第15話
―…一気に''記憶''が戻ってくる変な感覚
ユズナが泣いている
あぁー…泣かせないって…ずっと一緒にいるって約束したのに…
何やってんだよ俺
馬鹿だな、俺が泣かせてどうするんだ
「ユズナ……ごめん、一人にして」
「……ぇ?」
「約束…したのにな」
俺のその言葉にユズナのでかい目が更に見開かれる
「ごめん…もう絶対…本当に一人にしたりしない…一緒にいるから…」
「秋…斗」
「だから…もう泣くな」
俺はユズナの頬を伝う涙を親指で拭うと頭を撫でた
「思い…だした…の?」
「うん」
「秋斗…私が…分かる?」
「うん」
「秋斗…っ」
「ごめんね、ユズナ…」
「良いの!…秋斗はこうして思い出してくれた…また一緒にいられる…それだけで充分」
ユズナはあの日と同じように涙ぐみながらも花のように笑う
「秋斗…私…」
「うん、もう一度俺と契約を交わしてください」
「…!喜んで」
ユズナが嬉しそうに目を細める
「ちょっとちょっとぉ、私の事忘れてない?ちょーと黙ってあげてたらなんか良い感じになってるしぃ、ナニコレ?契約とか言ってるけど、させるわけないから〜」
リリィが血の剣を俺達に振りかざして…
「邪魔」
ユズナが炎を出してリリィに向けて放ち、リリィはユズナがもう炎を出せないと思っていたのか油断しまくりで簡単に吹き飛ばされる
「きゃっ…何で!?」
「秋斗がいるなら私は強い」
「はぁ!?」
「秋斗、契約」
「あ、うん」
ユズナがリリィを無視して俺を見る
そしてユズナの顔と俺の顔が近づき…距離が0になる
唇と唇が重なった瞬間、俺達を炎が包む
そして地面に真っ赤な模様が浮かび上がり、俺達を包んでいた炎が消えた