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少しの不安

僕は二列になって、膝あたりまで伸びた下草を踏み分けながらセリウスと先頭で森を彷徨い続けた。


少しひんやりした空気が体に触れた。


頭上では細長い葉が擦れ合い、乾いた音が風に流れていく。


葉と葉が擦れるカサカサという音が、静かな森の中に響いていた。


水分は水魔法で、食料は魔物や果実など、そしてトイレとかは……。


ご想像にお任せします。


ちなみに水魔法で出した水は、普通にめっちゃ綺麗だよ。


透明で綺麗で、日本の水道水より美味しい!


そのまま約三日くらい経ったかな。


みんな少しずつこの生活に慣れてきたみたいだね。


僕が最初この世界に来た時は、魔法も使えないのに、いろんな場所をさまよってたから僕にとっちゃ全然余裕だね。


イロイダとは未だ一言も喋ってない。


なんだかタイミングがつかめないままだ。


みんな少しずつこの生活に慣れてきたみたいだね。


そして、この森はどうやら普通の森じゃないらしい。


周りの空気も少し変わっていて、どこか不気味な感じがする。


まず、知らないものが多すぎる。


目に映るもの全てが見慣れず、少しだけ怖さを感じてしまう。


セリウスは結構頭が良くて勉強熱心らしいんだけど、そのセリウスでも全然わからないらしい。


彼の眉間にしわが寄り、考え込む姿がよく見られる。


まず植物。デカくて変なのばっか。


ときどき、見たこともない色の花がひっそり咲いている。


次に魔物。ドラゴン系統の魔物は存在するけど前に出会ったのはそういうレベルじゃないし、多分あれは竜だ。


その姿は大きくて、近づくだけで空気が震えた。


それ以外にも、通常この世界には存在しない魔物がたくさんいる。


存在しないというか知られてない。


見た目も動きも奇妙で、怖いものもいる。


どうやら、あの学校はただの学校じゃないっぽいな。


こんな面白そうな場所を知ってるなんて…。


ぜひ、友達になりたい!


話せたらいいなと思う。


でも、なんか僕恨まれてるみたいなんだよね…。


ちなみにクラスメイトたちとは大体仲良くなったよ。


ほとんどは普通の生徒達だった。


でも、ヒュブリスやスデリコ以外にも一人、不思議な雰囲気を放ってる男がいる。


なんて言うか、とにかく静か。ほぼ喋らない。


まるで空気のように、そこにいる感じだ。


いつも無言で指示に従ってる。


セリウスとかに話しかけられても、無視というか、頷くだけ。


名前はラプキス。


いかにも強そうな、かっこいい名前だ。


悪意とかそういうのは感じられない。


多分だけど、ただコミュ障なだけだと思う。


何と言うか、礼儀正しいと言うか、健気な感じ。


他は普通。


人畜無害なモブって感じ。


「ねえセリウス」


ぼそっと声をかけると、


「ん? どうしたの?」


彼は少し首をかしげて返事をした。


セリウスはこっちに顔を向ける。


「ずっと気になってたけど、先生は一週間たったらここに戻ってくるって言ったじゃん」


「なら、最初の場所に戻んないと行けないのかな?」


「うーん、そうだね。多分そんなことはないと思うよ。まず、僕たちには、正確な時間を知る術がない。何より、最初の場所の位置を覚えていない。これに関しては、急に転送されて混乱して最初の場所に戻ってこれるように行動をしなかった、僕の責任だ」


セリウスは肩を落として、悔しそうに拳を握りしめた。


「まあ、確かに最初の場所に戻るなんて高難易度過ぎか」


「それにしても、僕たちできるだけ戦闘を避けているけど、これでいいの? 最初のほうにレベル上げのために倒そうみたいなこと言ってなかった?」


僕がそう言うとセリウスは難しい顔する。


「本当はそうしたいんだけどね。ここの魔物のことを、僕たちは全然知らない。そんな状況で戦うのは少し危険すぎると思ったんだ」


そんなこと言ってたら、一生強くなれないと思うけどな。


「まあ、それもそうだね」


少し嫌な予感がするな。


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