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第14話
―…これは昔の''記憶''
綺麗な花が咲き誇る庭に、1人の少女がいた
少女はそこに座り込んでポロポロと涙を流し泣いている
真っ赤な髪が花と一緒に風で舞う
「大丈夫?」
そんな女の子に喋りかける1人の少年がいた
―…俺だ
「…………」
少女はその声にビクッと肩を震わせ、更に俯いてしまう
「寂しいの?」
少女の隣に座り込んで頭を撫でる
「……」
そこで少女が初めて俺を見た
「僕が一緒にいてあげる」
その言葉に少女の綺麗なバイオレット色の瞳がいっぱいに見開かれる
「僕がずっっと一緒にいてあげるから…だから、泣かないで」
「……本…当?」
少女が初めて発した声は震えていた
不安と期待が入り交じった瞳
「うん!約束する、僕は絶対君の側を離れない、一緒にいる!守ってあげる!」
少女の手を取って、優しくギュゥと抱きしめた
「嘘…じゃない?」
「うん」
「本当?」
「うん」
「っ…」
「君はもう1人じゃないよ」
その言葉に少女は声を出して泣いた
それを抱きしめる力で答える
「僕、秋斗…波神秋斗」
「秋…斗?」
「うん、君は?」
「私は―…」
"火の精霊ユズナ''
少女はそう言って花のように笑った―…