石高
香宗我部親泰「手塩に掛けて育てた場所を……。」
明智光秀「えぇ。私もその思いはあります。殿より坂本を与えられて5年。やっと軌道に乗り始めた所であります。出来る事でありましたら私の命が尽きるまで。もっと言えば子々孫々までと考えています。しかしこれを決めるのは殿であります。」
香宗我部親泰「実績を積み上げ続けても。でありますか?」
明智光秀「はい。」
香宗我部親泰「普通、功績を上げましたら、坂本と新たな土地と言う形で加算されるのでは無いかと?」
明智光秀「私もその価値観で育って来ました。しかし殿の考えは異なります。殿が見ているのは……。」
石高。
明智光秀「米の収穫量であります。
『米の収穫量が多いのであるのだから、そこに移る事になっても問題は無いであろう?』
と言う考えであります。実際、これで旧領を織田に返した者も居ます。」
香宗我部親泰「その方は今?」
明智光秀「大抵の場合は加増でありますので、より大きな仕事に取り組んでいます。」
香宗我部親泰「……そうなりますと我らもいづれ土佐から……。」
明智光秀「どうでしょうか?土佐って……。」
あまり米が獲れないでしょう?
香宗我部親泰「平地が少なく耕地となり得る場所が少ないのは事実。加えて温暖で雨も降るのでありますが、大風を伴う大雨に高潮もを配しなければなりません。米を頼りにするのは無謀と考えています。」
明智光秀「殿は土佐に魅力を覚えていないため、長宗我部様に。の可能性が高いと見ています。もし長宗我部様が他国へ。となるのでありましたらそれは……。」
織田信長が長宗我部元親を不憫に思った時。
香宗我部親泰「もし織田様が明智様に対し、
『土佐を。』
と言われましたら……。」
明智光秀「良い顔はしません。ただ……。」
長宗我部元親が土佐を大事にしている理由があるとも見ています。
明智光秀「米が無くても生計を立てる事が出来る。それも土佐を統一し、他国への進出を試みるだけの蓄えを得る術を持っている。それが何であるのか?を知るのは楽しみではあります。香宗我部様。」
香宗我部親泰「はい。」
明智光秀「土佐は耕地となる場所が少ないと言う事は、山が多い?」
香宗我部親泰「はい。」
明智光秀「山の管理は?」
香宗我部親泰「乱伐を禁じ、植林を前提としています。」
明智光秀「土佐は海に面している?」
香宗我部親泰「はい。古より京への海路があります。」
明智光秀「土佐は外洋。船はしっかりとしたものでなければ?」
香宗我部親泰「なりません。」
明智光秀「船大工は?」
香宗我部親泰「高給で以て遇しています。」
明智光秀「それでありましたら……。」




