#07 涙の後は
雫の話によると、あの後地元から引越しをして、ここに住み始めたらしい。
そのころから、三つ編みの眼鏡っ子にしたという話だ。
俺にすれば、それでも十分可愛いのだが。
腕の中で泣き止んだ雫は、はっとした様子を見せて、俺から離れていった。
俺は「危ないから」と言い、彼女を家まで送ることにした。
さっきは、買い物に行っていたという。
その買い物袋は、さっきの男たちに追われているときに、どこかに落としたらしい。
雫は「また買えばいいから」と言って、今日は断念した。
家まで送ると、ありがとう。と彼女は俺に囁いて家の中へと入っていった。
驚いたことに、俺の家から雫の家までは10分程度で行ける場所にあったのだ。
俺は少し、まだ腕に残っている雫の温もりを感じながら、家へと足を進めた。
帰る途中、メールアドレス聞いておけばよかった。と後悔したが後の祭り。
明日の朝にでも聞けばいいか。
俺は、誰もいない家のドアを開いた。
「ただいま」と言っても返事は無いこの家。
さっきまでの温もりが一気に冷えたように、少し…少しだけ感じたことの無い、寂しさが俺の心へと入り込んできた。
次の日の朝。
いつもの時間の電車に乗り、再び雫に会えることを期待して学校へと向かった。
すると今日は、電車の中で三つ編みモードの雫を見かけた。
俺が乗る、次の駅から乗ってきているらしい。
「よっ、雫」
俺が彼女のそばに寄り話しかけると、案の定無視をされた。
「お〜い、雫ちゃん?」
肩をポンポンと叩くと、ようやく俺のほうを向いてくれた。
「気安く名前で呼ばないで」
昨日は俺のことを名前で呼んだくせに。
「で、何?」
彼女は俺を睨み付けるように見てきて、俺はその視線に少しうろたえた。
ビビッたんじゃなくて、照れるほうで。
…睨まれて、照れるなんて俺はマゾっ気があるのか?
いや、殴られるのは好きじゃない。
…これが恋なのか?
「いや、おはようって言いに来ただけなんだけどね」
「そ、おはよう」
彼女はそれだけ言うと、再び俺を見なくなった。
そのまま少し沈黙の時間が過ぎたとき、昨日のメールアドレスを聞く事を俺は思い出した。
「石上、電話番号とメルアド教えてくれよ」
俺がそういうと、再び彼女の顔がこっちを向いた。
「な、なんであんたに教えなきゃいけないのよ」
少し驚いた様子の雫。
「俺と、石上の仲だろ?」
「どんな、仲よ」
雫は呆れた様子を見せてから、手をポケットに突っ込んだ。
そういう顔をされると、少し悲しくなるんですが。
「早く携帯出しなさいよ」
雫がそう言うと、俺はあわてて携帯を出した。
「私が受信するから、送って」
俺は、赤外線送信できる機能を使って、俺のメールアドレスと電話番号を送った。
携帯をこうやって、向かい合わせにすると、少しドキドキする。
こんな事、今まで無かったのにな。
送信完了の文字が表示されると、彼女はちゃんと入っているか確認のため、携帯をいじってい
る。
「へぇ、大地って私と同じ誕生日なんだ」
「まじか?」
俺が送った情報には、住所や、誕生日なども含まれている。
そうしていると、学校の最寄の駅についてしまった。
「それじゃあ、あとで私の送っておく」
それだけを言って、雫は電車を降りた。
去っていく彼女に俺は少しでも近づきたくなって、少し小走りをして追いついた。
雫と一緒に行く学校が何よりも幸せだった。
自分の文章能力が本当に足りない…。
バンバン訂正とか、こうしたほうがいいと言うアドバイスをくださると本当に嬉しいです。
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宜しくお願いします。