#39 弟参上、涙と友に
「大地!」
そう言って、空は俺に抱きついてきた。
これだけを見るとホモっ子に見えるのだろうか。
それとも、感動の再開で感動する場面なのだろうか。
今の俺には…感動している余裕は無いのだろうけど。
「久しぶり…」
「大地…?」
久しぶりだと言うのに、空に心配されてしまう。
けど、今の俺にはどうしようもない。
「そ、空! 久しぶり!」
この場で唯一俺の状況を分かっている明が助け舟を出してくれた。
「明! 久しぶりだなぁ! 男前になったじゃん!」
空は俺から離れて、明の下へと歩いていった。
その隙に、俺は空に『またな』と呟いて、歩き去っていく。
明は空と別れを告げたあと、俺の下へと再び来てくれた。
数分歩いて、着いた先は屋上だった。
屋上へ行く階段には手作り感いっぱいの木のドアがあり、本当はそこに錠がかかっているのだが、少し強く引っ張れば錠はあっさりと外れてくれるようになってるのだ。
屋上のドアを開けると、この時期特有の暑さが襲ってくる。
後ろには、何も言わずについて来てくれた明。
俺は、近くの壁にもたれかかり、屋上の地面へと腰を下ろした。
明は俺の隣に座り、話し始めた。
「空が…帰ってきたな。あと…由梨先輩も」
気まずそうに言う明は、俺のこの痛い気持ちが分かっているのだろうか。
「…大地は、由梨先輩のこと…その、好き…なのか?」
「好きなわけねぇ。あんな女」
好きなわけが無い。
俺を見捨てていったあんな女。
忘れろと言ったのはどこのどいつだ。
もう俺を苦しめるな。
そんな言葉が、さっきから頭の中で飛び交っている。
「俺は、大地の気持ちを100%分かってあげることができない。出来てもせいぜい40%ぐらいなんだろう。でも、俺はお前のことでひとつだけ100%分かっていることがあるんだ」
「…なんだよ?」
俺は明のほうを見た。
明は、空を見てから俺の顔を見ていつものようにニコッと笑った。
「雫ちゃんがいるだろう?」
…雫。
あの俺を心配するように呼びかけた声が俺の頭の中で木霊のように反響する。
『大地』
そして、ひとつ、俺の頭の中で違う声が聞こえた。
由梨の…呼ぶ声が。
「もう、訳わかんねぇ。…どうすればいいんだ!」
その場で泣き崩れてしまった。
理由は定かでは無い。
ただ、何故か涙がこぼれてきた。
雨が降ったかのように、洪水が起きたかのように、俺の目からは涙があふれ出てきて、屋上の地面をぬらした。
「明」
少し気持ちが落ち着くと、俺は明の名前を呼んだ。
「何?」
「俺さ、由梨にどういう顔して会えばいいだろう?」
「いつもどおり接すればいいさ」
俺は『ありがとう』と明に言うと、いつものように笑ってくれた。
弟参上です。
空はかわいいです。
…すんません。
自分の文章能力が本当に足りない…。
バンバン訂正とか、こうしたほうがいいと言うアドバイスをくださると本当に嬉しいです。
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