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第3話
女の子がそんな顔をしていたのは勘違いだったと思わせるほどにほんの一瞬だった
次の瞬間には
「私はユズナ」
と自己紹介する
その名前を聞いた時、さらに増す頭の痛み
「っ…」
「っ!秋斗…痛むの?」
女の子…ユズナは凄く心配そうに俺を見ている
何で…こんなに頭が痛くなるんだ?
吐き気までしてきた
「秋斗」
俺があまりの痛さに返事も出来ないでいると、ユズナはそっと優しく俺を抱きしめた
右手は俺の頭に添えられ、優しく撫でられる
「っ!」
「痛いの痛いの…飛んでけ」
俺がその行動に驚いているとユズナがそう言って更に優しく撫でる
何故か、頭痛やそこから来ていた眩暈、吐き気が少し吹っ飛んだ気がした
「ユ…ズナ?はここの生徒…じゃないよね?制服着てないし…」
頭痛が少し収まった今だと思い、俺は気になっていたことを聞いた
ユズナの服装は薄ピンク色の花柄が少しついた可愛らしい白ワンピで、この学校の制服は着てない
それにここの生徒だったら間違いなく有名になっているだろうから、そうなれば俺も覚えてたり分かったりするはずだ