表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

第7話 ジャンボパンケーキ ――均衡は甘味にあり

春の昼下がり。

曲町東交番。

肥田がカップ麺をすすりながら言った。

「駅前にパンケーキの店できたよ」

朝倉が顔を上げる。

「え、曲町にもそんなおしゃれなお店が?」

「昨日行ってきたんだ。ジャンボパンケーキがすごくてね」

「ジャンボ……パンケーキ……?」

黒城が淡々と言う。

「質量は戦略を変える」

「パンケーキです!」

朝倉が肥田に目を向ける。

「肥一人で行ったんですか?」

「違うよ。奥さんとだよ。こういう時しか食べされてもらえないからさ」

肥田が笑う。

「いやーめちゃくちゃ良い奥さんでさ。俺の健康考えて野菜たっぷり弁当作ってくれるんだ」

朝倉、肥田の右手を見る。

「そのカップ麺で台無しですけどね」

「ラーメンはスープだよ?」

黒城が頷く。

「合理的だ」

「どっちの味方なんですか!」

放課後のようなノリで朝倉が言った。

「黒城先輩、一緒に行きません?」

「甘味は必要条件ではない」

「断られた!」

※※※

生活安全課。

朝倉、脇俣を誘う。

「パンケーキ?行く。」

一方、交通課

野間口が黒城に近づく。

「なあ、例のパンケーキ屋」

「興味はない」

野間口、スマホを見せる。

限定コラボフィギュア。

黒城の目がわずかに動く。

「……いつだ」

「今日」

「行く」

※※※

そして店内。

偶然、四人が遭遇する。

「……あれ?」

「偶然だな」

結局、四人で着席。

窓際に黒城と朝倉。

向かいに野間口と脇俣。

そこへ運ばれてくる――

ジャンボパンケーキ。3枚乗せ。

どん。

朝倉、目を輝かせる。

「でっか!!」

黒城、観察。

「直径三十センチ。厚さ四センチ。攻略には役割分担が必要だ」

「戦場じゃないです!」

※※※

それぞれトッピングを選ぶ。

朝倉:王道メープル+バニラアイス

野間口:抹茶+あんこ+黒蜜

脇俣:フルーツ山盛り+蜂蜜

黒城:チョコレートソース単体追加

脇俣が言う。

「野間口さん、それ渋すぎません?」

「落ち着いた甘さが好きなんだ」

朝倉。

「なんか大人ですね」

黒城。

「糖度の波が少ない」

「分析やめてください」

脇俣の皿を見る。

「え、映え狙いですか?」

「女子は視覚から入るの」

朝倉の王道皿を見て。

「朝倉ちゃん、かわいい」

「え、そうですか!?」

黒城が淡々と。

「安定は強い」

「だから戦略にしないでください!」

※※※

その時。

仕事中に店の外を通りかかった白石と赤瀬。

白石の足が止まる。

窓際。

黒城と朝倉。

距離が近い。

フォークを差し出す朝倉。

「先輩、これ美味しいですよ!」

白石の目が細くなる。

「……デート?」

赤瀬、青ざめる。

「違うと思います」

「突入するわよ」

「えぇ!?」

※※※

店内。

白石と赤瀬も合流。

完全にカオス。

ジャンボパンケーキ二枚目。

白石は黒城の皿を見る。

「蓮」

「何だ」

「バニラアイス、欲しいわよね?」

黒城が一瞬止まる。

「……なぜ分かる」

「心読めてんのか」

「蓮のことなら分かるのよ」

朝倉、ぽかん。

「すご……」

赤瀬、小声。

「長年のペアの経験値だな」

白石、店員を呼ぶ。

「バニラアイス追加で」

黒城。

「甘味の重ねがけは均衡を崩す」

「さっき欲しそうだったじゃない」

「……否定はしない」

朝倉、笑う。

「ちょっとかわいいですね」

白石の視線がすっと動く。

「かわいい?」

空気が凍る。

野間口がパンケーキを切り分ける。

「ほら、戦争やめろ」

脇俣が笑う。

「これが警察の平和活動ね」

※※※

食後。

それぞれ満腹。

朝倉、幸せそうに言う。

「平和ですね」

黒城。

「糖は心を穏やかにする」

白石。

「蓮は甘い物に弱いのよ」

赤瀬(全部把握してるなこの人)

野間口。

「今度はフィギュアの店な」

脇俣。

「ずるい」

曲町の午後は、今日も甘かった。

均衡は、バニラアイスで保たれている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ