#16 大地の心の揺れ
あのあと、職員室で先生の説教をくらった。
どっかのおばさんが、ゲームセンターで俺が他校の不良と喧嘩をしているところを見て、学校へ通報があったらしい。
余計なことしやがって。
謹慎は免れて、厳重注意だけとなった。
しかし、その説教も、俺の頭を素通りしていった。
さっきの、あの事が頭から離れないために。
教室での俺も自分でも分かるぐらいおかしかったのだ。
自分の席を間違えたり、明の呼びかけも耳に入らなかったり。
あんな些細なことで…俺がこんなふうになるなんて。
そこまで、俺の中で雫の存在は大きくなっていた。
「馬鹿みてぇ…」
家に着き、ベッドの上で一人、腕で目を隠しながら横たわっていた。
むしゃくしゃする。
心が騒がしい。
ベッドから飛び起きると、明に電話をしてゲームセンターへと足が向かった。
時代遅れの商店街の中に、ポツンとある古びたゲームセンター。
周りにはイチャイチャしているカップルや、不良が煙草を吸っている。
こういうときは、ぱっと遊ぶのが一番だ。
そんなことを考えていると、明たちがやってきた。
「よっ! 明」
「どうしたんだよ? お前から遊びに誘うとか珍しいな」
「ちょっとな〜」
俺は満面の笑みを向けて、明と会話をした。
楽しもうとした。
しかし、その雰囲気に害を加える男が俺に近寄ってきたのだ。
「よぉ、大地じゃないか」
そこに居たのは、俺が今日先生に説教をくらう原因になった喧嘩でボコボコにした男と、仲間であろう3人の不良だった。
俺がボコボコにしてやった奴の名前は山井隆一。俺に恨みを持っている不良の一人だ。
「どけよ。気分が悪くなる」
俺はそう言って、隆一の隣を通り抜けようとした。
「そういえば、お前の女見たぞ」
その言葉で、俺はビクッっと体が反応し、歩くのをやめた。
「可愛いなぁ〜お前の女。…探して俺が食ってやろうか?」
俺はケケケと笑いながら言う隆一の胸倉を掴んだ。
「てめぇ、そんなことしやがったらぶっ殺す。」
隆一を睨んでいると、後ろから明の声が。
「大地やめろ!」
多分、数的不利だから、手を出すんじゃない。という意味だろう。
「あの池上大地も、あの女が絡むと、ただの男か。これで食うのが楽しみになったぜ」
大声をあげて、笑う隆一に俺の怒りが頂点へと達し、ドン! という音と共に、隆一は吹っ飛んでいった。
「いってぇなぁ!」
隆一は、体を起こし俺に殴りかかってきた。
それをまともに食らう俺。
4対2の喧嘩が始まった。
周りには、野次を飛ばす高校生。
俺は無我夢中で、隆一達に殴りかかった。
相手は喧嘩慣れしてるだけあって、この前のレイプ未遂野郎なんかよりよっぽど強い。
そして数10分後、俺たちの喧嘩は終わった。
「ぐはっ」
冷たいコンクリートの上に倒れる俺。
その隣には明が居た。
隆一と、その仲間は、俺らの少し向こうで同じように横たわっている。
ははは…身体中いてぇ。けど、骨折はしてないみたい。
「あき…ら」
はぁ、はぁ、と少し息の荒い明の下に体を起こして近寄った。
「大丈夫か?」
俺がそう聞くと、明はエヘヘと笑いながら頷いた。
「骨折はしてないか?」
「大丈夫だと思う…。」
そういいながら、体のあちこちを確かめる明。
「ごめんな…」
俺が下を向いて謝ると、明はいつもの元気な声で
「なんで、謝るんだよ。俺たちは心友だろ? お前がムカつく事を言われたときは、おれだってムカつく。俺がお前の立場でも、あいつを殴ってたと思うよ。だから…泣きそうな顔して謝るなよ。神崎高校の池上大地だろが」
「そうだな…」
分かればよろしい。と言って、エヘヘと笑う明に俺は肩を貸した。
心友という言葉を使ってみました。
友達がよく『心友』という言葉を使うので…。
特に深い意味はありません。
親友ととってもらっていいです。
自分の文章能力が本当に足りない…。
バンバン訂正とか、こうしたほうがいいと言うアドバイスをくださると本当に嬉しいです。
評価で言いにくい場合は
net_touki_net@yahoo.co.jp にメールを送ってくださるか、
http://plaza.rakuten.co.jp/mlq84s/mailboxform/
で、匿名でのメッセージもできます。
宜しくお願いします。