#45 修学旅行〜出発〜
「俺は、雫ちゃんが好きだよ」
その告白から、家に帰るまでは沈黙の時が俺達の間にあった。
しかし、家に帰ってからというものの、空はそんなことも無かったかのように俺に接してくる。
…空は俺が雫の事をなんとも思ってないと思っているんだもんな。
俺達は明日の準備を終え、布団へともぐりこんだ。
そして、朝がやってくる。
「だ〜い〜ちっ!」
ボン! という音と共に、俺の体に痛みが走った。
「いってぇ!」
「やっと起きたぁ」
この痛みの原因は、どうやら空が俺の体を布団越しに殴ってきたらしい。
布団越しでもこの痛さ。
さすがは俺の弟というべきだろうか。
「朝ごはん食べるから、早くリビングに来いよぉ」
空はそういうと、鼻歌交じりで俺の部屋から出て行った。
俺はというと、未だに残っている痛みと眠気、両方と戦いながらベッドから降りていた。
着替えも終え、空の美味しいご飯が待つリビングへと足を運ぶ。
俺が行くころには、机の上には料理が並べられていた。
「やっぱ、空のご飯はうめぇな」
「だろ? だろ? もっと褒めてぇ!」
ニシシと笑うのがどうも空の癖らしい。
その笑顔が、女の子の心を掴むとも知らずに使っているのだろうか?
それとも、わざとなのだろうか?
いまいち、俺にはわからない。
ご飯も食べて、修学旅行に行く準備をして、いざ出発。
修学旅行へ。
集合場所は学校となっている。
どうやら、学校からバスで空港まで行くらしい。
目的地は北海道。
9月下旬のこの暑い時期に北海道とはなんともありがたい話なのだ。
いつものように電車に乗り、学校へと向かう。
次の駅では、いつもより大きい鞄を持った雫に会った。
「雫ちゃん! おっはよぉ!」
いつも最初に挨拶するのは空と決まっている。
「おはよ」
そして、最近の俺はというと、雫に挨拶もしていないのだ。
挨拶できる雰囲気を空が作ってくれないというか、なんというか。
とりあえず、挨拶をしていない。
雫はいつものように、俺達のほうに一切見向きもしない。
空はそれでもかまわないかのように、一方的に話をしている。
たまに、雫から返事が返ってくる程度だ。
「雫」
電車を降りて、学校に向かっている最中、俺がふいに雫の名前を呼んだ。
「何?」
俺は何も言わず、雫が持っている鞄に手をかける。
「な、何よ!?」
「…持ってやる」
雫は、すんなりと手を離した。
やっぱり、重かったのだろう。
「お、落とさないでよ!」
「そこまで馬鹿じゃない」
しかし、俺の鞄ひとつと、雫の鞄…すっげぇ重い。
思ったより、雫の鞄が重かったのだ。
よく、こんな重い鞄を持っていたな。
いったい何が入っているのか知りたいぐらいだ。
学校に着くと、空に雫の鞄を渡した。
「もってやれよ」というと、空は素直に頷いて、雫と一緒に3組の所へと行った。
雫が去り際に「ありがとう」と呟いたのは、気のせいではないと思っておこう。
修学旅行編スタートです。
一応、この章で終わりにしたいなぁと思ってたりw
発展が急すぎてごめんなさい。
これから、少しどよ〜んとした小説になりますが、
どうぞよろしくおねがいします。
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