第10話
なんかやばい雰囲気だ
女の子は手をかざすと―…何かを放った
「っ…秋斗っ!」
ユズナは俺を思いっきり突き飛ばす
するとその''何か''は俺の鼻を掠めて―…
ドゴォッッ
と凄い音をたてて壁にめり込んだ
パラパラと壁の破片が落ち、壁にものすごいでかいひびが入る
その壁にめり込んだはずの''何か''は壁に当たった瞬間消えてしまったため粉々になった壁だけがそこに残った
……………はい?
今…何が?
俺の鼻から一筋の血がたれる
「あ〜ぁ、外しちゃったぁ」
女の子はさして残念そうじゃなさそうに言う
外しちゃったぁ?
いやいやいやいや、当たりましたよ
俺の鼻掠めたよ!
少しだけど当たったよ!!俺の鼻に!
…と突っ込みたかったがまた放たれても困るし、俺の隣から凄い殺気が感じられるので止めた
ユズナだ
「秋斗は私が守るから大丈夫、一瞬、本当に一瞬で殺るから」
最初に俺を守ると言った時のユズナは小さく、だが優しく笑った
だが、一瞬って言った時から顔が変わったのを俺は見逃さなかった
怒ってる
ものすごく怒ってる、殺気がやばい
その目で何人死人がでるだろうと思うくらいやばい
「一瞬で殺られるのはお前だってば〜、契約者もいないんだからさぁ」
「黙れ」
「こっわぁ〜、自信あるみたいだけどさぁ、まじで勝てると思ってるわけ?」
「当たり前…お前絶対許さない」
「こいつむかつく」
女の子も負けじと殺気を放っているようだった
流石死神なだけある
フードで目は見えないはずなのにそれでも殺気が感じられる
俺がその殺気に1歩足を引っ込めた時、壁の破片を踏んだ
パキッと音がしたと同時に動き出すユズナと死神
あの音が合図になってしまったみたいだ