#03 お前が石上雫?
「え…」
俺はつい、声をもらしてしまった。
いや、だってさ、今朝あったときは超美人で、可愛くて、髪の毛は結んでいなかったし、目はくりくりしていて、眼鏡掛けてない子なのに…
結局、俺の思考の先には、別人という文字が浮かんだ。
別人かよ。
そう思って、諦めて自分教室に帰ろうとしたとき、あの香りがした。
甘くて、俺の心を癒す。そんな香り。
あの、石上雫と同じ香り。
その臭いの元は、三つ編みの眼鏡の女の子からだった。
無意識に手が伸びる。
今朝同様、腕をつかんでしまった。
「いし…がみ?」
「は、はい?」
「君、石上雫か?」
「は、はぁ」
彼女はおどおどしている様子。
恥ずかしいのか、まともに俺の顔を見れないようだ。
周りの視線を集めているのは嫌でも分かる。
「これ、お前のだろう?」
そういって取り出したのは定期。
それを見て、彼女は俺を見てはっとした顔をした。
「あっ…」
俺は小さく声をもらしてしまった。
眼鏡のおくには、くりっとした目。
俺が捜し求めていた人に違いない。
「あ、あのさ」
「て、定期ありがとう」
そう言って、彼女は去っていった。
あの子だったのか。
教室がざわざわしていた。
それを無視して俺は自分の教室へと戻っていった。
「よっ、おかえり〜。飯食おうぜ」
明が待っていた。
「おう」
俺は、行きに買ってきたパンを取り出して、口へと運び始めた。
あの子は何で顔を隠すのだろう。
あんなに可愛いのに、本当にもったいない。
「……いち、だ…ち? 大地きいてるか〜?」
「お、おう?」
「なんだよぉ。せっかく人が面白い話し、してやっているのに。好きな子のことでも、考えて
たのか?」
クククと再び笑い出す明。
「うっせ。あのさ…」
「ん?」
「あ、いや、なんでもない」
こいつに、石上雫のこと聞いたら、絶対馬鹿にされる。
また、色々聞かれるのが面倒だから、後で瑞樹にでも聞いておくか。
瑞樹のフルネームは、遠山瑞樹。俺と、明と同じ小学校出身の幼馴染だ。
俺は瑞樹を女と見たことないし、瑞樹も俺を男と見たことは無いだろう。
昔からの相談相手。特に俺が聞く側だが。
放課後、瑞樹の携帯にメールをして、一緒に帰ることにした。
「どうしたのよ? 珍しい。何かあった?」
帰り道、瑞樹が俺に聞いてきた。
「いや、まぁ、うん」
「どうしたのよ〜」
「まぁ、たいしたことじゃないんだけどさ、3組の石上雫って知ってるか?」
「石上…あぁ、あの優等生?」
瑞樹はパンと手をあわせて、思い出したかのように言った。
「優等生?」
「そうそう、学年でいつも上位の成績をとっている子よ。確か、入学式のときは、挨拶をしてた気がする。入学生代表として」
「そ、そうなんだ」
俺とはかけ離れた存在か。
小さく、心の中でため息をついた。
自分の文章能力が本当に足りない…。
バンバン訂正とか、こうしたほうがいいと言うアドバイスをくださると本当に嬉しいです。
評価で言いにくい場合は
net_touki_net@yahoo.co.jp にメールを送ってくださるか、
http://plaza.rakuten.co.jp/mlq84s/mailboxform/
で、匿名でのメッセージもできます。
宜しくお願いします。