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未知なる敵と最古最強のワルキューレ【ギャラクシー・ワルキューレ】

決闘でニールは父親であるニルバーゴスに勝利したが、気絶しているニルバーゴスの刻印が紫色に輝き出し暴走する。


兵士達が暴走したニルバーゴスを取り押さえようとしたが返り討ちに合い、バーネジア、【七巨星】であるドンバネーヤ達が対応するが止まらなかった。


そして、状況が悪化する。

気絶した兵士達もニルバーゴス同様に暴走して立ち上がり、バーネジア達を囲んだ。



【巨人の国・アントロング国・テレン殿・医務室】


簡単な手当てを受けたニールは、ハイ・ポーションを飲み医務室のベッドで横になって安静していた。


リングから膨大な魔力が吹き上がると共に、医務室の入口に兵士4人が待機していたが異変に気付いて慌てながらリングに向かった。


医務室にはニール以外誰も居なくなったので、大成はシャドウ・ゲートを解除してニールの影から出ることにした。


「ふぅ~。う~んっと。ニールさん、誰も居なくなったので回復魔法で、その傷を完治させますよ」

大成は、背を伸ばしながら体をほぐす。


「かたじけないです」


「グリモア・ブック、ヒーリング・オール」

大成は、グリモアを召喚して光回復魔法ヒーリング・オールを唱えた。


ニールの全身が緑色の魔力で覆われ、傷がみるみると回復していく。


「それにしても、巨人族は凄い魔力を保有している人達が多いですよね。僕が言うのもあれですが、禍々しいですけど」

「そうですね…。あんな外道な方法で手に入れた力は、いつしか自ら身を滅ぼします」

大成はリング側にいる暴走しているニルバーゴス達の魔力を感知していた。


「ん?誰か、こちらに近づいて来てますね」

「ええ、そのようですね」

すぐに気配に気付いた大成は魔法を持続したままの状態で出入口に視線を向け、少し遅れてからニールも気付き出入口に視線を向けた時、大きな足音を立てながらアーネスが慌てた面持ちで息を切らせながら部屋に入ってきた。


「ニール様!お願いが…。って、あなた誰なの?なぜ、ここに居るの?」


「これは、失礼しました。僕は、神崎大成。少し前までは、魔王修羅と言われておりました」


「あなたが?」

「はい」

「ふ~ん」

(ニール様がとても強いと言っていたけど、どう見ても、ただの普通の人間の子供じゃない)

アーネスは、怪訝な表情で大成を見る。


「ところで、そんなに慌ててどうかなされましたか?アーネス様」

ニールは、尋ねる。


「あ、そうよ!ちょうど、良いわ。大成とか言ったわよね?あなた、魔王修羅って言われていたぐらいなら、そこそこ強いのよね?」


「まぁ、そこそこですが」

苦笑いを浮かべる大成。


「そこそこでも良いから、頼みがあるの!今、大変な事態が起こっているの!刻印のせいで、お義父様と兵士達が暴走して暴れているの。夫と【七巨星】達が暴走を止めようと戦っているのだけど苦戦を強いられているわ!だから、力を貸しなさい!」


「はぁ、アーネス様。あなたが言っていることは都合が良すぎませんか?あなた達は獣人の国だけでなく、僕が暮らしている魔人の国をも襲撃して制圧しようとお考えているのに、何故、僕があなた達を助けなければならないのですか?しかも、あんな怪しい力を自らの意思で手にした力ですよ?力が暴走して手につけられなくなったから助けてくれ?よく、そんな言葉がでますね?しかも、上目線で」

大成の表情が一変して冷たい目でアーネスを一瞥する。


「~っ」

(な、何なの!?この子。さっきとは、まるで別人じゃない)

アーネスは息を呑み、答えることができなかった。


「修羅様。私からもお願いします。ご都合が良いのは十分承知の上です。ですが、どうかお力を貸して下さい。私一人では、止めることができません。お願いします」

「お願いします…」

ニールは深々と頭を下げ、アーネスも頭を下げた。


「お二人共、頭を上げて下さい。そうですね、ニールさんの頼みなら仕方ないですね。わかりました、その依頼を引き受けましょう。その代わり、こちらも1つ条件を出します。巨人族は、今後、相手から手を出されない限り、他国を襲わない約束をして貰います。これが絶対条件です。もし、約束を破った場合、僕が容赦なく滅ぼしますので気を付けて下さい。もし、約束が守れない様でしたら今回の件はなかったことにして下さい」

大成は笑顔を浮かべて提案した。


「「~っ!」」

ニールとアーネスは、大成の笑顔を見たが大成から発せられる威圧感で冗談ではないことに気付いた。


「わ、わかったわ。夫を説得して、これから二度と他国と争わないと約束するわ」


「わかりました、約束ですよ。では、ニールさんとアーネス様は、ここから脱出して下さい」


「ちょっと、あなた、何を言っているの!?ニール様のお力も…」


「いえ、アーネス様。修羅様がそう仰られるなら、お一人で十分なのでしょう」


「2人共、わかっていないわ!お義父様は、元々魔力値が10なのよ。それに加え、刻印が暴走して更に比べ物にならないくらい強くなっているのよ!止められっこないわ!」


「アーネス様が言いたいこともわかりますが、安心して下さい約束は守ります。それに、ちょうど良い機会です。なぜ僕が魔王と呼ばれるのではなく、魔王修羅と呼ばれているかを教えて差し上げましょう」

大成は、不敵に微笑んだ。


「~っ!」

(な、何なの!?どう見ても人間の子供なのに、先程といい、この圧倒的な存在感は何なの!?)


「修羅様、感謝致します。ご武運を」


「では、行ってきます。お2人は、医療班を闘技場の近くに待機させて下さい。殺しはしませんが、気絶させますので手荒になります」


「ええ、わかったわ」

アーネスは了承し、ニールは無言で頷いた。


「ん?もう時間がなさそうだ。このままだと間に合わないな。よし、この辺りだな。すみませんが、間に合わないので少し離れていて下さい」


「え?ええ…」

「畏まりました」

魔力感知で戦況を把握した大成は忠告し、アーネスとニールは少し後ろに下がって離れた。


「魔力発勁」

大成は壁に右手を当てて魔力発勁をして分厚い壁を粉砕し、壁に大穴を開けた。


「きゃっ」

「くっ」

部屋中に砂埃が舞い、ニールとアーネスは飲み込まれた。


「ちょっと、あなたねぇ!って、あれ?居ない…。それに、何て威力なの!?あの子、本当に人間の子供なの?」

空いた壁穴から入る風によって砂埃がおさまり、アーネスは激怒すると共に大成が開けた大穴を見て驚愕した。




【リング】


「グォォ!」

暴走した兵士は、背後からバーネジアに斬りかかる。



「させるか!」

ドンバネーヤはバーネジアを庇うように間に入り、斬りかかりにきた兵士と鍔迫り合いになる。


しかし、ドンバネーヤは急いで庇ったため、体勢が悪く兵士の力に押されて弾かれると同時に左腕に掠り傷を負った。


「くっ」

ドンバネーヤは片膝を地面についたまま、剣を握っている右手で傷を負った左腕を押さえる。


「大丈夫か?ドンバネーヤ」


「はい。大丈夫ですバーネジア様。大した傷ではありません。ですが、信じられないとは思いますが、兵士1人1人が我々と同等の力を持ち合わせてます」

不利な状況下でもドンバネーヤは怯むことなく、冷静に強がらずに的確な意見を述べた。


「ならば、こちらも刻印の力を使えば良いだけのことだ」

バーネジアは、話しながら剣を握っている手に力を入れる。


「お待ち下さい!バーネジア様。刻印の力を使えば、我々もニルバーゴス様や兵士達と同様に暴走する恐れがあります!そうなれば、もう…」


「だが、このままだとジリ貧になり負けるのは時間の問題だぞ。それに、一瞬だったとはいえ、さっき俺やデミオ達が刻印の力を使ったが大丈夫だった。おそらく、気絶しなければ大丈夫なはずだ」


「わかりました」


「俺は親父の目を覚ます。だから、お前達は邪魔が入らない様に兵士達の相手をしてくれ!」


「「了解!」」

ドンバネーヤやデミオ達【七巨星】は了承した。


「ハァァ!」

膨大な魔力を解放したバーネジアは更に刻印の力を解放し、刻印は青く輝くと共に魔力が一気に魔力が増大する。


「糞親父!いい加減、目を覚ましやがれ!」

バーネジアは走り、ジャンプしてニルバーゴスに剣を振り下ろす。


「グォォ!」

ニルバーゴスは右拳に魔力を一点集中させてバーネジアの剣を殴り付け、バーネジアの剣をへし折った。


「な、何だと!?ぐぉ…」

バーネジアは驚愕し、バーネジアの拳が鳩尾に入り吹き飛ばされた。


「ぐぁ」

吹き飛ばされたバーネジアは背中からリングの観客席にめり込んだ。


「くっ…」

バーネジアが起き上がろうとした時には、ニルバーゴスが目の前までに迫っていた。


「糞っ!」

「グォ…」

バーネジアは負けると悟った時、小さな黒い影がニルバーゴスの左頬に衝突し、今度はニルバーゴスが観客席に衝突した。


「な、何だ?」

バーネジアは、起き上がりながら足元に視線を向けると人間の子供が立っていた。


「ふー、間に合って良かった」


「「バーネジア様!」」


「ご無事ですか?」


「ああ、ところで、お前は誰だ?」


「ん?僕は、魔王修羅と呼ばれています。今は、魔王ではないのですが」

大成はバーネジア達に振り返り、不敵な笑みを浮かべた。


「お前が、あの魔王修羅なのか。だが、どうして俺を助けた。お前は魔人族だから獣王側の人間だろ?」


「そのことなのですが、これからは、巨人族は他国から攻撃されない限り、侵略行為はしないとアーネス様と契約しましたので」


「アーネスが?」


「はい、もし仮に契約を破った際には僕が巨人の国を滅ぼしますので」

大成は、ニッコリ笑った。


「「~っ!?」」

だが、笑顔を浮かべている大成から圧倒的な威圧感が放たれておりバーネジア達は息を呑んだ。


「あとは、僕が1人で暴走した皆さんを気絶させて正気に戻しますので、バーネジア様達は今すぐにここから脱出して下さい」


「それは、できん!俺は、この国の王だ!逃げるわけにはいかん!」


「腐っていても王か…。」


「何か言ったか?」


「いえ、何も。では、そこで離れて見ていて下さい。手出しは不要ですので」


「本当に、お前1人で戦うのか?」


「はい、中には手強い方が1名おられますが大丈夫です。それに、久しぶりに手加減なしで戦えそうです」

大成は、顔を動かしてニルバーゴスを見る。



「「グォォ!」」

暴走している兵士達は大成に向かって走り、大成も走って距離を縮める。


「グォォ!」

先頭を走っていた兵士2人は、大きな拳を振り下ろす。


大成はジャンプして避けながら右側の兵士の鼻を踏みつける様に両足でドロップキックをして蹴り飛ばして左側にいる兵士の頭上に飛び上がり、左側の兵士の頭に踵落としを決めて兵士を顔面から地面に叩きつけて気絶させた。


蹴り飛ばされた兵士は後方にいる兵士達に向かって飛ばされたが、後方にいる兵士達の1人が左腕を内側から外側に振って蹴り飛ばされた兵士を外側に弾き、蹴り飛ばされた兵士はリングの上を転がって倒れた。


「結構いるな。それに、暴走していると言うよりも操られていると言った方があっているか。仲間同士で殴りあわないし」

地面に着地した大成は、自分からも接近するために走り出す。



「ガァァ!」

暴走している兵士が巨大な右拳で大成を殴りにいく。



「オラッ!」

大成も右拳で立ち向かい、両者の拳が激突した。


「グォ!?」

兵士の右拳は力負けをし、右腕が後ろに弾かれた。


「オラッ!」

大成はジャンプして、兵士の鳩尾に左拳で殴った。


「ガッ…」

兵士は「く」の字になり、その場に倒れた。


大成は、他の兵士達の攻撃を掻い潜りながら反撃して次々に兵士達を倒していく。


「これで、粗方、片付いたか」

ジャンプキックして最後の兵士を倒した大成は、着地して周りを見渡す。


大成の周囲を巨大な影が覆い被さろうとした瞬間、大成はすぐにバックステップする。


大成がバックステップした瞬間、空からニルバーゴスが両足で大成を踏み潰そうと降下した。


ニルバーゴスは大成を踏み潰すのが失敗したが、すぐに姿勢を低くして獣の様に大成に襲いかかる。


バックステップした大成は自らニルバーゴスに走り、距離を詰めた。


大成とニルバーゴスは、右拳に魔力を一点集中して同時に右拳を振るった。


お互いの右拳が激突し、2人を中心に衝撃波が生まれ、周囲のリングに敷かれている巨大で分厚い石板が吹き飛んで観客席に衝突してめり込んでいく。


石板は、離れていたバーネジア達にも襲う。


「気を付けろ!来るぞ!ハッ!」

「くっ」

バーネジア達は石板を砕いたり、切断したりして直撃を回避した。



大成とニルバーゴスを中心に大きなクレーターができていた。


大成とニルバーゴスは力が拮抗しており、お互い右拳を合わせた状態で硬直していた。


(これは、正直に驚いたな。まさか、リーエと同等の力を出しても互角とはな。だが…)

大成は始めは驚いた表面を浮かべたが、すぐに不敵に笑い、更に右拳に魔力を高めた。


「オラッ!」

「グォ!?」

大成はニルバーゴスに打ち勝ち、ニルバーゴスは右拳が弾かれ体勢を崩した。


「これで、どうだ!」

大成は、ジャンプしてニルバーゴスの顔面を狙って右足で回し蹴りをする。


「グォ!?」

ニルバーゴスは左腕で防いだが耐えきれず、後ろにズリ下がった。


「グォォ!」

勢いを殺したニルバーゴスは、右手を挙げて魔力を集中させる。


ニルバーゴスの右手の掌から巨大な魔力の球体が出現した。


「は、破壊砲が来るぞ!しかも、今までとは比較にならない程の大きさだ…」

バーネジアは、ニルバーゴスの破壊砲の巨大さに驚愕する。


「グォォ!」

ニルバーゴスは右手を振り下ろし、空中にいる大成に向かって巨大な破壊砲を放った。


放たれた破壊砲は、大成を飲み込もうとする。


ニールを除く誰もが、大成が死んだと思った瞬間だった。


しかし…。


「村雨」

大成は右手に魔力込めて巨大な剣をイメージした漆黒の村雨を発動して右手を下から上に振り上げる。


破壊砲は、一瞬、縦に黒い閃光が走ると共に左右に真っ二つに切断された。


切断された破壊砲は左右に別れたことで大成に当たらず通り過ぎ、遠く離れた場所で爆発した。


「おいおい…。あの巨大な破壊砲を真っ二つに切ったぞ…」


地面に着地した大成は走り、ニルバーゴスに接近する。


「グォォ!」

ニルバーゴスは腰を屈めて右手を振り下ろし、大成に空手チョップする。


大成は、ニルバーゴスに飛び掛かる様にジャンプして避けた。



ニルバーゴスは飛び掛かって来た大成に左拳で迎撃するが、大成が空中で体を捻りながら右足でニルバーゴスの左拳を弾き、そのまま回転を殺さずに回転しながら左足でニルバーゴスの胸元に蹴りを入れた。


「グッ!?」

腰を屈めていたニルバーゴスは、仰向けに倒れた。


大成は、上半身を起こそうとしたニルバーゴスの左頬を蹴りにいく。


「グォォ!」

ニルバーゴスは左腕で防いだが、威力に負けて地面を転がりながら右手に膨大な魔力を集束して圧縮し、右手の掌に収まるほどの大きさまで圧縮した。

魔力に覆っている右手の魔力からバチバチと激しくスパークする。


「あれは…。修羅!気を付けろ!先ほどの破壊砲じゃない!親父だけが使える虚空が来るぞ!」

ニルバーゴスの行動を見て気付いたバーネジアは、大声で警告する。


バーネジアの警告と同時にニルバーゴスは殴る様に拳を前に突き出して虚空を放つ。


虚空は、レーザーの様に物凄いスピードで空中にいる大成に迫った。


「……。」

大成は、無言で右手の人差し指と中指、親指を立てて銃の形にして左手で右手首を押さえ魔力を圧縮する。


そして…。

「ブラック・バレット」

大成は、指先から一発の漆黒の魔力の弾丸を放った。


大成が放った漆黒の弾丸は、ニルバーゴスの虚空と衝突したが、威力を落とさずに虚空の中を突き抜けていく。


「グォォ!」

全力を出していたニルバーゴスは、無理に魔力を高めようとして血管が浮き上がり、血管が耐えきれず裂けて出血する。


それでも、大成が放った漆黒の弾丸は突き進み、ニルバーゴスの頬を掠めて上空へと駆け登り、遠く離れて強烈な衝撃波と共に大爆発を起こした。


闘技場の外壁だけでなく、内側にある観客席などあらゆる物が吹き飛んでいく。


「「ぐっ」」

バーネジア達は踏んばり、衝撃波に耐える。


「くっ、何と言う馬鹿げた威力だ!」

衝撃波が終わり腕を顔の前に出して耐えていたバーネジアは、腕の隙間から前方を見渡すと闘技場3分の1は観客席どころかか外壁が吹き飛んで更地が広がっており、大成のブラック・バレットの威力を見て恐る恐る呟く。



ニルバーゴスは、自身の魔力を使い果たして糸が切れた操り人形の様にその場に倒れた。


「これで、無事に終わったな。しかし、やはり、ブラック・バレットは威力が高過ぎて使い道に困るな。さっきも手加減したけど、これだからな。これは、練習が必要だな」

大成は、外壁が崩壊した方向に視線を向けて、ため息を吐いた。



「終わったのか…」


「ああ、本当に1人で終わらせやがった」

【七巨星】のヨウダが信じられない表情を浮かべながら呟き、同じ【七巨星】のシングワが肯定する。


「これが、魔人の国の魔王修羅の実力なのか…」

ドンバネーヤは、大成の後ろ姿を見ながら呟く。


「ちょっと待て。現在、魔人の国の魔王は先代の魔王に戻っているということは、先代はコイツよりも強いからじゃないのか?」

【七巨星】のデミオは、フッと気付いた。


「俺達は、こんな化け物がいる国と争うところだったのか」

【七巨星】のユソは、想像して背筋がゾッとする。


「おい、こっちに振り向いたぞ。こっちに来るぞ」

【七巨星】のダンが身構えた。


「僕は約束を守りました。今度は、バーネジア様が約束を守って頂きたいのですが?守って頂けますでしょうか?」


「ああ、勿論だ。約束は守ろう。お前の実力を見たからな。心の底から、お前を敵に回したくないからな。あと、1つ頼みがある」


「何でしょう?」


「お前は、サンライズを使えるか?使えるのであれば、俺達に刻まれた刻印を浄化して消して欲しい」


「わかりました」


「感謝する」


「では、先にバーネジア様達から…誰だ!?」

大成は、会話していたら視覚の端に見えた人影に気付いた。


「おやおや、まさか気付かれるとは思わなかったのぉ。今も、完全に気配と魔力を消している状態なのだがのぉ。大したものだ。ホォホォ…」

フードを深く被った老人は、関心しながら変声機で声を変えた声音で話して笑う。


「何者だ?」

(あの爺さん、ただ者じゃないな。おそらく、最低でも俺や流星義兄さんと同等以上の実力を持っている)

警戒をしながら尋ねる大成。


「おい!爺!刻印が暴走するとか聞いてないぞ!」

バーネジアは、殺気を放ちながら怒鳴る。


「ホォホォ…」


「爺さん、あんた達の目的は何か知らないが、刻印は全て浄化させて貰う」

大成は、宣言した。


「よくも、俺達を嵌めやがって!」

「俺達もバーネジア様に続くぞ!」

「「オオ!」」

激怒しているバーネジアを筆頭に、ドンバネーヤ達も激怒しながら刻印の力を解放して刻印が青く輝き、バーネジア達の魔力が増大する。


「……。」

大成はバーネジア達を止めようと思ったが止まらないと悟り、その場で老人のちょっとした動きをも見逃さないように注意深く最大限に警戒すると同時に隙を窺っていた。


「これは、これは、腰が抜けるほどの迫力じゃのぉ。お年寄りの体にはつらいのぉ」

老人は、余裕の満ちた声で話す。


「だったら、大人しく、くたばれ!糞爺!」

バーネジアは、剣を振り上げる。


「ワシはお年寄りなんだがのぉ。もう少し優しくして労って欲しいのぉ。お、そうだったわい。忘れていたわい。せっかくの刻印を浄化されるのは困るからのぉ。その前に回収させて貰おうかとするかのぉ」

老人は、懐から石でできた元は丸い水晶であっただろうと思える石を取り出した。


「戻ってくるのじゃ。可愛い我が子供達よ」

老人が声を発すると、バーネジア達や気絶して倒れているニルバーゴスや兵士達の龍の形をした刻印が紫色に輝き、バーネジア達の体から離れて老人が思っている石できた水晶へと吸い込まれていく。


「「うっ」」

刻印が体から離れていくバーネジア達は、まるで体力を吸われていくかの様に体の力が入らなくなり、その場に倒れた。


「あれは、危険だな」

倒れていくバーネジア達の姿を見た大成は、右手に村雨を発動して龍の形をした刻印を絶ちきろうとする。


だが、老人は一瞬で大成に接近した。

「~っ!」

大成は、目を大きく開き驚愕する。


「お主は、化け物の様だのぉ。手加減は必要ないのぉ」

老人は、大成の心臓部に狙いを定めて右手を突き出す。


(危険だな)

危険を察知した大成は避けることができないと判断して左手を突き出し、老人の右手と合わせる形になった。


「「魔力発勁」」

大成と老人は、お互いの手が触れた瞬間に魔力発勁をし、自身の魔力を相手に流し込む。


「~っ!?くっ」

すぐに大成は押し負けると本能で察知し、自ら後ろに飛んで威力を軽減したが、左手が痺れた。


だが、既に龍の刻印の全ては老人が左手で持っている石でできた水晶に吸い込まれていた。



「ホォホォ…。まさか、暴走した巨人族達が倒されるとは想定外の出来事だったが、本命の計画は成就したから、まぁ良いとしようかのぉ」


「本命だと?」


「ホォホォ…。特別に見せてあげようかのぉ。1000年前の大戦線時、最強の金色(こんじき)のワルキューレ。目覚めよ!」

老人は左手に持っていた石を高々と上げると、石はヒビが入ると同時に金色輝き、破裂した。


老人の前に金色のドラゴンの形をしたロボットが姿を現した。


「~っ!」

(とんでもない魔力だな)

大成は、左腕を目の前に出して光を遮る。


「ん?」

大成は、ワルキューレが書物に記載されたのと違うことに気付いた。


書物には、金色のワルキューレの体は全身金色だと記載されていたが、目の前のワルキューレは全身が金色だけでなく日の当たりでシャボン玉の様に色鮮やか変化している。


「ホォホォ…。気付いたみたいだのぉ。まぁ、書物には詳しく記載されていないから仕方ないのぉ。特別に教えてやるかのぉ。金色のワルキューレは、初代竜王、【黄龍】ラークスの双子の弟【銀河】と呼ばれていたジンガが身命を賭してワルキューレを弱らせたお陰で封印ができたのじゃ。書物を読んだお主ならば知っているとは思うが、金色のワルキューレの能力は倒した相手の力を手に入れる能力。そう、ワルキューレは封印される前にジンガを倒したことによって更に強化されていたんだのぉ。名前をつけるとするならば【ギャラクシー・ワルキューレ】がピッタリかのぉ?」


「キュオオ!」

【ギャラクシー・ワルキューレ】は、翼を広げ、高々く声をあげる。


【ギャラクシー・ワルキューレ】の声によって衝撃波が周囲を襲った。


「せっかくだしのぉ。【ギャラクシー・ワルキューレ】、お主の力を見せて貰おうとするかのぉ」


「キュオオ!」

【ギャラクシー・ワルキューレ】は、大きな翼を広げて周囲の自然魔力を己の体内に取り込んで吸収し七色に輝き、自身の口に膨大な魔力を集中させて圧縮する。


「まず、巨人族達から葬るのじゃ。【ギャラクシー・ワルキューレ】」


「チッ」

大成はブラック・バレットで対応しようとしたが、【ギャラクシー・ワルキューレ】の標的が離れている大成から間近にいるバーネジア達になり、大成はブラック・バレットが間に合わないと判断して慌ててブラック・バレットを中断しバーネジアの前に出たが、その直後…。


「ギャラクシー・バースト」

【ギャラクシー・ワルキューレ】がコンピューターの様な抑揚のない声と共に七色に光る光線【ギャラクシー・バースト】が放たれた。


「くっ」

七色に光る魔力光線が大成に迫り飲み込もうとする。

次回、強行突破です。


投稿が遅れてしまい、大変申し訳ありませんでした。


次回もご覧頂けたら幸いです。

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