1日目
(ま、町が燃えている・・・・)
自分の慣れ親しんだ町が、子供のころから住み続けていた町が燃えていた。
「どうなってんだこりゃ・・」
夜で暗いはずの空が赤く色付き、自分の眼下にある建物なんかが真っ赤に燃えていた。俺は呆然とたたずんでいた。これは夢なのか?それとも現実か?急な光景に頭がうまく回っていなかった。そんなときある一言が俺を現実に戻した。
【助けなくていの?このままだとみんな死んじゃうよ?】
「そ、そうだ!みんなを助けに行かなくちゃ。俺はなにやってんだこんな所で」
俺は考えるのをやめ、友達や家族を助けるため急いで町に戻った。
「なんなんだよ・・これ・・」
町は上から見るよりもひどかった。家などは倒れ、道も瓦礫で埋まっていた。
「おーい!誰かいないか?だれか!」
誰も返事をせず俺の声だけが響き渡って聞こえた。
「なんでこんなことになってんだ。だれかいないのか?だれか!」
のどがつぶれるまで俺は叫び続けた。足が折れるほどに走り続けた。誰か生きてる人を見つけるために、希望を少しでも残すために。
「‥‥くん。」
「!? どこだ!だれかいるのか?」
「にーくん・・・」
「その声は!おいどこにいる?今助けてやるぞ!」
「にーくん・・・」
「そこにいるのか!!今助けてやる!待ってろ!」
呼ばれて見つけた先にはがれきの下に埋もれているあいつがいた。
「今どけてやる!待ってろ!」
「逃げて・・ここは危ない・・」
「逃げれるわけぇだろ!お前を置いて行ってどうすんだ!」
俺は上にのっている瓦礫を退かし始めた。
『ほんとにやさしいなぁ。にーくんは』
「ん?どうした?何か言ったか?もしかして傷が痛むのか?」
「何でもないよ」
「くっそ。どうすればいい?」
「ばかだなぁにーくんは。こっち来て引っ張って。」
瓦礫を退かす作業に手間取っているとあいつが提案してきた。あいつの顔はなんだか笑っているように見えた。
「そうだな。今そっちに行く。」
そういって近寄った瞬間
『ありがとうにーくん。今まで楽しかったよ。』
トンッ・・・
俺はあいつに押された。そしてあいつがいた場所に瓦礫が降ってきた。
瓦礫の落ちるうるさい音だけが響きあいつの声は聞こえなくなった。
あいつのいた場所には瓦礫の山ができていた。
「え?は?どういうことだよ・・なんでなんだ・・なんでこんなことになったんだ・・」
俺はこの状況に頭が追い付かなかった。
(子供の時から一緒で、小中も同じだった、高校も同じだった。そんなあいつがなんで・・なんで!?)
「ちくしょう!大丈夫か!今助けてやる!」
そんなことを何回も何回も言い瓦礫を退かし続けたがあいつの声は聞こえることなく、俺の声だけが響き続けた。
多くの方に読んでもらえたらとてもうれしいです。
ゆっくりと書いていくので気長に待ってもらえたらと思います。
それではまた次の話で会いましょう!
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