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集結と会談

実力を示した大成達は、無事に同盟に相応しい相手だと伝えることができた。


【エルフの国・首都エレクト】


盛り上がった宴が終わり、翌朝、大成達はトネル達と一緒に馬車に乗って森の外で待機している獣王や魔王達と合流するために出発しようとしていた。


用意されたそれぞれの各馬車には鍛え抜かれた大きな体と立派なたてがみ、大きな白い角が生えているペガサス2匹が繋がれていた。


「では、出発だ!」

「「オォ!」」

アルメリアの指揮で各馬車と騎馬隊達が声をあげるとホーリー・ペガサスとペガサス達は足元に風を纏い空へ駆け出す。




【馬車の中】


「わぁ〜!大成さん!姫様!見て下さい!とても綺麗です!」

普段は冷静なウルミラなのだが、上空からエルフの国を見て感動しており珍しく興奮していた。


「そうね、とても綺麗だわウルミラ。ところで、栞。森の外に出るのにどのくらいの時間が掛かるの?」

ジャンヌはウルミラに笑顔で答えると、すぐに栞に振り向いて質問した。


「私達やトネルさん達が乗っているから大体3分程度よ。戦闘で戦う場合は直に騎乗したり乗り心地とか考えないから20秒も掛からないわ。それより、大成。あなたは何を考えているの?会談のこと?」


「いや、初めてペガサスを見たから。ちょっとね」


「大成、この馬車を引いているペガサス達はただのペガサスじゃないのよ。ホーリー・ペガサスと言ってペガサスの上位種なの。周りの護衛役の騎馬隊が乗っているのが普通のペガサスよ、角も生えてないし体も一回り小さいわ」


「へぇ、そうなんだ。今度、じかれてみたいな」


「大成、まさかとは思うけど解体して調理するつもりなの?そういえば、馬刺しが好きだったわよね」


「ち、違うよ!ただ珍しい動物?いや、魔物?だからさ。まぁ、確かにペガサスも馬だから馬刺しにしたらどんな味がするのか食べたい気持ちは少しはあるけど、少しだけだよ」


「やっぱり、あるのね…」


「大成、あなた…」


「大成さん…」


「だ、だけど、ほんの少しだけだから」


「彗星、ほんの少しとか関係ないから。あるだけで私達は引いているのよ」

ジャンヌ達は、冷たい視線を大成に向ける。


「フフフ…私も初めは大成と同じで、どんな味がするのか少しは気になったわ。でも、触れ合っているうちに愛着が湧いたの。それに残念だけど、ホーリー・ペガサスや普通のペガサスは警戒心が強い魔物よ。ここにいるホーリー・ペガサスやペガサスは子供頃から育てているから私やエルフ達なら触れることができるけど、知らない人が触れようとしたら蹴られるか威嚇されるか逃げたりするわ。だから、ホーリー・ペガサス達は魔力感知能力が高いからあなたが馬車に乗ろうとした時、ホーリー・ペガサスや近くにいたペガサス達も怯えていたじゃない。気付いていたでしょう?」

栞は、口元に手を当ててクスクスと笑いながら大成達に説明した。


「怯えていたことには気付いていたけど、そういうことだったんだ…。それにしても、本当に魔力感知がズバ抜けているな。完全に魔力を抑えているのに気付かれていたとはね」


「まぁ、そう気を落とさないで。私も初めての時は恐がれたけど、2年ぐらい一緒にいたら仲良くなったから。大成も気長にね。仲良くなったら、すぐに馬刺してご馳走してくれるのを期待しているわ」


「いや、もうそのネタやめて欲しいんだけど栞」


「「フフフ…」」

栞だけでなく、ジャンヌ達も笑った。


それから、森の外へと出るまで大成達は楽しく雑談をした。



【エルフの森の外】


森の外では、魔王がソワソワしており時計回りに円を描きながら歩いていた。


「ジャンヌとウルミラは、大丈夫なのか?やはり、どうにかして私も同行するべきだったんじゃないのか?だがしかし…」 


「あなた、少しは落ち着いて」


「だが、ミリーナよ。ジャンヌ達が旅立って、1日経っても戻ってこないのだぞ!何かあったかもしれないのだぞ!心配じゃないのか!」


「大丈夫だと思うぞ、魔王。なにせ、修羅殿やリーエ様も向かわれたのだ」


「いや、そこではない!あの小僧が一緒なのが一番心配なのだ!ジャンヌやウルミラの貞操が心配なのだ!レオラルドよ、愛娘のリリーの貞操が心配ではないのか?」


「ワハハハ…何を言っているのだ魔王よ。心配だと?心配など一切しておらんよ。いや寧ろ、修羅殿にリリーの貞操を奪って貰いたいものだ!そうなれば、修羅殿はリリーの婿となり正式に我が獣王の座を渡し我の代わりに獣王になって国を導いて貰えるからの!国民も我と修羅殿の戦いを見ておるから修羅殿に獣王の座を譲っても納得するだろうよ!ワハハハ…」

レオラルドは、嬉しそうに笑って答えた。


「はぁ、お前は相変わらず自分勝手な奴だなレオラルド。もっと、愛娘を大事にしろ!このバトルジャンキーめ!」


「何だと!?そういうお前こそ、いつまで愛娘を監視しているのだ。そろそろ娘離れしろ!このヘリコプター・ペアレント!」


「何だと!誰が、ヘリコプター・ペアレントだ!」


「お前こそ、誰がバトルジャンキーだ!」


「「この、やるか!?」」

魔王とレオラルドは、お互いの胸元を掴み合いながら殺気を出して額同士を押し当てる。


2人の殺気と威圧感に騎士団達は怯む中、魔王の妻ミリーナやレオラルドの妻ネイ、【ヘル・レウス】や【セブンズ・ビースト】達は溜息を吐いた。



「シッ、静かに!」

ネイは、人差し指を立てて口元に当てながら伝える。


「どうしたの?ネイ」

ミリーナは、ネイに尋ねた。


「リリー達と他に知らない複数の人達、それに魔物の魔力が接近して来ているわ。そろそろ、森の方から見えてくるわね」

ネイは指さし、魔王達はネイが指さした方角を凝視する。


ペガサスの騎士団達が見えてくると、その後ろに大成達が乗っている馬車とトネル達が乗った馬車が見えてきた。


騎士団達は、魔王や獣王達を守る為に陣を組んで武器を構えて警戒する。



魔王や獣王達と少し離れた場所にペガサス騎士団と馬車2台が着地した。


1台の馬車のドアが開き、リリーを先頭にジャンヌ達が出て来てリリーはネイの姿を見つけると駆け足で抱きついた。


「お帰りなさい、リリー」

ネイは微笑みながら、抱いきついていたリリーを優しく抱きしめる。


「ただいまです!お母様!わ、私…」


「ありがとう、リリー。上手くできたのね、あなたのお蔭で国が平和に豊かになるわ。あなたに重荷を背負わせてごめんなさい。大変だったでしょう?」


「いいえ、そんな…」


「本当にありがとう、リリー」


「修羅殿、リーエ様、ジャンヌ姫、ウルミラ殿、ルジアダ、誠に感謝する」

レオラルドは、頭を下げて感謝する。


「頭を上げて下さい!私達は、自分達ができることをしたまでですので」

リリーとネイの姿を微笑ましく見ていたジャンヌは、慌ててレオラルドに言った。


もう1台の馬車のドアが開き、トネルが出てきた。

「さて、そろそろ良いかな?」


「あなたは?」


「私はトネルだ。エルフの国の国王だ。で、左にいるのが妻のキリサ。そして、右に居られるのはリーエ様のご友人でもあり我々エルフの国の初代王女様であるセリーゼ様で居られる。あとは、後ろに控えておるのがエルフの国の最高幹部である【五聖華】だ」


「此度の同盟の件、応じてくれて誠に感謝する。トネル殿」

獣王は、力強く頷く。


「いや、待て。勘違いをして貰っては困る。確かに此処に来たが、まだ同盟を結ぶとは決めてはいない。これから始まる話し合いで結ぶかどうかを決めるつもりだ」


「それはわかっている。そうだとしても、足を運んでくれたことに感謝する」


「わかった。それで、会談は何処でする予定なのだ?」


「我々の国、獣人の国でする予定なのだが」


「それは遠いな。かと言って、リーエ様やセリーゼ様が信用しろっと仰られても申し訳ないがエルフの国には入国させることはできない」


「わかっている。俺も逆の立場なら断っているだろう。だから、気にすることはない」

レオラルドの意見に魔王達は頷く。


「ん?だったら、ここで会談しましょう。私達はペガサスに乗ればあっという間に着くけど、あなた達はただの馬だから遅いでしょう?テーブルとか椅子とか必要な物なら私が魔法で作るわよ」

栞が提案する。


「すまないが、頼んでも良いか?ところで、お嬢ちゃんの名前は?」



「栞よ、栞・大和。栞で構わないわ。テーブルとか椅子を作る代わりに、今夜は大成と同じ部屋に泊まらせて貰うわよ」


「「え!?」」

ジャンヌ達は驚きの声を上げ、反論したかったが今は自分達が口を挟む立場ではないと知っているので反論ができなかった。


「わかった、その条件を飲もうじゃないか」

魔王は、嬉しそうな表情を浮かべて躊躇わずに了承して頷く。


「あなた、話のわかるわね。ほんの少しだけど魔王というだけあるわ。見直したわ」


「誰にものを…」

「何か言ったかしら?」

「いや、何でもないぞ…」

魔王は栞の上目線な態度に激怒した瞬間、栞から放たれる圧倒的な魔力を感じ取り言葉を失った。


「そう、なら始めるわね。ゴッド・クリエイト!」

栞は、右手に持っている扇子を広げて横に振ると巨大な正方形のテーブルと木彫りされた高級感のある豪華な椅子が複数現れた。


「感謝する、栞殿」


「約束は守りなさいよ。でないと、わかるわよね?」


「勿論だとも!魔王に二言は無い!」


「なら、良いわ」

栞は嬉しそうに大成達の近くに歩み寄り、魔王、ミリーナ、レオラルド、ネイ、トネル、キリサは席に着き、その後ろには護衛としてローケンス、ドルシャー、ルジアダ、【五聖華】が立って見守る。


「そういえば、人間族はどこだ?」

トネルは、人間族がいないことに気付き尋ねた。


「すまないが、まだ人間族には報告はしてない。先に我々だけで…」


「あ、大丈夫です。僕が個人的に人間の国に手紙を出していたので、今日か明日には来るかと思いますよ。あっ、良いタイミングで来ましたね」

魔王が謝罪したが、大成が手紙を出したこと伝えると空から此方に向かってくるワイバーンの群れがあり、それぞれのワイバーンの背中には人影が見えた。


先頭の一番巨大な黒色のワイバーンの背中に乗っていたのは【時の勇者】と言われている流星と人間国の姫のメルサが乗っており、後ろを飛んでいる複数匹の青色のワイバーンの背中に乗っているのは【聖剣】のリーダーのマールイ、ケルンとその部隊の騎士達がそれぞれ乗っていた。


「「ワイバーンだと!?」」

魔王と獣王、エルフ達は驚愕した。


ワイバーンの群れは、大きな突風を巻き起こしながら大成達の近くで着地した。


「よ!久しぶりだな、大成」


「久しぶり、流星義兄りゅうせいにいさん。相変わらず、驚かされたよ」


「お久しぶりです、お兄様」

栞は着物姿だったので、両手を前で合わせて上品にお辞儀をする。


「おっ!栞も久しぶりだな。やはり、お前もこっちの世界に来ていたんだな。ということは、【戦の乙女】は栞なのか?」


「はい、そうです。恥ずかしいですが」


「やはりな、俺の予想は当たっていただろ?メルサ」


「ええ、流石、私の旦那様だわ」


「えっ!?お兄様、ご結婚されたのですか?」


「ああ、最近な」


「おめでとうございます!お兄様」


「おめでとう!流星義兄りゅうせいにいさん」


「メルサ姫様、どうか、お兄様を宜しくお願いします」


「栞ちゃん、畏まることはないわ。だって、私の妹になったのだから。私も、栞ちゃんみたいな可愛い妹が出来て嬉しいわ」


「ところで、流星義兄さん。国王様の姿は見えないけど、来てないのかな?」


「ああ、悪い。そういえば、まだ伝えてなかったな。メルサと結婚した際に俺が人間の国の国王となった」

流星は頭を掻きながら、バツが悪そうな表情をして説明する。


「「え!?」」

大成達は、驚愕の声をあげた。


「悪いな、大成。菜々子は、ワイバーンを怖がっていたから連れてきていない」


「ハハハ…。それは、仕方ないね。菜々子は【聖剣】になったけど、普通の女の子と大して変わらないからね」


「まぁ、そうだな。そろそろ席に着かせて貰うぞ。立ち話をしに来た訳じゃないからな。メルサは俺の隣に座れ」

「わかったわ」

周りが驚いている中、流星とメルサは気にせずに席に着く。


「ケルン、我々も移動するぞ」

「は、はい」

少し遅れてマールイは、ケルンに指示を出して流星とメルサの護衛するために2人の背後に移動する。


巨大な正方形のテーブルには、魔王とミリーナの向いには流星とメルサ、トネルとキリサの向いには獣王レオラルドとネイが対面するように席についた。


大成と栞以外の他種族の誰もが国王となった流星を警戒と畏怖していた。


なぜなら…。


「何だ!?あの人間は…。全く隙がないだけでなく、俺達の喉元に冷たい剣先が間近に触れている様な威圧感は…」

レオラルドの背後に立っている【セブンズ・ビースト】のリーダーであるドルシャーは、過去にマテリアル・ストーンで大成と戦っている流星の姿を観たことがあったが初めて直接に出会った流星の圧倒的な威圧感に顔を引き攣らせる。


「これが、あの噂高い【時の勇者】…」

トネルの背後に立っている【五聖華】のリーダーであるアルメリアも流星と対面し驚愕した。


レオラルドを含め、他の者達も自分と流星の実力の差を戦わずにして思い知らせれており自然と萎縮して固唾を呑む。


「これは、これは…」

レオラルドは、圧倒的な実力差がある強者を前にして自然に笑みを浮かべて右手で自身の顎を触りながら流星を見る。


「場の空気が悪いので、恐れ入りますが僕が流星国王の隣に立ちますね」

流星の威圧感は脅しになっていると感じた大成は提案しながら流星の隣に立つことにした。


大成が流星の隣に立つことで、もし流星がこの場で暴れようとしたら僕が責任持って対処しますと大成は無言のアピールをする。


「フッ、相変わらず優しいな大成。好きにしな」

流星は了承したので大成は流星の隣に移動したが、何故か栞も移動して大成の隣に立ち大成は流星と栞の間に立つことになった。



「それでは、四か国同盟の会議を始めさせて頂きます。司会は、私、大成・神崎が務めさせて頂きます。まずは…」

張り詰めていた場の空気が少し和らいだので、大成が司会を担当するとこになり会議が始まった。


魔人の国からは魔鉱石、人工魔鉱石、調味料、魔物の素材などを、人間の国からはドワーフが作った武器、防具、装飾などを、獣人の国からは果実、生肉、魔物の素材など、エルフの国からは弓、矢、木材、野菜、果実などを輸出することになった。


そして、取引の話が終わる際にレオラルドからの提案で各国々でお酒の取引も決まり無事に各国は同盟を締結するかと思った。


「では、これで…」

大成は表情には出していないが、無事に同盟が結ばれると思いホッと胸を降ろそうとしていた。


しかし…。

「最後に別の提案がある」

流星の声が聞こえ、安心していた魔王達も気が引き締まる。


「流星国王、別の提案とは?」

大成は、隣にいる流星に尋ねる。


「そんなに警戒しなくっても大丈夫な話だ。各国から少数の優秀な若者と指導者を選び、交流会を開いて貰いたい。その交流会で、各国の武術や魔術、コミニュケーションを学ばせたいのだ」


「なるほど、それは良い提案だ」


「俺も提案に賛成だ」


「エルフの国も賛成する」

魔王、レオラルド、トネル達は賛成する。


「やはり交流会の纏め役、指導者のリーダーは誰からも実力が認められた者じゃないと務まらないだろう。そこで、指導者のリーダーは、大成に任せたいのだが」


「えっ!?」


「「異議なし!」」

流星の提案に大成は驚きの声をあげたが、魔王達は即座に了承した。


「では、これにて会談は終了とさせて貰う」

「せっかくだ、ここにいる者達を俺の国に招待しよう。今日は宴を開くが、どうだろうか?最高のおもてなしをする予定だ。是非とも宿泊して貰いたい」

流星は会談の終わりを宣言すると同時に席を立ち上がると、レオラルドが提案した。


「あなた、どうかしら?私は良いと思うわ。せっかくだから、また大成君の料理食べて帰らない?」

流星は隣にいるメルサに視線を向けると、メルサは楽しそうに言って大成にウィンクする。


「えっ…」


「フッ、そうだな。そうするか」

流星も面白そうに大成に振り向き、不敵な笑みを浮かべた。


「では、私達も参加しようではないか」

トネルも参加することを示し、会談に参加した全員が獣人の国へと向かうことになった。

次回、宴と交流会です。

鬱が再発して投稿が遅れてしまい申し訳ありません。

もし宜しければ次回もご覧ください。

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