第13話
ユズナは俺の血を少しでも止める為か、支えたと同時に横腹を手で抑えて、横たわらせた
「秋斗…秋斗っ…!」
ユズナは何度も俺の名前を呼ぶ
「…ユズナ…大…丈夫?」
「私は大丈夫っ…怪我をしてるのは秋斗…っ、今の秋斗はただの人間なんだから…こんな深くまで貫かれて血もいっぱい出てる…!死んじゃうっ!」
"今の''ていう言葉に引っかかったが、今はそんな事気にしてる余裕も無かった
「だねぇ、人間は弱いから…死んじゃうね!!」
リリィは楽しそうに笑いながらユズナと俺を見る
「………許さない」
「はぁ?」
「お前を許さないっ」
「許さないのは勝手だけどさぁ、その男もう死ぬんじゃない?」
「っ!」
リリィを殺気立てて見ていたユズナがはっと俺を見る
「あ…ダメ…っ…秋斗!」
俺の息の荒さと、体温が下がっていっているのを感じたのかユズナが俺の横腹を抑えていた手の力を強める
「……っ」
大丈夫て言おうとするが声が出ない
「秋…斗ぉ…やだ…やだぁ…」
ユズナの綺麗な目から大粒の涙が落ちた
その涙は俺の頬に落ちて伝う
そのユズナの泣いている姿を見て、俺の頭に一瞬にして''記憶''が流れた
その''記憶''はすんなりと俺の頭に入ってくる―…