#19 彼女の正体、俺の過去
気がついたら、俺は自分の家のベッドの上に居た。
「し…雫!」
俺はそう叫んで、飛び起きた。
「痛ぇ…」
体中にビビビと何かが走ったのだ。
「大地、体を起こすな」
そういったのは、明。
どうやら、看病をしてくれているらしい。
「…雫は?」
「そこで寝てるよ」
明が指差したのは俺の足元。
そこにはベッドの横にある椅子に座り、ベッドの上に置いた腕を枕にするように寝ている雫の姿が。
その寝姿が、可愛くて愛しくて…
「彼女、お前の傍から離れなかったんだぜ」
明がボソッという言葉に、俺の顔はハッとした。
雫が…。
心配してくれたのか?
そういえば、あの後どうなったんだ?
体中痛いながらも、雫下へと歩み寄ったのは覚えているのだが、そのあとの記憶が…。
「あのあと…どうなった?」
俺は自分の記憶が整理できないまま、明に喧嘩の事を聞いた。
明の話によると、隆一グループは明グループにボコボコにされたらしい。
「まぁ、あいつ等もレイプまではいかなかったが、女の子を拉致したから、俺たちにやられたなんて警察には言えないだろう」
との事。
「大丈夫。俺たちが何か責任を負うようなことは無いよ」
ニヒッと笑いながら言う明に俺は素直に「ありがとう」と答えた。
明たちが何故、高杉工場に明たちが現れたかというと、俺達の知り合いが、写メの子を隆一に拉致されたのを見て、明に報告したということだ。
明が俺に電話しても繋がらないことで、状況がヤバイということに気付き、隆一グループのたまり場である高杉工場へと集団をつれて向かってくれたと言う話だ。
あと少し遅かったら、本気で危なかった。
「ありがとう…明…」
泣きながら明に言うと、頭をポコンと叩かれた。
「俺たち、心友って言っただろ。な?」
明の優しさに触れて、涙が止まらなくなった。
何より、雫が無事でいてくれて、嬉しかった。
「…なぁ、大地。この子の名前って確か…」
そこまで言って、言葉に詰まる様子を見せる明。
明になら言ってもいいかもしれない。彼女の本当の姿。
正体を。
「石上雫って言うんだ。 3組の…」
「やっぱり。あの、天才少女だろ?」
天才少女…そこまで言われてるのか、雫は。
「らしいね。」
「まさか、あの地味な子がこんな…可愛かったなんて。」
じっと明は俺の足元で寝ている雫を見つめる。
「おい、惚れんなよ?」
容姿では勿論、性格でも明には勝ち目が無いからな。
「それにしても、変貌って言うのは怖いな。眼鏡をはずしたら、かわい子ちゃんでした!って、いうのはアニメの中だけの話だと…。まぁ大丈夫だって、友人の彼女に手を出すような事はしませんよ」
「か、彼女じゃないって!」
俺がちょっと大きめな声で言うと、明の表情が固まった。
「え…まだ片思いなのか?」
明のその言葉に顔がカァと赤くなるのが分かった。
「大地が、そんな風になるのは、由梨先輩以来だよなぁ」
そこまで言って、明の顔がハッとなった。
「ご、ごめん…」
明は俺に謝り、俺は気にするなと声をかけた。
由梨先輩。
谷口 由梨と言って、俺の中学校のときの彼女だ。
俺が中2、由梨は中3だった。
愛を味わって、心が満たされていた。
由梨がいれば何もいらないというほどに彼女を愛していた。
一緒に涙し、一緒に愛を育み、一緒に笑いあい…。
あの日、由梨が居なくなるまでは…
俺は本当に幸せだった。
元カノ出現ですね。
これもベタな展開です。
次回は、由梨と大地のお話。
…次回題名が「由梨と大地」です…。
そのまんまじゃんとか思いました?
自分の文章能力が本当に足りない…。
バンバン訂正とか、こうしたほうがいいと言うアドバイスをくださると本当に嬉しいです。
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