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騎士団長

シルバーウィーク明けの仕事は辛いですね。休みだというのに仕事が山のように溜まっていました…そんな状態で明日は出張…チネル(;´д`)

 魔法騎士団には女性もいる。男性と人数もあまり変わらない。

 男尊女卑のこの国で高給取りの魔法騎士団に女性もいるのは不思議に思ったけど、なんでも女性であっても魔法使いであれば「女の癖に」とは言われないらしい。

 魔法使いはそれほどに貴重な存在なんだよとラディーお兄様が教えてくれた。



 今登場してきた二十歳位の女性魔法騎士は水属性使いだそうで、水でイルカを造り出して競技場の中を泳がせていた。



「ふぉぉぉぉぉ!」

 興奮して立ち上がってしまう私。

 この世界にもイルカがイルんカ!などという下らない親父ギャグが頭に浮かんだけど、イルカ、いるんだ。


 ラブル程ではないにせよ、魔法で生き物を表現出来るのが凄いよね。しかもこんなに生き生きと!

 そう考えるとリアルな幻覚を見せる双子のお兄様方はやっぱり規格外なのね。





 午前中最後は騎士団長の登場。名をマルク・ロードス・カルダスと言うらしい。

 マルク騎士団長は30歳に手が届くかという位で、魔法使いの中では若い部類に入る。

 宮廷筆頭魔法使いのラブルは白髭を蓄えてひょろっとした、かの有名な生き残った男の子が通う魔法学校の校長先生な役どころがピッタリないかにも魔法使いなビジュアルだが、このマルク騎士団長は見た目で完全に魔法使いという概念を裏切っている。

 筋骨隆々な体躯にどうにも収まりがつきそうにない針金のような金髪も相まって、どこからどうみてもス○パ○サイヤ人だった。


 ただ、見た目は脳筋でも、魔法の実力は確かで火・風・地の3属性に適正があり、去年は火と風が3級、地が4級の認定を受けている天才だ。

 マルクは騎士団に入った頃から、将来は筆頭魔法使いになるだろうと言われていた。

 過去形なのはその後、皇子に規格外が二人も生まれた為だ。




 マルク騎士団長がこちらの天幕に向かって敬礼をする。

 そして次の瞬間、騎士団長が一言叫ぶ。

「母なる大地よ、揺り動け!」



 とたんに競技場の、騎士団長が立っている所を除き、観客席の手前までの地面が横に揺れだした。地震だ。しかも結構大きい揺れが起こっている。

 観客席では今までに無いほど皆が驚きざわめいていた。それはお父様とお母様、私以外の兄弟も同様だ。

 マルク騎士団長がご丁寧にも「ハァァァァァァァァ!」と気合いを入れた声を発しているので、これも魔法だということがわかる。やっぱりス○パ○サイヤ人…


 20秒程続いただろうか。揺れが収まった。

 と思ったら「守れ!」という怒号が飛び、地面が盛り上がりマルク騎士団長をすっぽり覆い隠してしまった。

 すると今度は観客席の手前で大きな火災旋風が巻き起こった。

 観客は叫び声をあげるが、観客席には炎も、熱風すらも吹いてこない。



 火災旋風はしばらく続いていたが、突然ピタッと止まった。

 マルク騎士団長を覆っていた地面がみるみる元に戻り、やがて地震の跡も分からないほど、きれいな元の競技場の地面に戻った。



「以上に御座います。」

 そう言ってマルク騎士団長が敬礼する。



 通常はこの後に数分の審議があり認定された等級が言い渡される。



 ところが今回は違うようだ。ラブルが私達の天幕にやって来た。

「皇帝陛下、后妃殿下にお願いが御座います。」

 膝をついてラブルがお父様の前で話し始める。

「先程のマルク騎士団長の演武ですが、地属性については3級の認定で申し分無いかと存じます。

 ただ火と風属性においては混合魔法だったため、正確な等級を決めかねます。

 異例では御座いますが、騎士団長という立場もありますれば、後日あらためて、火と風、単独魔法の演武を行いたくご許可頂けないでしょうか。」




 混合魔法は凄いんだろうけど、私は既に冬の間にラブルと双子のお兄様方の混合魔法を結構見ているので、さほど驚いてはいなかった。



「ほう、混合魔魔法か!なかなか使えるものが少ないと聞いておるが、天才と名高い騎士団長はついにその域に達したか。よかろう。日程等は良きに計らえ。」

 お父様はそう言って後日に特別演武の許可を出した。




 これでようやく午前中の出場者の演武かすべて終わった。



 お兄様方は午後に登場なさるのか。

 そう思っているとラブルが一言残して元の天幕に帰って行った。

「午後はいよいよ、リュード殿下とリュシル殿下が御登場なさいます。今年の大演武会、一日目にして確実に最大の見所に御座いますぞ。」


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