第6話
「うん良いよ」
…あれ?
案外アッサリしている
普通はもっと…こう…狼狽えるとかしないのか?
「えっ…!?今日は…調子悪くて…」みたいな言い訳をし始めると思ったのだが、とんだ見当違いだった事に俺は驚く
ユズナは立ち上がると右手を上にかざした
その瞬間、ユズナの右手が真っ赤な炎に包まれ、ユズナ全身を覆い隠すほど大きくなる
そして―…その炎はスッと消えた
「これで良い?」
俺は絶句する
手品か何かだという考えが一瞬過ぎったが、仕掛けは無さそうだし、何より【そういう感じ】がしなかったのだ
本物だ―…と理解した
それと同時に…何故かそのユズナが出した炎を懐かしいと感じた
なんだろう…なんか暖かさをかんじる
「ユズナは本当に火の精霊なんだね」
「何だと思ってたの?」
ユズナはまたもムッと口を尖らせながら、俺の隣に腰掛ける
「ユズナ以外にも精霊いたりする?」
「いる、私達精霊は精霊使いがいることで更に力を出すことが出来る」
「精霊使い?」
「そ、私達と契約を交わして、そして精霊と精霊使いの関係は絶対―…一生一緒に過ごすパートナーと言っても過言ではない」
そうか…それじゃぁユズナは―…
「私はいない」
「え?」
心を読まれたのか?
考えていた事の答えがユズナから帰ってくる
そっか、いないのか
…と何故か俺はホッとしていた
「私は、一生一人の人としか契約を交わさないと決めている」
ユズナそう言って俺を見つめる