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第19話 止まった時間の先 ――女性の行方

曲町署。

公園で確認された黒色車両。

少年の動画を静止画に切り出し、署内で共有。

大型モニターに映る一枚。

黒いセダン。

テールランプが特徴的。

そして――

リアガラスの端。

小さなステッカー。

朝倉が指さす。

「これ……貼ってありますよね?」

芝野が画面に近づく。

「拡大」

ぼやけるが、形は分かる。

松中が腕を組む。

「見せてくれ」

じっと見つめる。

数秒。

「タナカ社の○○だな」

芝野がうなずく。

「平成○年式。後期型。テールランプの形が一致」

朝倉、感心。

「そんなところまで分かるんですか!?」

芝野。

「交通だからね」

松中が続ける。

「この年式、この型。曲町登録で絞れば――」

キーボードが鳴る。

「……十六台」

室内が静まる。

※※※

署長室。

報告を受けた鶴丸署長が即断する。

「全部回れ」

一拍。

「二人一組で。今すぐ」

副署長が動く。

「生活安全、交通、地域。総動員」

柳が即座に配分。

「巡回ルート、割り振ります」

曲町署、総力戦。

※※※

夜。

十六台の確認。

一軒ずつ。

「失礼します。お車を確認させてください」

所有者は驚くが、協力的。

だが――

一致しない。

一台。

二台。

三台。

時間が過ぎる。

黒城と朝倉ペア。

朝倉が小さく言う。

「……外れ、ですか」

黒城は静かに首を振る。

「まだだ」

※※※

十五台目。

住宅街の奥。

駐車場。

街灯の下。

黒色のセダン。

黒城が息を止める。

「……あれだ」

朝倉がライトを当てる。

タナカ社○○

リアガラス。

右下。

同じ位置。

同じサイズ。

小さなステッカー。

朝倉の心臓が跳ねる。

黒城が無線を握る。

「…発見した」

※※※

数分後。

今成・白石ペアと飯田・芝野ペアが応援に駆けつける。

車内を確認、空。

「いない……」

朝倉の声が震える。

白石がトランクをノックする。

「警察です。○○さん。大丈夫ですか?」

返事はない。

今成が所有者の男の部屋を見る。

「家か、トランクか」

飯田「任意で行くしかないですよ」

今成「時間がない。必要ならガサ状は請求する」

今成が指示する。

「男が逃げるかもしれん。俺と白石で声をかける。

飯田と芝野は裏口を張れ。黒城と朝倉は車を見ててくれ」

※※※

今成と白石が男の自宅を訪問する。

男が出てきた。驚いた様子。

すぐに余裕の表情に変わる。

男の承諾を得て室内確認。

押し入れ。

浴室。

床下収納。

――女性はいない。

今度は男の承諾を得て車のトランクを開けることに。

緊張する捜査員。

トランクが開く。

ーーここにも女性はいない。

車の隅々を探すが、女性に繋がるものは出てこない。

男は今成、飯田、芝野と共に自宅へ戻る。。

「だから言ったでしょ?知らないって」

余裕の表情。

焦る捜査員。

どこだ。

※※※

黒城が車体に手を置く。

目を閉じる。

断片。

・夕方

・助手席ドア

・引きずる音

・短い悲鳴

・鉄の匂い

・暗闇

・シャッター

目を開く。

「……倉庫か」

白石の目が鋭くなる。

「どこ?」

朝倉。

「倉庫……!?」

※※※

男は今成と対峙。

「夕方の行動、もう一度聞こうか」

声は低い。圧。

男は笑う。

「何もしてませんよ」

※※※

黒城、白石、朝倉。

室内を再確認。

「倉庫に繋がるものを探す」

黒城が言う。

視線がテーブルに止まる。

鍵束。

車。

自宅。

――もう一つ。

見慣れない小さな鍵。

白石と目が合う。

合図。

朝倉、突然。

「す、すみません!!」

盛大にこける。

ガタン!

全員の視線が朝倉へ。

今成も一瞬振り向く。

その瞬間。

黒城は鍵束に触れた。

※※※

断片。

・夜

・古いプレハブ

・青いシャッター

・河川敷の脇

・番号札「B-12」

・冷たいコンクリート

目を開く。

「河川敷の簡易倉庫群」

白石。

「特定できる?」

黒城。

「B-12」

今成が即座に無線。

「河川敷倉庫群、B-12確認急げ」

男の顔色が変わる。

初めて。

余裕が消える。

※※※

河川敷・簡易倉庫群。

B-12。

松中、野間口ペア。

野間口がシャッター前で無線を握る。

「鍵が頑丈だ。工具じゃ無理だ」

シャッターは分厚い。

バールも通らない。

無線越しに、黒城の声。

「窓はあるか」

「…ある!だが高すぎる。中は見えない。それに小さいから人は入れない」

一拍。

野間口がぼそりと続ける。

「……普通なら」

黒城。

「俺が行く」

※※※

男の自宅前。

今成が頷く。

「男は俺と飯田、芝野で見ている。いけ」

男の目が泳ぐ。

黒城、白石、朝倉が倉庫へ向かう。

※※※

倉庫前。

赤瀬が息を切らして走ってくる。

「脚立持ってきた!」

野間口が受け取る。

黒城が静かに脚立に足をかける。

朝倉が下から見上げる。

「気をつけてください」

黒城、何も言わない。

一段。

二段。

三段。

窓に手をかける。

中を覗く。

暗い。

――ロープ。

――横たわる女性。

黒城の声が低く落ちる。

「……いた」

朝倉の息が止まる。

その瞬間。

黒城の姿が消える。

※※※

倉庫内部。

薄暗い空間。

女性の目がかすかに動く。

黒城が床に膝をつく。

鍵。

内側から南京錠を外す。

ガシャン。

※※※

外。

「開いた!」

野間口がシャッターを引き上げる。

松中、白石、野間口、赤瀬、朝倉が突入。

「警察です!」

女性を確認。

脈あり。

呼吸あり。

朝倉が手を握る。

「大丈夫です。もう大丈夫です」

女性は涙を流す。

「…助かった」

※※※

救急搬送。

女性は軽度の脱水。

命に別状なし。

朝倉が小さく座り込む。

「……間に合った」

黒城が言う。

「時間は、まだ残っていた」

白石が隣に立つ。

「あなたが触れなかったら、間に合わなかった」

黒城。

「断片は、使い方だ」

その直後、黒城がふらりとよろめく。

白石と朝倉が支える。

「黒城先輩!大丈夫ですか!?」

「蓮!どうしたの!?」

黒城、息を整える。

「……少し、力を使いすぎた」

白石が静かに言う。

「無茶するわね」

朝倉「お疲れ様できた」

黒城。

「…時間は残っていた」

※※※

一方、男。

今成と飯田、芝野が囲む。

今成が冷たく言う。

「終わりだ」

男は視線を逸らす。

余裕は、もうない。

誰一人欠けず。

一人の命を、取り戻した。

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