第12話
「いちいちうるさい」
ユズナは小さく舌打ちしながら呟く
「ま!これでバイバイだねぇ〜、だから最後にお名前教えてあげるよ!」
「聞いてない」
「死神のリリィ、血の使い手とは私の事だよぉ、後少しでサヨナラだけどよろしくねぇ〜」
死神…リリィはケラケラ笑いながら血の鎌を剣に変化させると、それをユズナに向ける―…
「っ…!」
ユズナが身を縮こませて目を瞑るのが分かった
俺は走っていた
体が勝手に動くってこういう事だな
と、どこか他人事に思いながらも足を止めない
ユズナの元へと俺は一直線に迷いなく走っていた
「ユズナっっ!!」
ユズナを庇うように前に出たと同時
俺の横腹あたりを剣が貫いた
グチュとか嫌な音が聞こえ、ボタボタと赤い…俺の血が地面を汚す
「秋斗っ…!!」
ユズナが俺の名前を呼ぶのがどこか遠くに聞こえる
や………やばいな、これは死ぬかも
いや、死ぬ
痛い、なんてものじゃない
そんな言葉では表せないほどの痛みが俺を襲う
痛さと、出血の多さで目が霞んでクラクラする
「ありゃ?出てきちゃったぁ、ごめんねぇまさか出てくるとは思わなかったよぉ〜」
リリィは悪く思ってもなさそうに言うと、剣を俺から抜く
ズリュッ…
という音をたてて剣が抜かれてく感覚
剣を抜かれた俺はその場で倒れ込んだ
それをユズナが駆け寄って支える