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ジャンヌ、ウルミラVSマミューラとマミューラの本気

リリー、ルジアダVSセリーゼの試合が終わり、ジャンヌ、ウルミラVSマミューラの場合が始まる。

【エルフの国・セリーゼの異空間】

マミューラはウォーミングアップをしており、ジャンヌとウルミラは緊張した面持ちでマミューラのウォーミングアップが終わるのを待っていた。


「お前達、どれくらい強くなったか?雰囲気だとウルシアやローケンスぐらいか?」


「正直、私達もわかりません。訓練はいつも同じメンバーで行っているので」


「ククク…。そうだったな。しかし、お前達、本当に真面目だな。毎日にサボらずに訓練する奴は少ないというのに」



「そうですね。大成さんに出会ったからです。もし、出会っていなかったら自分達で訓練のメニューを考えたり相談したりしてません。ただ私達も城の指導係の方が用意した時間割だけを粉していただけで、ここまで強くなれなかったと思います」


「そうね、ウルミラの言う通りだわ」


「ククク…。じゃあ、そろそろ始めるか」

みた(さ

「「はい!」」


「トネル様、合図をお願いします」


「わかった。では、試合開始だ!」

トネルが試合開始の合図をしたが、ジャンヌは双剣、ウルミラは矛、マミューラは何も武器を持たず魔力で身体強化をして構えたまま動かずに相手の様子を窺った。


暫く立ったが、ジャンヌ達は試合開始のまま動かず静まり返っているが誰もヤジを飛ばす人はおらず逆に息を呑んで緊張した面持ちで観戦している。


「動く」

大成が呟いた瞬間、ジャンヌとウルミラはアイコンタクトなど一切していなかったが、まるで息を合わせたかの様に同時に動きマミューラの左右から挟む様に移動する。


「面白い、バーサーク!」

マミューラは、頭、左右の手と足の5箇所を部分強化をしてジャンヌに迫る。


「ヤッ!」

ジャンヌは双剣で連撃をするが、マミューラは左右の拳で弾いて左拳のフェイントを入れて右拳で攻撃する。


(見える!これは、フェイントね)

ジャンヌは瞬時にマミューラのフェイントを見破り、双剣をクロスにしてマミューラの右拳を防ぐが後ろにズリ下がる。


「へぇ、この高速での攻防の中のフェイントを見破るとはな!それに、気配を消して接近したのは褒めるが私には通用しないぞ!なぁ、ウルミラ」

マミューラは、後ろに振り返りながら右足で回し蹴りをして背後から気配を消して矛を振り下ろそうとしていたウルミラに迎撃する。


「くっ」

ウルミラの矛とマミューラの回し蹴りが激突してウルミラは敢えて耐えようとせず後ろにズリ下がりマミューラとの距離をわざと取った。


「ファイヤー・アロー」

ジャンヌは、ウルミラがマミューラから離れるタイミングを見計らって十数本の炎の矢を飛ばす。


「チッ」

マミューラはウルミラとの激突の反動で反応が遅れて避けることができず舌打ちをし、部分強化を解除して通常の全身強化に変えて腕をクロスにして防いだ。


「ククク…やるじゃないか、お前達。随分と強くなったな。流石の私もお前達2人同時に相手にするのは、正直にキツイ。仕方ない、本望じゃないが大和から貰ったアーティファクトを使わせて貰うぞ」

マミューラは両手、両足に炎を纏い、その場でムエタイの演舞をするように拳で突きを放ったり蹴りを放ったり神に祈りを捧げる演舞を舞う。


ジャンヌとウルミラはマミューラの本気を見たかったので、マミューラの演舞が終わるのを待つことにした。


そして、一通りの演舞が終わる。

「待たせたな。これが、エクスプロージョン・バーサーク」

マミューラは、エクスプロージョン・バーサークを唱えると左右の手首、足首につけているリングが魔力で紅く輝くと同時に左右の手足に纏っていた炎が手足に吸い込まれていき紅色に染まり湯気が立ち昇る。


ジャンヌとウルミラはマミューラの威圧感で肌がビリビリするが、お互いにサポートできる距離に近づき警戒を強めた。


「じゃあ、行くぞ!」

マミューラは宣言してウルミラに向かって走る。


その時、マミューラの足元が爆発を起こして急加速し通った地面は抉れて赤黒く焼けていた。


そのスピードは、まるで雷歩と変わらない超加速だった。


警戒をしていたウルミラは驚いた様子もなく、冷静に矛で突きを放つが、マミューラが左手の甲で防ぐと触れた瞬間に爆発が起きて大きくウルミラの矛を弾いた。


「へぇ、あの爆発で矛を手放さないとはな。だが、その状態ではコレを防ぐことができないぞ」

マミューラは、右拳で殴りにいく。


「アクア・アーマー」

ウルミラは咄嗟に魔法で水の鎧を纏い、矛に魔力を流して両手で握っている柄の右手と左手の間の部分を伸ばしてマミューラの右拳を防ぐことに成功したが爆発が起きて水の鎧が所々が蒸発しバランスを崩しながら後ろにズリ下がる。


「ほぉ、やるなウルミラ。あの一瞬でいい判断だ」


「メテオ・フレイム・ストライク」

ジャンヌは、獣王レオラルドが切り札としていた炎魔法禁術メテオ・フレイム・ストライクを唱え灼熱の隕石を放つ。


「ククク…レオラルドほどの威力はないが、あいつの切り札を使えるとはな。ならば、此方も禁術を使わせて貰うぞ!ファイア・バーニング・ソレイユ・バースト」

マミューラの右手の掌から膨大な魔力と熱量を放っている小さな太陽みたいな火球が出現する。


周囲の気温が一気に上昇し、離れて観戦している大成達もジリジリと暑く肌が焼ける様な感じがする。


そして、マミューラは火球を放ちジャンヌの隕石と衝突して大爆発と共に膨大な熱量が熱風として周囲を襲った。


「アイス・ウォール」

ウルミラはジャンヌの前に移動して氷の壁を作り出して熱風を防いだが、マミューラは呆然と立ち尽くしたまま熱風に飲まれた。




【観戦席】


大成とリーエは腕を振り、栞は扇子を振って魔力波を放ち、セリーゼは杖を前に出して魔力壁を展開して熱風を防ぎ仲間達を守った。


「彗星、なぜ、マミューラさんは魔法を唱えてないのにマミューラさんの拳や足元が爆発したの?しかも、とんでもない威力があるわよ」

リリーは、マミューラの術式がどんなものなのか探るような面持ちで隣りにいる大成に尋ねる。


「ああ、それはね。以前、マミューラ先生の戦いは自分の魔法を唱えてそれを自身の拳に纏って殴るのを切り札としていたんだ」


「それは、知っているわ。自分の目で見たことはないけど、情報で知っているわ」


「拳の威力が上がり、更に唱えた魔法を間近で直撃することができるメリットがある。だけど、拳が自分の魔法にダメージを負わないほどの強化をしなければ拳が使えなくなる。結局、自分の拳が魔法に耐えるために拳に魔力を込めることと、拡散しない様に魔法を留めて置かないといけないから集中力と魔力制御に膨大な魔力を消費するんだ」


「ええ、そうね」


「そこで、僕が考えたのは魔道具の効果は簡単だ。イメージした魔法を自分の体内に刻印することができ、普通の身体強化だけすれば触れた場所に魔法が発動するんだ。おそらく、マミューラ先生はファイア・バーニング・ソレイユ・バーストを体内に刻印しているかな」


「そんな簡単に言うけど、普通は術者の体が耐えれないわよ。体内に魔法陣を刻印したら、術者の肉体が破裂するか、その魔法が体内で暴走して暴発して死ぬわ」


「魔法には条件という誓約をすればある程度は可能になる。その誓約は、ムエタイの演舞の様な演舞を舞うことと、集中力が最大限に高まっていることの2つが当て嵌まった時にだけ使用可能にできたんだ」


「演舞はできると思うけど、集中力が最大って普通は不可能よ」


「それが、そうでもないみたいなんだ。マミューラ先生が言ってたんだけど、マミューラ先生は幼い頃からあの演舞を舞い続けて神様に祈りを捧げていたんだ。それで、演舞がルーティンとなって舞うと自然と集中力が高まる様になったみたい」

大成は、頬を掻きながら答えた。



【中央】


「ククク…。私が放ったファイア・バーニング・ソレイユ・ソレイユと互角ということは、お前達の魔力値は私と同じ9の領域に足を踏み込んだ様だな」

熱風に飲まれたマミューラは、全身火傷を負っていたが嬉しそうに口元に笑みを浮かべる。


その瞬間、マミューラの空気が変わったことに気付いたジャンヌとウルミラは背筋がゾッとした。


「姫様」


「わかっているわ、ウルミラ」

ウルミラとジャンヌは、身構える。



【観戦席】


「坊や、マミューラに何を渡したんだ。体内に魔法陣の刻印だけの能力のリングじゃないだろ?」


「気付くなんて、流石だねリーエ。簡単に言えば、ウルミラと似た失われた魔法(ロスト・マジック)を刻印しているよ。マミューラ先生は、接近戦を得意とするから特に必要な魔法だったし。丁度、適性も合ったからね」


「今の説明で何の魔法なのかは理解したが、坊や、知っているとは思うが失われた魔法(ロスト・マジック)は禁忌なのだぞ。少しは自重しろ」


「大丈夫だよ、リーエ。マミューラさんなら悪用はしないと思うから」

大成は笑顔で答えると、リーエは溜息を零した。




【中央】


マミューラは、顔の前で腕をクロスして魔力を高める。

「私の切り札だ!ハァァ!ファイア・フレイム・キャッスル」

魔力を高めたマミューラは、クロスにした腕を真横に広げて失われた魔法(ロスト・マジック)、ファイア・フレイム・キャッスルを唱えると足元から魔法陣が現れて紅く輝き拡大する。


魔法陣は直径500mまで広がると魔法陣の外側の縁に炎の城壁が出現した。


「これは、まさか…」

マミューラが展開した魔法陣を見たウルミラは瞬時に自分の知っている魔法陣とは少しだけ違うが似ているので何となくどんな魔法なのか予測でき、ジャンヌもウルミラに数秒遅れて気付いた。


それは、ウルミラが大成から矛を改造して貰った際に矛に刻んで貰った失われた魔法(ロスト・マジック)、アイス・フリージング・キャッスルに似ていたのだった。


マミューラのファイア・フレイム・キャッスルもウルミラのアイス・フリージング・キャッスルと同様の効果で魔法陣のエリア内では術者が魔法を唱えなくても、イメージをするだけで魔法や現象を起こすことができる。



「行くぞ!」

マミューラは声を出したと同時に、ジャンヌとウルミラの周囲に無数の炎の矢が出現し襲い掛かる。


「「〜っ!」」

ジャンヌとウルミラは、お互いの背中を合わせて魔法が間に合わないと即判断し炎の矢を双剣と矛で叩き落とす。


しかし、全ての矢を叩き落とすことはできず、2人は少しずつ切り傷と火傷を負っていく。


そんな2人の頭上に真っ赤に燃え盛る巨大な剣、大成がクラスマッチの時に使用した炎魔法、禁術ファイア・エンペラ・ジャッジメント・ソードが降下する。


ジャンヌとウルミラは、お互いにサポートできるように2人は同じ方向の横に跳び回避した。


真っ赤に燃え盛る巨大な剣は地面に突き刺さり大地を抉り、大地の破片を燃やしながら周囲に飛び散る。


ウルミラは、咄嗟に反転して大地の破片を矛で叩き落として自分とジャンヌを守る。


そこに、マミューラがウルミラの右側から右拳で殴ろうとした。


しかし、ジャンヌが間に割り込んで双剣でマミューラを攻撃する。


マミューラは、攻撃をやめてバックステップで距離を取りながらジャンヌに向かって複数の炎の矢を放とうした。


「ファイア・アーマー、ファイア・アロー」

高熱の爆風を防ぐためジャンヌは炎の鎧を纏い、マミューラから離れない様に追いかけながら複数の炎の矢を召喚していた。


そして、マミューラとジャンヌは同時に炎の矢を放ちお互いの炎の矢は中央で衝突して爆発を起こし、ジャンヌは双剣でマミューラは拳で激しい攻防を広げていくがマミューラの手数の多さと速さ、それに加えて爆発が起きジャンヌは剣を吹き飛ばされそうになり苦戦を強いられ徐々に押されていき仕方なくマミューラから距離を取った。


「おいおい、良いのか?私から離れて。魔法でジリ貧になるぞ?」


「いえ、大丈夫ですマミューラ先生。私の役目は、時間を稼ぐことだったので」


「アイス・フリージング・キャッスル」

ジャンヌが答えると同時に、ジャンヌがマミューラと激しい攻防を繰り広げていた中、ウルミラは魔力を高めており矛を地面に突き刺して氷魔法失われた魔法(ロスト・マジック)、アイス・フリージング・キャッスルを唱えた。


矛に刻まれた魔法陣が、ウルミラの真下の地面に巨大な魔法陣として展開され蒼く輝いた。


魔法陣の縁をなぞるように氷の城壁で覆われていく。


しかし、先にマミューラが展開しているフレイム・サークル・キャッスルと衝突し、マミューラ側の半分は炎の城壁、ウルミラ側の半分が氷の城壁となった。


「チッ」

マミューラは複数の炎の矢を出すと、それと、ほぼ同時にウルミラも複数の氷の矢を召喚する。


マミューラはウルミラを中心に円を描くよう横に走り出して複数召喚した炎の矢をウルミラに向かって放つ。


ウルミラは、その場から余り動かずにマミューラの方を常に向いて動きを警戒しながら迎撃するために複数の氷の矢を放った。


炎の矢と氷の矢は、2人の間で衝突して消滅し蒸気が立ち昇る。


マミューラは、すぐに気配を消した。


ウルミラは蒸気によりマミューラを見失ったので一度距離を取ろうとした。


その時、ウルミラの頭上から大きな炎の隕石が降下してきた。


ウルミラは瞬時に隕石を上空で破壊したら破片が落下してくると判断し、周囲の凍った地面から四本の巨大な柱を作り出して巨大な炎の隕石を受け止めた。


しかし、ウルミラの背後の蒸気からマミューラが飛び出した。


だが、ジャンヌは見計らったかの様に気配を消してマミューラの左側から迫っており、マミューラはジャンヌの接近に反応が遅れた。


「フレイム・ファイア・ドラゴン」

ジャンヌは、炎大魔法フレイム・ファイア・ドラゴンを唱えて炎の龍を放つ。


「くっ、上手くウルミラを出し抜いたと思ったら、まんまとお前達の思惑通りに嵌まったわけか。だが、まだだ!」

マミューラは右拳で炎の龍を殴り、大爆発を起こして炎の龍を消滅させた。


しかし、眼の前にいた筈のジャンヌの姿がなかった。


「上か!」


「流石、マミューラ先生。ですが、もう終わりです」


「何?くっ…」

ジャンプして空中にいるジャンヌがウィンクすると、マミューラの凍った足元から氷の壁が出現してマミューラはバランスを崩す。


ジャンプしたジャンヌは氷の壁に着地してバランスを崩しているマミューラの首元に右手に握っている剣先を突き付けた。


「アハハハ…。私としたことが、見事にやられたぞ」


「どうでしたか?マミューラ先生」


「私は本気を出して戦ったが、お前達の思惑通り動かされて負けたんだ何も文句はない。お前達はもう一人前だ。胸を張ると良い、私が保証する。しかし、こうもあっさりと負けると本気を出したとはいえ不完全燃焼だな。あ〜、糞!まだ戦いたい!余計にウズウズする」

マミューラは頭を掻きながら叫び、ジャンヌとウルミラは苦笑いを浮かべた。


「マミューラ」


「わかってますよ、トネル様。ジャンヌ、ウルミラ、次はハンデなしの一対一(サシ)で戦おうな」


「「はい!」」

ジャンヌとウルミラは、順番にマミューラと握手して大成達の方へと戻った。


「では、次が最後の試合になるな。リーエ様VS五聖華!」

トネルは進行を促し、観戦していたリーエと五聖華の面々が中央へと向かった。

次回、リーエVS五聖華です。

もし宜しければ、次回もご覧下さい。

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