行方不明者
行方不明者が多い中で、意図しない時に見つかる事が。それは生きてれば問題は無い。問題は無くは無いが、それでも問題が無ければそれで良い。生きてるのが良かった……そう思える時が何よりも一番楽な話だった
私はそれをテレビで見ている。それだけ興味があり……私が一番知りたい事だった
不謹慎と言われても良い。私がそう感情を持って抱いてるから。それだけが理由じゃない
私の周囲の床……地面が濡れてる。そして、手を繋ぐように私の横に髪が、全身が濡れた……まるで、水を思いっきり被った存在が居る
友達でも無ければ知り合いでも無い。私はそれを知らない。でもそれは……私を頼って来る
私が行方不明者に興味を持った原因であり、理由だから。それを見ると目線は私を見ていて、何かを訴えかけるように見つめてくる
私にどうする事も出来ないのは分かってる。それでも、その存在が何故私を頼るのかを知りたい
彼女が伝えたい事を私は知りたいし、どうしてなのかを知る為に私は……禁じ手と呼ばれる方法を取った
ゆっくりと目を瞑ってその存在に私を預ける。存在は私の中へと入ると記憶……何かが溢れてくる
息苦しく、泡立ち、水が大量に私の中へと流れて溺れる感覚。必死に手を伸ばすが沈む体
私は必死に必死にもがき苦しみ、私は意識を失った
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びっしょりになりシャワー浴びてから手を握る存在を見てからパソコンの前で調べていた
人はどうして死ぬのか。苦しみながら死ぬのか……それとも意図しない形で死ぬのかを……
後悔があり現世に留まる、未練があり残ってる……私には分からないが、その存在は私を見続ける
分からない事が多く……私はその日を終えた
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着替えてラフな格好……とは言えないが少し山を登るための格好へと着替えて鞄を手に向かった
バスに揺られて目的の場所へと。明け渡した時に少しだけ文字が見えた。その場所へと私は向かって
険しい山々の道をゆっくりと昇っていく。やがて開けた場所へと出る
水が滴り、周囲は苔に覆われていて滑りやすくなっていた。ただ……一つだけ不可解な物……
この場所には不質な物……4人乗り、四ドアセダンの車が乗り捨てられていた。全てのドアの扉が開けられていて、車体は腐り朽ちているのかボロボロで苔むしていた
ゆっくりと近づいて見る。長年の湿気や水、雨のせいで車内はボロボロ。でも、何故か……その座席の上に保護されていたかのように朽ちてない紙が落ちていた
それを手に取ろうとするとその存在は少し悲しげにしていた。私は少しだけ意図を感じてから手に取ってゆっくりと紙を広げる
文字がかすれていて読みにくくなっていたが……読めたのは
『ごめんなさい』
その文字だった。存在は見るとその先のトンネルの方を見ていて私は目を伏せてから決心をしてトンネルの方へと向かった
これで私が死ぬ様なことになれば自業自得。それを理解して私は覚悟を決めていた
トンネルの中を進むとゴミは勿論……古びていて今にも崩れ落ちそうな場所があり、その先を抜けていく
開ける場所へと出ると看板があり、危険を知らせる看板だった。そして、黄色と黒のシマシマのテープ……ゼブラテープが進行方向を塞ぐように古びた感じで取り付けられていた
私はその先へと潜り抜けて進む。誰も居ないし誰にも見つかることも無い場所。危険なのは分かってるし、その存在が私をどうこうしようとしてるのを感じてないから
やがて、立ち止まる。水の流れる音が。トンネルの先……その先は湖だった。ただ異様なのは……赤い彼岸花と、白い彼岸花が咲いていて……
その根元には骨が見えた。私は少しだけ悲しい気分になり、その存在を見ると骨の方へと
何故今更になって……もうとっくに終わった……そう伝えるようにその存在は触れていた
湖の方を見ると水面に佇む人影が……
私は目を見開いたけど……少ししてから納得して手を合わせた
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テレビのニュースで過去の水難事故の場所にて新たな人骨が見つかるニュースが流れた
私が通報したからだ。勿論……事情聴取やお小言を貰いつつも過去の行方不明被害者の可能性が見つかった事で感謝もされた
そのニュースを見てから私は目を伏せた
その存在はこれを教える為に私を導いたのか……
ただ……それとも……
私はゆっくりと目を開けた。ニュースの中でトンネルの入口付近が映し出されていた
そこには何も無く、私は少しだけ寂しさを覚えて、手紙に書かれていた『ごめんなさい』を理解して、私はテレビを消した
その入口付近にはあの車が残ってなく、警察も何も見てないということだから