月の起源
「ねぇ、ーー?」彼の優しい声が私を呼ぶ
「なによ」素っ気なく答える。
「僕達結婚しようか」
急な事だった、それはきっと喜ぶべき幸せなことだろう、愛する者と一緒になれるのだから。
しかし私は……
「あんたそれ……自分が何言ってるのかわかってるの?! 」私は激怒した、何故彼がそんな事を言い出すのか理解ができなかった。
「……。うん、わかってるよ」
「じゃあ、なんでー……「君がいいんだ」
そう力強く言われてしまっては言い返しができなかった、だって私は彼を愛していた、やはり嬉しかったからだ。
「愛していているよ、僕と結婚して下さい」
彼はホントに馬鹿だ
ーーーリンゴーン……
おめでとうー!
なんだよ、先にこされちまったじゃねーか!
頑張ってね……。ーー。
「みんなありがとう。」
「……。」
「悲しそうな顔しないで?せっかくの結婚式だよ?」
笑えるはずがなかった。
「…ッ。」ガバッ
「わっ、びっくりした。みんなの前だ、流石に恥ずかしいな、ふふ。」
すこしでも多く彼の温もりに埋まりたかった。
「ーー……?僕は幸せだよ。」
そう言って彼の優しい声は私の耳を撫でる。
ーーーーーーー………
あなたの手が触れる所は、すべてあたたかくて、離れ難かった。
あぁ、どんどん彼が見えなくなる。
「どうしてよ」掠れた声で私は呟く。
……彼は私の中に取り込まれてしまった……。
私の愛しい人
泣かないで、僕の愛しい人
「オギャァーー!!」
月の起源を知る
きっと男女愛にするとこんな感じかなとふと思った短編です。