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第16話
炎が消えると同時にユズナと俺の唇が離れる
俺は胸元を見る
そこには真っ赤な精霊使いである証が記されていた
タトューみたいに刻まれているソレは精霊使いと、その精霊に与えられる証
ユズナの胸元にも俺と同じ真っ赤な花みたいな模様が出来ているだろう
その証は精霊の属性によって色を変える
ユズナは火の精霊だから、色は赤
その使い手の俺も同じ赤というわけだ
さっき剣を突き刺された横腹も治りかけていて回復が早い
「秋斗」
「うん」
俺は頷いてユズナの手を取って立ち上がる
そして、ユズナの手を握っている手に力を入れた
すると―…ユズナの全身が、俺の手(腕)が炎に包まれる
そしてユズナは俺の右手に細く綺麗な長剣として収まった
その剣は赤く鋭く、そして何より綺麗で、周りを炎が渦巻いている
うん、上出来
「………そ…そんな…うそ…その姿は…だって…もう死んだって…」
リリィは俺とユズナの姿を見て後ずさり狼狽える
声が震えていた
『秋斗、早くあいつにトドメさそ』
ユズナが剣の状態で喋る
容赦の無いその物言いに''怖いわ!''と突っ込む俺
リリィは俺達を信じられないという雰囲気で見ていた