#21 大地と雫
「だ…いち?」
その声で、俺は過去の記憶の瞑想から、現在へと引き戻された。
どうやら足元に居る、雫が起きたようだ。
「雫…起きた?」
雫は、目をゴシゴシしながら「寝ちゃったのか」と呟く。
「雫、ごめんな…」
俺のせいで、雫にあんな危ない目をあわせてしまった。
俺なんか…雫の傍に居る権利なんか無いんじゃないのか?
雫と関わってはいけなかったんじゃないのか?
俺は…人を…好きになってはいけなかったのではないだろうか。
下を向いて落ち込んでいると、足に衝撃な痛みが走った。
「いってぇ!」
足をさすっていると、雫は笑いながら
「こ、これで許してあげる!」
そして、雫はまた顔をそらす。
どうやら、雫が俺の脚に自分の手を振り下ろしたようだ。
「…うん」
俺は素直にうなずき、雫はその場に立ち上がった。
そのまま立ち尽くしている。
どうしたのだろう? と見ていると、彼女はこっちを振り向いて「あ、歩けないのか…。」と下を向いて呟いた。
…あ〜、家に帰るから送っていけと。
分かりにくいアピールの仕方だなぁ。
「送っていくよ。ちょっと待ってて、着替えるから」
そう言って、俺は自分の服に手を伸ばす。
さすがにボロボロの服で行くわけにもいかない。
時間を見ると、もう8時を回っていた。
服を手に取りながら、俺は少しの間雫のほうを見て少し止まってみる。
雫は俺と目があうと、『何?』みたいな顔をしている。
気付いてないのか…。
俺はおかしくなって、雫の顔を見てフッと笑ってしまった。
「何よ?」
雫は本当に分かっていないみたいだ。
俺が、服を持って着替えると言うのに、この空間に居る事の意味が。
俺はおもむろに服を脱ぎだした。
すると、彼女はハッとして後ろを向いた。
やっと気付いたか。
俺は服を着替え終え、雫に「行くぞ〜」と言うと、彼女はこっちを振り向いて俺についてきた。
明は、気を利かせたのか、俺たちと一緒に家を出て、一人で帰っていってしまった。
10分程度の道のりで着く雫の家。
その間、無言のままで隣同士歩く俺たち。
沈黙をやぶったのは俺のほうだった。
「俺…」
このまま、雫の傍に居ていいのかな?
そう聞こうとして、やめてしまった。
「何?」
案の定、雫は俺の中途半端な言葉に、問いをかけてくる。
「いや、なんでもない。」
「気になるから、言いなさい」
「なんでもないって。」
「なんでもないなら、言えるでしょ?」
「言いたくない」
「怒るよ?」
「…ごめん」
「何が」
「今日」
「それは、さっき許したでしょ。いつまで引きずっているのよ。馬鹿じゃないの?」
うっ、好きな人に馬鹿じゃないの? って、言われると傷つくのですが。
「…俺さ、雫の傍に居ていいのかなって」
「はぁ? 何それ」
「また、今日みたいなことがあるかもしれない」
俺は、雫に相応しくないから。
雫は言葉を返せないまま黙ったままだった。
…と言うか、俺ってあっけらかんとすごいことを言ってしまったのではないのか?
『傍に居る』とか…。
そう思うと、顔が赤くなってきたのが分かる。
外が暗くて本当によかった。
雫の家の前まで行くと、雫は家へと入っていこうとした。
…が、そのまま俺の方へと振り向き、こう言ったのだ。
「あ、あ、明日…いつもより三本早い電車に乗っていくからね!」
俯きながら言う雫は、本当に可愛かったのだ。
その言葉は、傍に居てもいいと言う意味なのだろうか。
それとも、気まぐれで言っただけなのか。
俺は「わかった」と呟いて、「おやすみ」と雫に手を振った。
雫も「おやすみ」と言って、家に入っていったのだ。
俺の足は来た道へと進みだした。
10歩ぐらい歩いたところだろうか、後ろからガチャっという音が聞こえて、何かがこっちへと走ってきた。
雫だ。
「どうした? 忘れ物か?」
俺は、雫を見ながらそういうと、雫は首をブンブンと振った。
「ち、違うの…その…えっとね」
雫は何かを言おうとして、詰まっている様子。
そのときも、俺の顔を一度も見ようとはしない。
俺は、雫が何か言うのをじっと待っていると、「なんでもない!」と言って、彼女の家へと戻っていこうとした。
「なんだよ! 気になるだろ」
俺は雫の腕をつかみ、戻るのをとめた。
そうすると、雫は下を向きながら言葉を発した。
「だ、だ、大地が…ま、ま、ま、守ってくれる…んでしょ?」
その雫がとても愛しくて、離したくなくて…ギュッと、抱きしめてしまった。
「だ、だい…ち」
その言葉で我に戻った俺は、雫をパッと離した。
「ごめん…」
俺は謝り、彼女は下を向いたままだった。
『バイバイ』も言わず去って行った彼女を、俺は追いかけることができなかった。
大地と雫の…(。-`ω´-)ンーw
雫は、大地の名前を呼ぶのは恥ずかしい…という表現の仕方w
ちょっとばかし、雫はツンデレ希望です(´・ω・`)
自分の文章能力が本当に足りない…。
バンバン訂正とか、こうしたほうがいいと言うアドバイスをくださると本当に嬉しいです。
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