#25 告白
「お願い…帰らないで」
「…え?」
雫は驚いた表情を見せている。
「ど、どうしたのよ、急に」
戸惑いの表情に変わった。
「その…もう少し、勉強を教えてもらおうかと」
「大地に教えることがないんですが」
「まぁ、そうだけど…」
…苦し紛れのいい訳だったな。
「何かあったの?」
俺の傍に寄ってきて、顔をうかがってくる。
「何もないよ」
ただ、一緒に居たいだけなんだ。
雫と同じ空間に居たいんだ。
顔を上げると、俺の目の前には、世界一可愛くて、愛しい雫の顔があった。
くっきりとした目、眉毛は細くて、輪郭もすっきりとしていて、髪の毛は少し肩より下にあ
る。
触ったら離れなさそうな肌に、少し小さくて柔らかそうな唇。
…柔らかそうな唇。
そこに俺の目線は釘付けになり、少しずつ近づいていった。
唇に雫の柔らかい唇の感触を感じた瞬間に、自分がしてしまった過ちに気付いた。
「ご、ごめん!」
俺は雫から離れ、ベッドから降りた。
「本当にごめん」
雫は、状況を把握できていないのか、その場で固まっている。
「し、雫?」
「へ?」
どっから声が出たのか分からない声で、返事をしてきた。
「やっぱり、家まで…送っていくよ」
俺はそう言って、雫のかばんを手に取った。
中には教材が入っているのか、少し重さを感じる。
「う、うん」
帰り道は、二人とも何も話さなかった。
気まずい雰囲気になってしまった。
それもこれも、俺のせいなのだ。
キスをしてしまった事によって、俺の気持ちはバレてしまっただろう。
してしまったことは、後悔してももう遅い。
遅い…。
「雫…」
俺が名前を呼びかけても、雫は俯きながら歩くだけ。
「さっきのは…」
何でもないわけが無い。
何も言えないまま、俺の発言は終わった。
もしかすると、このまま雫は何も話してくれないかもしれない。
もしかすると、この前みたいに、何も無かったかのように接してくれるかもしれない。
もしかすると、雫に嫌われてしまったのかもしれない。
嫌だよ…雫ともう話せなくなるなんて。
嫌われてしまうなんて。
大好きだから、雫のことが。
愛しているから、雫のことを。
これ以上、大好きな人が、いなくなるのは嫌なんだ。
そう思うと、過去の過ちを学習できないまま、俺は雫の身体を抱きしめていた。
「キスしてごめん…雫。けど俺…雫のことが…」
彼女は抵抗をしようとしない。
誰かが通るかも知れない通路の真ん中で、俺に抱きしめられながら、ただ黙って聞いていた。
彼女の表情は伺えないが。
俺は大きく息を吸い、覚悟を決めた。
「俺…雫のことが、好きなんだ」
そう、好きなんだ。
会ったときからずっと。
この数日間で、雫を心から好きになってしまった。
俺に無くてはならない存在へと変わってしまった。
「…大好きなんだ」
やっとの思いで…大地乙です。
自分の文章能力が本当に足りない…。
バンバン訂正とか、こうしたほうがいいと言うアドバイスをくださると本当に嬉しいです。
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