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エリイ・ファビエル・ドーラ・リョンドン

 あぁぁぁぁ!しまった…またやってしまった……


 あれほどお父様とお母様に大人しくして皇太子殿下の仰ることに頷いておくだけにしておきなさいと言われたのに…


 あ、どうも、エリイ・ファビエル・ドーラ・リョンドンです。もうすぐ14歳になります。


 私の父が治める領地は、海を挟んで魔大陸と相対している為、先の大戦では壊滅的な被害を受けました。


 男手のほとんどは先の大戦で人類の為に死に、我がリョンドン男爵領にはほとんど高齢者か女子供しか残っていません。

 当然、焼失した建物の再建はままなりません。私は地魔法が4級までですが使える為、領内の土木工事や建築の基礎工事をこなしています。

 それ以外にも、畑も耕すし牛の面倒も見ます。

 そうしなければ、我が領だけではなく、南部で被害を受けた領地の民は生きていくことができないからでです。



 牛の乳搾りをするような、しかも貴族の階級でいえば底辺の男爵位の家の私に、皇太子殿下のお妃選びをするお茶会の招待が来るとは思ってもみませんでした。




 ぶっちゃけそこに行くと畑や牛の世話ができなくなるので困るのですが…




 とはいえ、せっかく后妃陛下からお招き頂いただき参加をさせて頂くわけですから、今の南部の実情をお伝えしなくては。




 そう両親に言った時には、頼むからやめてくれ、大人しく頷いておくだけにしてくれときつく言われました。


この帝国は女が政治に口を出すことは男を侮辱していると捉えられてしまいます。とは言え、今のリョンドン男爵領の状況は男女問わず、できる人が出来ることをしなければもはや成り立たない状況です。


 だから思ったときに思ったことを進言するクセがついてしまいました。

 実際に領地の復興計画は私の進言をかなり取り入れて頂いています。


 だからザリュカッタリーデュ皇太子殿下が税に対するご見解を述べられた時に、反射的にいつも思っていることを言ってしまったわけなのです。


 そうしたらマリア后妃陛下とザリュカッタリーデュ皇太子殿下から、詳しく話が聞きたいと言われてしまいました…しかも笑顔で!!!


 お二方とも笑顔が素敵過ぎてウットリしてしまうわ、平時なら。




 そう、平時なら。

 今は皇太子妃候補者を集めてのお茶会。私にはそれが、死刑宣告のように思えて仕方がありません。


 とは言っても、皇帝陛下の執政に真っ向から意見してしまったようなものだから、このお茶会の後に不敬罪になるかもしれません。


 それで死刑になるのなら、せめて南部の現状を訴えてからにしましょう。

 小さい領地といえど、貴族の末席といえど、私は領民の命を預かる貴族に生まれた者なのですから。


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