#32 夏休みの禁断症状
夏だ、海だ、青い空だ、水着だ!
「って、全然面白くねぇ!!」
ベッドの上でバタバタしていると、明に笑われた。
「雫ちゃんに会えない禁断症状か?」
「うっせぇよ」
明は、俺と雫の事は結構熟知しているほうである。
俺がまだ片思いと言うことも、雫が俺にあまりにも興味がないことも知っているのだ。
メールを送っても、一日に返ってくるメールは10件もない。
これほど寂しいことはあるだろうか。
「夏休みなんだから、もう少し女遊びしようぜぇ?」
「一人でギャルゲーでもして勝手にやってろ」
そう、今は夏休みなのだ。
夏休みということは、雫と唯一会えた学校の登校もないわけで。
自分で言うは恥ずかしいが、人生初、禁断症状というものにかかってしまったようだ。
雫に会いたい。
声だけでもいい…聞きたい。
あの温もりを感じたいのに…なんで夏休みと言う、片思い者反対運同様なものがあるんだ!
これじゃあ拷問だ! 体罰反対!
今までは夏休みなんて天国のように感じていたのに!
恋って恐ろしすぎる。
「なぁ大地、そんなに好きなら遊びに誘っちまえばいいじゃん。祭りとかさ」
それが出来たらこんなに苦労しないって。
祭りかぁ…。
携帯を片手に持ち、メールを打った。
『土曜日暇? 遊びに行かないか?』
送信ボタンを押すと、俺はポイっと携帯を枕元へと投げて、明と話しはじめた。
10分後、俺の携帯がなり出した。
携帯のサブ画面をみると受信完了となっており、メールが届いたようだ。
メールを開くと、『いいよ! 久しぶりに遊ぶねぇ!』と元気がいいメールが来ていた。
『じゃあ、土曜日の5時に駅前集合で!』
それだけ打って、メールを送ると、俺は再び携帯を枕元に戻す。
「なぁ、明。今週の土曜日暇だよな? 遊ぼうぜ」
「用事があるといっても、大地は連れて行くんだろぉ?」
「瑞樹も呼んだから、久しぶりに祭りでも行くか」
「お、行く行く!」
さっきのメール相手は、残念ながら雫ではありませんでした。ハイ。
瑞樹とはここのところ、遊んでいなかったからな。
久しぶりに、このメンツで遊んでみるのも面白い。
小学校、中学校と、この時期になると俺たちは3人でよく祭りに行っていたのだ。
高校生になると、俺たちはなかなか会うことも無く、去年の祭りは不良仲間を連れて行ったもんだ。
なので、今度行く祭りは、俺たちの思い出の場所でもある。
「懐かしいよな。小学校のときは…空がいたんだよな」
「お前、そんな昔のことをよく覚えてるなぁ」
…空とは、俺の双子の弟である。親の離婚時に父親に引き取られたのだ。
俺は今の母親に引き取られたのだが。
「空は元気にしているのか?」
明は俺に聞いてくるが、俺がそんなことを知る由も無い。
小学校4年生のときに別れた以来、話した事も連絡を取ったことも無いのだから。
「わかんねぇよ」
俺はボソッと呟き、携帯に目を向けた。
鳴らない携帯。
最近は玩具にしていた女からの連絡も無に等しくなった。俺が、一人の女にベタ惚れだという噂を流している奴が居るらしい。
…多分それは明だと思うが。
まぁ、いちいち断るのも面倒くさいと思っていたから、明にはそこのところ感謝だ。
俺はふと気がつくと、片手に携帯を持ち、送信者の名前だけが書いてある、新規メールを作っていた。
『今何してる? 暇だぁぁぁぁ』
本文にそうつけて、メールを送ってみた。
…送信相手である、雫からはその日メールが返ってくることは無かった。
自分の文章能力が本当に足りない…。
バンバン訂正とか、こうしたほうがいいと言うアドバイスをくださると本当に嬉しいです。
評価等で言いにくい人は、
net_touki_net@yahoo.co.jp にメールを送ってくださるか、
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で、匿名でのメッセージもできます。
宜しくお願いします。