復活!
「なら、行こうか」
僕はセリウスに追い打ちをかけるように言う。
「うん、でも作戦会議を――」
「いらん」
僕はセリウスにかぶせるように、そう放つ。
すると、セリウスたちは驚いたようにこちらを向く。
「そんなのいらないんじゃない? さっさと行こうよ、覚悟見せてよ」
僕がそう言うと、少し困った顔をしながらも、セリウスは決意を固めた表情をする。
セリウスの表情から、今の決断が意外にも重いものだったことが伝わってくる。
「あと、さっきから足ブルブル震えてるよ」
セリウスは隠すように自分の足を押さえる。
「セリウス、全然食べてなかったからね。もう立ってるのも辛いんでしょ?」
僕はそう言ってしゃがむ。
「ほら、おんぶしてあげる」
そう言うと、セリウスは少し恥ずかしそうにしながらも、状況的に断れず僕に掴まる。
「ほら、さっさと行こ。セリウス、指示してね」
「うん…」
セリウスは静かに返事をする。
その声からは、尊敬や悔しさなど、複雑な思いが伝わってくる。
「よし、僕が指揮を取るのはもう終わり!」
そう言うと、みんな一斉に僕に視線を送る。
「僕が頑張ってでしゃばって、ここまで指揮を取ったんだ。後はよろしく! 僕はいつも通り甘えさせてもらうから」
僕はいつもの調子に戻り、セリウスに告げる。
すると、なぜかセリウスは少し笑った。
葉と葉の隙間から陽光がセリウスの顔を照らす。
「そうだね! みんな、元気はないと思うけど、元気よく行こう!」
そんな馬鹿げたことを言うセリウスに、みんなの硬い表情が少しずつ柔らかくなっていく。
あのヒュブリスが何も言わないくらいだから、かなり追い込まれているんだろう。
僕は何があっても知らない自信があるから、精神に余裕がある。
でも、他の人たちは違う。
それでも、セリウスの一言がみんなに元気を与えたんだ。
なかなかすごいことだ。
「そうね…」
おお! 今まで全然口を開かなかったヒュブリスが、ついに口を開いた!
食料不足になってからずっと、全く体に力を入れず、口を開けっ放しにしてポカーンとしていたヒュブリスがだ。
あのヒュブリスは意外と頭が良い。多分、一番体力を消費せずに生き残って、救援を待とうとしていたのだろう。
しかも救援の日は決まっていることもあって、精神も安定しやすい。
一週間経ったら救援が来る。そう告げられているからな。
まあ、救援って言い方は少し変だけど。
「お! 早速近くに魔物の気配がするよ」
「本当? なら早速向かおうか」
セリウスは完全に生気を取り戻したようで、笑顔で返事をする。
「それにしても、よく魔物の気配なんてわかったね?」
セリウスは少し驚いたように、僕に問う。
「まあね! お腹が減りすぎて、匂いでわかったんだ!」
僕はあくまで馬鹿を貫く。
さっきは少し焦って取り乱してしまったけど、逆に冷静になったということだ。
まあ、僕も素では馬鹿だけど…。
冷静なふりをしている馬鹿だ。でも、馬鹿なふりをするっていう、少し意味不明な状況だ。
馬鹿にも種類があるからね。
おっと、そんなことを考えている間にも、魔物が現れたようだ。
ん? な、なんかデカくね…。
あれ……これは、ちょっと想定外かもしれない――。




