なぜ、人間が混ざっているのだ!こんなことはありえないだろ!」

「そ、それは、その…」

荒れるローケンスと、困惑してオドオドしているウルミラ。


騒いでいるのが鮮明に聞こえてくる。



そんな中、ドアが開く音がした。

「静まりなさい!ジャンヌ様の御前ですよ!」

別の女性の声が響いて、周りが静かになった。




意識を取り戻した大成は目を覚まし、すぐに起き上がり臨戦態勢をとった。


「ここは何処だ?」

(今まで、外に居たはずなのに、どうして室内にいるんだ?)

大成が、今、立っている場所は外ではなく部屋の中だった。


室内は広く、白い壁に大きな窓が沢山あり朝の日射しが入って明るかった。


驚きを通り越して混乱した大成だったが、特殊部隊での経験で、すぐに冷静になり周囲の警戒と逃走ルートを考え始める。




部屋の奥に男性が2人、少女が2人、女性が1人おり、大成の足元には巨大な魔法陣が描かれていた。


隣には、大成と同じく召喚されたと思われる男性と老人と怪物1体が倒れている。


大成は、倒れている怪物を見てコスプレなのかなと思った。


「ほう、なかなか良い判断をするな人間。フッ、冷静だな」

髪と瞳が青色で肌黒い男性のローケンスが、手で顎を触りながら興味気に大成を見る。



その時、大成の横に倒れていた3人も目を覚まし、ゆっくり上半身を起こしながら頭を押さえて左右に振って周りを見渡した。


そして、一番奥にいた少女が一歩前に出た。


「強き者、魔王の器がある者達よ!私は、この国ラーバス国の姫、ジャンヌ・ラーバスと申します。こちらの都合で、突然に召喚したことは申し訳ないと思ってます」

ジャンヌは、髪の毛は黄色、瞳は青色でキリッとしており、スタイルの整った少女だったが、少し暗い表情で謝罪をした。


「おい!勝手に俺様を召喚しやがって!貴様ら、俺様を誰だが知っているのか?俺は魔剣王・グランベルクと呼ばれ、世界を恐怖で支配している魔王だぞ!」

大成と同じく召喚された男・グランベルクは、腰にかけていた剣を右手で握り抜刀して剣先をジャンヌに向けた。



「おのれ!貴様、ジャンヌ様に剣を向けるとは!」

激怒したローケンスは、背中に掛けている大きな大剣を抜いてジャンヌの前に出る。


他の者達は、グランベルクを警戒しながら殺気を放つ。


「落ち着きなさい、ローケンス。それに皆も」

ジャンヌは、慌てて止める。


「しかし…」

言いかけたローケンスだったが、ジャンヌに睨まれ再びジャンヌの隣の位置に戻った。


「では、初めに自己紹介と召喚した理由を説明します」

ジャンヌは、話を進めて説明した。




ローケンス達は、この国の魔王直属幹部【ヘル・レウス】メンバーだ。

男性メンバーはローケンスとニールの2人。


ニールは、髪と瞳はシルバーで優しい顔の老人で執事の印象だった。


女性メンバーは、ウルミラとシリーダの2人。


シリーダは、髪と瞳が紫色で背が少し高く巨乳で妖艶な雰囲気を醸し出していた。


ウルミラは、ずっとオドオドしている幼い少女で背中まで伸びた髪の毛と瞳は水色でどこか姫であるジャンヌに似ていた。



前は、ヘルレウスメンバーは合計15人いたのだが、3年前に人間の国が召喚した勇者に倒されて、今は4人にまで減少していた。




(あれ?お姫様とウルミラには、どこかで会ったことがあるような?ないような?気のせいかな?)

大成は気になったが思い出せず、結局、気のせいだと割り切った。


召喚されたのは大成、グランベルク、ルーニング、ガディザムの4人。


ルーニングはスキンヘッドで魔導師の格好した老人で、ガディザムはトカゲみたいな顔で上半身が大きく筋肉質だった。



召喚した理由はジャンヌの父である魔王が勇者に倒され、他国との力のバランスが崩れたからだ。


その崩壊は止まることなく、魔人の国は魔王がいた頃はラーバス国が中心となっていたが、魔王が討伐されことで次第に魔人の国はバラバラになり、今ではあっちこっちで自称で魔王を名乗っている者が多くなっている状況なっていた。


なので、3ヶ月後に魔王を名乗っている者達などを集め、決闘して本当の魔王を決めることになったのだ。


今いるローケンス達だけでも優勝する可能性は十分あるのだが、勇者に対抗するためにやむ得ず異世界から魔王候補として大成達を召喚したのだった。


「なるほど」

話を聞いた大成は顎に手を当てて納得した。


「ねぇ?ところで、あなた」

シリーダは、大成に視線を向ける。


「僕ですか?」

自分を指差す大成。


「そうよ。どう見ても、あなたは人間よね?」


「はい、そうですけど。何か?」


「あの、ジャンヌ様。この子、あの勇者と同じ人間です。召喚に選ばれたということは、内に秘めている潜在能力が高いと思いますので、今ここで殺した方が良いかと思いますが」

シリーダの意見で、ジャンヌとヘルレウス達は特に気にしていなかったが、騎士団は一斉に殺気を放ち、シリーダはジャンヌの判断を仰ぐ。


(あれ?僕、地球でも異世界でも殺される運命?)

大成は、苦笑いする。


ウルミラがオドオドしている中、ジャンヌは瞳を一度閉じて開き前に出る。


ウルミラはジャンヌの護衛として前に出ようとしたが、ジャンヌが右手を出して止めたので心配した表情で見守ることにした。


ジャンヌは大成に歩み寄り、両手で大成の頬に触れた。



「大成、あなたに尋ねます。あなたは魔王になった場合、私達を裏切りませんか?そして、この国をどうしたいのですか?」

真っ直ぐ大成の瞳を見て、質問するジャンヌ。


「…。裏切られない限りは裏切らないし、悪事には手を貸さないつもりだ。この国をどうするとかは、突然すぎてわからない。でも、せっかく異世界に来たから国が安定したら他国を旅をして見て回りたいかな」

大成も、ジャンヌの瞳を真っ直ぐ見て答えた。


「わかりました。大成、あなたを信じましょう」

ジャンヌは、笑顔で頷き納得した。


その笑顔に見とれた大成は頬が少し赤く染め、お互い見つめ合っていた。


「ゴホン、お取り込み中のところ、すみません。話を進めませんか?」


「えっ、わっ、わかっているわシリーダ。ゴホン…」

シリーダに指摘されたジャンヌは、顔を真っ赤にし慌てて離れて体裁を取り繕ろうとするが上手くできなかった。


「そ、それで、3日後に祭りがあります。その日に、この国ラーバス国の代表を決める大会をする予定ですので参加して貰います。他に何か質問とかありますか?」

ジャンヌは、大成達魔王候補達を見渡した。


「では、頼みたいことがある。まだ早いが夜を共にする女をよこして貰おう。そこのシリーダという女が良いな。それか、お前かウルミラでも構わんぞ!ククク…」

「ホホホ」

「イイナ、ソレ」

グランベルグはニヤついてジャンヌ達を見て、ルーニングとガディザムも下品な笑い声で賛同する。


「誰が、あんた達なんかと!」

「もう、我慢ができん!」

シリーダとローケンスは激怒して前に出り、ウルミラはオドオドしており、ニールと騎士団は黙っていたが殺気を放ちながらグランベルク達を睨んでいた。


「2人とも落ち着きなさい。グランベルク、そういうのは魔王になってからです」

皆を落ち着かせたジャンヌ。


「フン、つまらん。まぁ、良い。魔王になれば、この国を好きにできるのだな?なら、期待して待っとけ!あと、ここに居ても、つまらないから大会の日まで町で過ごす。だから、大金をよこせ!」

グランベルグは左手を前に出し、ルーニングとガディザムも町で過ごすことにした。


「僕は、町を見に行きたいだけなので、ここに戻ってきます」

異世界の町に、大成は興味があった。


「わかりました」

ジャンヌは頷き承諾する。

町で問題を起こさないように監視役として、ヘルレウスメンバーが同行することになった。


「では、これで解散とします」

最後にジャンヌが、話を閉めた。

次は、大成とジャンヌとウルミラの三人で町を見に行く話です。


もし宜しければ、次回もご覧頂けたら幸いです。

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