#44 修学旅行前夜の告白
「ただいまぁ」
俺が雫を誘った後、川原で少し最近のことを話したりした。
…そんなに話は続かなかったけれども。
その辺は気にしたら負けなのだ。
そして家に帰るころには、空も家に帰っていて、家に入れた。
「おかえり! 大地…と…?」
空が少し不思議そうな顔をしている。
それもそうだ。
俺の後ろには、あの雫がいるんだからな。
「ど、どうしたの? 雫ちゃん」
「あ〜、なんか親が居なくて、家に入れないらしいんだ。そこで、たまたま散歩していた俺が雫を拾ったって訳」
「そうなんだぁ」と、空は納得してくれたようだ。
「おじゃまします」
律儀に靴をそろえてから、俺の家に上がった。
前、俺の家に来たときはしなかったのに。
空が居るからか?
いい子に…見られたいのか?
もしかして雫は…
あ〜! やめやめ! 今は雫がいるんだ。少しでも楽しもう。
「雫ちゃん、ご飯食べていきなよ。親さんは何時頃に帰ってくるの?」
「1時ごろ」
「そっか。じゃあ、食べていきなよぉ。俺のご飯結構大地に評判なんだからぁ」
ニシシと笑う空は、男の俺から見ても格好良かった。
なんか…悔しいな。
「じゃあ、俺の家にくるか?」
と聞いた後、雫は「えっ?」と少し困ったような顔をしたのだ。
この前、あんな事をしてしまったのだから、当たり前なのだろう。
だけどなんだか悲しくなって…胸が熱くなった。
「ほら、空もいるから変なことはしないよ。安心して」
俺のその言葉で納得したのか、外でそこらの誰かに絡まれるより、俺のほうがまだ安全と思ったのかは分からないが、小さく一度だけ頷いた。
『空がいるから』ということで頷いたのではないか…ということはあまり考えないようにしたのも事実だ。
雫が家に来てから少し時間が経ち、空と俺と雫でご飯を食べていた。
「雫ちゃんは、なんでカヌーにしたの?」
「え?」
「ほら、今日の朝言っていたよね?」
「なんか…面白そうだから」
「そっかぁ。俺もカヌーにすればよかったなぁ」
空と雫のその会話を聞いているだけで、なんだか辛い気持ちになってくる。
心臓がちくちくするような、そんな気分になってしまうから。
「だ…ち? だ〜い〜ち!」
「うへ?」
「どうしたんだよ、ボーとしちゃって。大地は何にしたのぉ?」
「俺? カヌーだよ」
「カヌーかよ!! 俺と代わってくれよぉ。顔似ているんだし、バレないって」
「嫌だよ」
「けちっ!」
空には悪いが、俺は譲る気は無い。
だって俺は…雫が好きだから。
ご飯も食べ終わり、その後は結構楽しい時間をすごした。
家にあるゲームで雫と遊んだり、いつもよりたくさん色々話せたし、空の質問のおかげで雫の事を色々知れた気がする。
好きな色とか、嫌いな食べ物とか、聞いたことも無かったからな。
そして、1時ごろになり、俺と空は雫を送っていくことに。
雫を見送ると、帰りは空と二人きり。
今日あったことや、楽しかったことを話していると、空がいきなり雫の話をし始めた。
「大地ってさ、俺が雫ちゃんを紹介する前から、雫ちゃんのこと知っていただろぉ?」
「え?」
「態度とか見れば分かるよぉ。その…大地は、雫ちゃんの事…好きなの?」
さっきまで笑っていた顔だった空の顔が真剣な顔になった。
その証拠に、足がぴたりと止まっている。
何故、その質問をする?
「そ、そんな…ことはないけど」
そういうと、空は俺に一度笑みを見せた。
「俺は、雫ちゃんのことが好きだよ」
―――――何故、俺に言う…?
こっから、急展開の予感です。
'`・・・・'`ィ(´д`ill)
次回から、予定しているところでは最終章
もしかしたら、まだもう一章続くかもしれませんが。
修学旅行編スタートです。
自分の文章能力が本当に足りない…。
バンバン訂正とか、こうしたほうがいいと言うアドバイスをくださると本当に嬉しいです。
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