世界を変えるのは天才でなければ秀才でもない、変人だ!
三学期が始まり、俺は久々の登校となった。もちろん、モテないメンバーを除けば誰一人俺を歓迎する人間などいなかった。廊下を歩く俺を大勢の生徒たちは冷たい視線で見ている。これもまた必然なのだろう。結局、この一年俺たちの活動の成果は学校には一切伝わらなかったということだ。ネット内では大勢のユーザーを生んでいるが、世間では普及すらしていない。テレビは未だにくだらない恋愛系の番組ばかり放送し、視聴者を惑わせている。しかし、一年で変わるほど日本は小さくはないし、まだこれからだと俺は思う。俺たちの戦い、冒険、そしてモテないロードはこれからも続くのだから。
そんな学校のほとんどを敵に回してしまった俺だが、何事もなかったかのように教室で波野と話している。
「お前は本当にすごいぜ。嫌味ありでだけど」
「どういたしまて。稀代の問題児で異端児の長岡です」
俺は開き直っているし、間違ったことはしていないと今でも思っている。
「勇気があるというか何と言うか?」
「田辺と比島にも言ったが、俺の行動に勇気はいらないんだよ。これは強さではない。周りの目を気にする必要はないんだ。そんなちんけな羞恥心など捨てちまえ!」
「お前には叶わないぜ。嫌味も含めてね」
「すごいだろ。嫌味を含めていいからもっとこの俺を褒め称えろ!」
そんな馬鹿会話をしていると、先生が教室に入ってきた。そして、数多くの連絡事項を言っていると、最後に俺の名前を呼ばれ、黒板の前に立たされた。
「二学期で起こした事件について謝罪しなさい」
それが教師の言葉であった。教師という存在に対し、完全に失望してしまった俺は皆の前で本音を語る覚悟をした。その際、黒板まで移動している俺に『モテない組』『干物男』とののしる連中がいた。しかし、そんな愚民の戯言など気にしないのがモテない組世界代表、この俺のクオリティなのだ。
そして、俺は黒板の前に立ち、口を開いた。
「二学期に起こった事件について俺が謝罪することは一つもありません。むしろ、学校側から感謝してほしいくらいです。いじめを解決したこの俺を表彰すべきだ!」
この、ある意味で痛々しい発言を聞いてしまったクラスメイトが許してくれるはずは当然なかった。
「この変態やろう」
「調子こいてんじゃねーぞ」
「人間として最低!」
もう怒りすらわいてこない。理性ではなく、感情でしか言葉を発することができないクラスメイトたちにむなしくなってきた俺は最後に一言だけ漏らした。
「バレンタインデーが楽しみだ、では!」
俺はとっとと自分の席に座ったが、クラスのざわめきは続いていた。その中で諦めの境地に足ってしまった先生は俺にこれ以上の追及はせず、ホームルームは終わった。
昼食時間になり、俺と波野は二人だけで昼食を取っていた。すると、普段話さない服装の乱れた男子生徒が現れ、俺たちに話しかけてきた。
「あのさ、長岡。今日の4時頃、石橋東公園に来いって飯島先輩からの伝言。俺は言ったからな。約束破んなよ!」
「約束破りたいんだが、その時のリスクを教えてくれ」
俺は同様ひとつしなかった。なぜなら、俺には自信があるから。自分を肯定できる人間だからだ。
「んなもん知るか! あの先輩、お前に対してそうとう切れてたから、ボコられんじゃねーの。まあ、覚悟しとけや」
「そうか、約束破ったら、伝言に失敗した君がぼこぼこに遭うってことなんだね?」
俺は意地悪く、笑みをこぼした。
「何言ってんだよ。てめぇ! いいから来いな!」
動揺しながら、その名も知らない男子生徒は去っていった。
「おい、飯島ってお前が殴った時のいじめの主犯だった高木の恋人だぜ。きっと、けんかになるな」
「あのB専先輩のことか。血の気の多そうなやつそうだな。しかし、あんな女と付き合ってるってよっぽど趣味悪いな。また、恋愛の弊害を見つけちまったぜ。まったく」
面倒なことになってしまったな。しかし、対処するしかない。ゴキブリを一匹退治してもまた現れる。そんな感じの原理であろう。
彼らは俺にとってゴキブリ並みの存在ということだ。
「よし、今日はモテない組集合だな」
「今日はお前の尻拭いってことだな」
「そういうことだ!」
放課後になり、モテない組正規メンバーを集合させ、今日の経緯を簡潔に説明した。
「皆、俺を助けてくれる方法を考えてくれ!」
実を言えば俺はけんかは弱いのだ。
例え、相手が弱小高校と言えども、全身筋肉だらけの野球部のエースに俺が勝てるわけがない。
「長岡がぼこぼこになれば一件落着でいいんじゃないか?」
「それはいいな」
「じゃあ、そういう方向で」
波野、大久保、生沼の三人の冷たい意見が飛んできた。
「貴様ら!」
「冗談だよ。正直お前を助けたいと思っているよ。俺たちは。ただ、間違いなく相手はB専先輩とその仲間がいるに違いないぜ」
「集団リンチか。一体どこの不良だよ。ここは一応進学校だぜ」
これも学園ドラマの定番だったな。ということはこれも青春というのか? なら、俺はその歪んだ青春を破壊する。やはり、リア充世界の連中とは分かり合えない。いつか、青春という概念をつぶさなければいけないな。それができる?のは世界でこの俺だけだ。日本人の腐った固定概念を破壊してやる!
「長岡、本当に申し訳ない。お前にここまで迷惑をかけてしまって」
田辺が本気で俺に謝罪した。
「よし、じゃあ田辺を犠牲にして許してもらうか」
「わ・・・分かったよ・・・・」
田辺が普通の承諾してしまったので俺はすぐに訂正した。
「嘘に決まってるだろ。そんなことはしない。俺たちらしい方法で解決するぞ。何せ、時間が後三十分しかないんだからな」
そして、俺たちは足りない偏差値で解決案を見出した。
俺は例の公園に向かうと、そこには複数の感じの悪い先輩男子生徒たちがいたのであった。俺は自転車を降り、彼らの元に向かった。
「飯島先輩はどちら様ですか?」
「長岡だな」
「そうですけど」
すると、俺の周りを男子たちが俺を囲み、もっともガタイのいい男子が俺の前に立っている。
「俺が飯島だ。お前よくも俺の女に手を上げてくれたな」
「彼女がいじめをしたからだよ」
俺は同様一つせず、答えた。
「んなもんどうだっていいんだよ。俺の女に手を出したむくいはつけさせてもらう」
「そうやって複数で俺を暴行するんですか?」
「てめぇがむかついてしょうがねーんだよ」
「その考え、嫌いだね。まさに悪ですよ、それは。あんな意地の悪い女のどこかいいんですか? 俺には理解できません。まあ、恋愛のために自分の人生を棒に振る覚悟があるということだけは分かりました」
「どういう意味だよ。童貞が!」
「あんな女と交尾したんですか。気色悪いですね。やっぱりB専ですね。虫唾が走ります。変な病気うつされてないですよね。HIVとかリアル勘弁です。まあ、死ぬのは勝手ですけどね、これ以上感染者増やさないようにしてください」
俺はわざと人を怒らせることを言った。もちろん、口に出したことはすべて俺の本音ではあるが。
「ぶっ殺してやる!」
すると、先輩の右ストレートが俺の左頬に命中し、俺は後方に吹き飛ばされた。ものすごい衝撃が俺の顔に走った。
俺は成す素手がないまま地面に転がり落ちてしまった。しかし、すべては計算通りだ。
「これでいい取引が出来る」
俺は痛みに比例するかのように高笑いをした。
「どういう意味だよ」
飯島は俺の言っている意味を理解してはいなかった。
「今の暴力をしっかり撮影させてもらいました」
俺は指を指し、波野たちが公園の周囲から複数のカメラで映像を撮影しているのを飯島たち不良に教えてあげた。
「てめぇ、きたねーぞ」
「それはおあいこだよ。B専先輩。もし、今の映像が流れたらどうなるか分かってる・・・よな! あんたは野球が出来なくなる。それだけじゃない。タイミング次第では就職も大学進学も難しくなりますよ。そうなったら、大勢の人間に迷惑をかける」
「あいつらを捕まえろ!」
「もう遅いですよ。彼らの一人でも助かれば、即パソコンに動画をアップできる。そうなればまた石橋東高校で不祥事。今度はいじめの主犯の彼氏が暴行事件。まさにいい取引だとは思いませんか?」
我ながらの悪知恵というべきか。
「俺をはめたな」
「それは違う。これは取引だと言っているでしょ。少しは人の話を聞いたほうがいい。動画をすぐにはアップさせません。飯島が二つの条件を飲めば」
「金か!?」
「そんなものに興味はないね。それをすると、恐喝で俺は立派な犯罪者になっちゃうんでね。条件の一つは今後一切俺たちモテない組に手を出さないことだ。簡単だろ。脳みそまで筋肉のあんたでもそれくらいはできるよね? そうすれば、動画はアップしない。そして、二つ目は・・・・」
「二つ目・・・・?」
今度は俺が飯島先輩を殴った。しかも、鼻を。それを食らった飯島先輩は鼻を押さえ、必死で痛みと戦っている。これは大久保から教えてもらったことで人間や動物はとにかく鼻が弱いらしい。そこを攻撃すれば、相手は怯む。大久保からの悪知恵だ。弱点を徹底的につく。それこそが戦闘の基本である。
「これが二つ目の条件だ。これで本当におあいこだ。では、俺は失礼するよ。バレンタインの準備をしないといけないんでね」
「何する気だてめぇ!?」
俺は振り向かずに口だけ開いた。
「モテない人間の救済だ!」
まさか、リア充仮面のようなけんかを引き起こしてしまうとは思っても見なかった。彼らのけんか理由は明らかに嫉妬であったが、こっちは復讐だ。どちらも幼稚でレベルが低い。一方はリアルファイトで勝利し、もう一方は盗撮と恐喝によるドロー。違いは歴然だ。しかし、それが俺たちモテない人間の生き方なのだ。
そう、これはもはや必然である!
そんなこんなで、ついにモテない人間にとって史上最悪のバレンタインデーの日がやってきた。その日はちょうど期末テストが終了した日であった。テスト結果などどうだって良かった。俺は無事にこの日を迎えられたことを心から喜んでいたのだから。
バレンタインデーの日に存在するチョコレートはモテない人間にとって、精神汚染を引き起こす生物兵器なのだ。このバレンタインデーを打開するために俺たちは行動を起こす。
テスト期間は午前中で終わるため、俺と波野はすぐに教室を後にした。そして、モテない部室に急いだ。
部室に到着すると、すでにモテないメンバーが準備をしていた。
彼らはすでに、ネットで購入した一万円単位のメガホンや手作りの『バレンタインデー反対』と書かれたタスキや旗を用意していた。
「世界代表は相変わらず遅いぞ、言いだしっぺのくせに」
「何度も言わせるな。主役は遅れて登場なんだよ」
そして、荷物を放り投げ、俺たちはバレンタインデー反対運動に必要な道具を持ち、学校を後にした。そして、最初に向かった先には例の石橋東公園であった。そこには俺たちモテない組のデモ行進を撮影しようと、放送部が待っていたのだ。
そして、公園に向かうこと五分あまり、男女混合の放送部たちが機材を用意しながら俺たちを待っていたのだ。
「どうも、モテない組の長岡です」
「部長の武山です。今日はおねがいね」
武山は二年生の女子生徒であり、部長である。俺たちモテない組の活動を撮影し、ドキュメントとして大会で出たいのだそうだ。
この放送部の提案に対し、モテない会議を開き、議論をした。メンバー全員の正体がばれるというリスクを犯しても、やる価値があると判断し、結論を出したのだ。今のままでは世間の価値観を変えることは難しい。
「お好きなように、俺たちはやりたいようにやるんで」
そして、俺たちは公園を後にし、部長の武山さん以外の放送部とは距離を置きながら、武山さん自らハンドカメラを使ってのインタビューをモテないメンバー全員に行っている。
ビルや店が立ち並ぶ場所まで移動しながらのインタビューで最初に受けていたのはタスキを身に着けている生沼であった。
「生沼君はどうしてモテない組に入ったんですか?」
「俺は三次元の女性が愛せないんですよ。だから、もてる必然がないんで入ったんです」
「すいません、理解しにくいんですが」
「アニメキャラしか愛せないんですよ」
「そうなんですか。いつ頃からそういうのに目覚めたんですか?」
武山はどこまでも追及してくる。これは俺たちを好奇な目で見ているのではなく、単なる興味の対象なのだろう。それがいい意味なのか悪い意味なのかは分からない。
しばらくすると、こんどは比島がインタビューを受けている。
「僕は売れないアイドルオタクで土日は秋葉原に通っています。今はカスミというアイドルにはまっています」
比島は緊張していて、少し硬い。
「アイドルとは別に恋愛経験とかはあるんですか?」
「正直、ないんです。強いて言うなら、歌って踊って派手な衣装を着ているアイドルに恋してます。でも、応援するだけで満足です。遠くから見ているだけで幸せなんです」
続いては田辺である。
「田辺君はなぜ、入部を希望したのですか?」
「俺は顔も不細工で過食気味でメタボで人生に絶望してました。どうせ、俺は結婚できないで死んでいくんだと。その時、リーダーの長岡に言われたんです。それの何がいけない。孤独死最高、独身貴族万歳。恋愛にこだわるから苦しむんだ。そんなもの捨てちまえ、と。それがきっかけで入部し、今の俺は生きています」
「この活動で救われたのですね」
「そういうことになります」
「恋愛経験とかはあるんですか?」
「告白したことは何度かありますが、全敗でした」
「自分を磨こうとか考えなかったんですか? 服装や髪型とかを」
「不細工に変わりはないですし、どうせ俺は変われない。なら、今の自分を受け入れることにしたんです」
「そうですか」
ターゲットは大久保に代わった。
「大久保さん。あなたは学年で上位の成績を残していますよね。そのような優等生のあなたはなぜ、この活動に参加することになったんですか?」
「この学校では優等生はモテません。むしろ、変な目で見られる。それに俺は薄毛に悩んでまして。最近はさらに酷くなった」
「むしろ、その・・・・・薄くなる前に結婚するという考えはないんですか?」
武山ははっきりと物事をいうタイプの人間のようだ。学校の連中とは一線をしいている。
「人を騙すようなことはしたくないですよ。それに結婚願望が今の所ないですから。禿げる前に結婚しろと両親から言われているので、逆に反発したくなったのかもしれません」
「なるほど」
元リア充の波野にカメラが回った。
「波野さんには以前彼女がいたという話を聞いたのですが、本当ですか?」
「はい、いましたけど、振られてしまいました。その時の傷が癒えず、この部活に衝動的に入ったというのが本音です」
「付き合っていた頃は楽しかったですか?」
「はい、それは幸せでした。けれど、その分だけ後から苦しむのだと理解しました。もうあの時の苦しみを味わいたくないのです」
最後に俺のインタビューが始まった。
「なぜ、このモテない組を創設したのですか?」
「恋愛主義のこの社会を変えたかったからだと思います」
「苦い経験でもあったんですか?」
「いいえ、俺には何もなかったんです。というより、異性に興味がないんですよ。もちろん、同姓に対してもね。だからといって生沼みたいに二次元を好きにもなれなかったし」
「それは精神的な問題でも抱えているのですか? 何かのトラウマとか」
「たぶん、肉体的問題だと思います。病院で検査をしたことはないのではっきりとは分かりませんが。少なくとも何か虐待を受けたとか言うトラウマはありません。生まれつきなんですよ」
「恋愛できない体質なら、そのまま何もしないという選択肢はなかったのですか?」
「それもありました。しかし、世間では恋愛して結婚し、子供を作る。それが人の幸せで絶対的な生き方という考えが根強いです。つまり、それが出来ない人間は否定され、排他される。それに疑問を持ったんです。今は男女の性別すら変えられる時代です。そのあらゆる考え方ができる世の中で恋愛に関しては何も変わらない。恋人のいない人間はみじめでかわいそうと思われ、当事者は絶望する。その恋愛主義的価値観を変えたかったんです」
「もし、価値観を変えることができたら、どうなると思いますか?」
「モテない人間は精神的に救われると俺は考えています。俺の真の目的は救済なのですから」
そして、大通りに到着し、俺たちはメガホンの電源をいれ、旗を掲げて、開始した。
俺は身長が低いので、比島に肩車してもらい、メガホンを手に取り、第一声を発した。
「我々はこの悪しき伝統であるバレンタインデー中止を要求する!」
「バレンタインデー反対、反対、反対」
拡声器で俺たちの声は遠くまで響き、通行人たちを振り向かせた。野次馬が少しずつではあったが増えてきた。好奇なものを見るかのような態度であった。
「なぜ、チョコレートを渡す日など必要なのだ? 我らモテない組は誰からもチョコレートをもらえない人生を送ってきた。それはいい。しかし、そのことを馬鹿にし、俺たちの尊厳を大勢の人間たちは否定し、馬鹿にしてきた。そんなことが許されるはずがない。これもすべて、バレンタインデーという資本主義という名の金の亡者たちの策略だとなぜ国民は気がつかない。俺たち高校生が気づき、大人が気づかずはずがない。あなたたちはそれに気づいているにも関わらず、金の亡者たちに踊らされ、チョコレートを買わされているのです。特に社会人となった女性たちに問いたい。好きでもないのに会社の男性人のためにチョコレートを用意することが楽しいはずがない。しかし、異を持っていながら、何も唱えないのはリア充や悪しき企業に加担することと同じなのだ。そんな金の無駄遣いをして一体どれだけの時と苦しみを重ねるつもりですか。そろそろ目覚める時です。バレンタインデーなど必要ないと自覚し、訴えるのです。俺たちにはその権利があるはずです!」
大通りを歩きながら、好奇の目にさらされながら、俺たちは歩き、訴え続けている。放送部の連中はそれを撮影しながら、共に行動している。
「バレンタインデーという悪しき伝統は俺たちモテない人間にとっては苦しむだけの公害なのです。なぜ、もらわなければいけないのか? たかがチョコレート一つに。俺たちの苦しみをよそに、リア充たちは歪んだ優越感でチョコレートを貰い、喜ぶ。それを罪だとは言いません。しかし、喜ぶ分だけ苦しんでいる人間がいることを知ってもらいたい。俺たちは苦しんでいる。いわば被害者といってもいい。バレンタインデーができた時から被害者は存在していたにも関わらず、見てみぬ振りをしてきた。もうそのような過ちを繰り返してはならない。チョコレートという甘い毒に振り回され、どれだけの犠牲者を出したことだろう。もう、その時代は終わりなのだ。石橋東高校モテない組代表長岡良助から諸君に訴え続けよう。バレンタインデー反対!」
「バレンタインデー反対!」
すると、野次馬たちの中には俺たちに賛同する人々も現れ、大通りは騒然となった。おもしろがっているもの。迷惑に感じているもの。いろいろなエゴが集積し、俺たちモテない組に集まっている。しかし、そんなものを跳ね返し、俺たちは訴え続けるのだ。モテない組の存在意義。恋愛だけが人生のすべてではないことを。
「我らモテない組は恋愛を助長するすべてのものを否定する。次の世代のためにも。そのためにバレンタインデーの廃止を要求する。諸君、私たちに力を貸してほしい。我らモテない組に真の栄光をもたらすためにも。モテない組万歳!」
「モテない組万歳、万歳」
「我らと同じモテない人間たちを救済せよ!」
そして、俺たちモテない組はこれからも存在し続けなければならない。人類を救済するために。これからも、そして、いずれ俺たちが卒業しても存続させ続ける。これが俺に化せられた使命なのだから。
最後に・・・・・・・俺は生涯で生まれて一度もチョコレートをもらえなかった記録を更新したのであった。




