話し合い
いやー、とりあえず一見落着だけど、でも結局これからどうすんだよ!
結局、最初の目的だった「これからどうするか」って話し合いが、まったく進んでいない。
とりあえず今は、一旦の休憩中だ。
「なんか、ごめんね」
僕は隣に座って、うつむいているイロイダに向かって声をかける。
背中を軽く伸ばして、空を見上げながら、気楽なふうを装ってそう言った。
「ううん…、みのるは悪くないんだよ」
イロイダは小さく首を振りながら、申し訳なさそうにそう答える。
「そうかもしれないけど、変なことに……イロイダを、申し訳ないって思ってる」
僕の言葉に、イロイダはバツの悪そうな顔をして、少しだけ口元を歪めた。
「そんなことないよ。むしろ勝手に、みのるのこと決めつけてあんな発言して…。私の方こそ、ごめんね」
その声は小さくて、遠慮がちだった。
イロイダは、僕と目を合わせないように、視線を足元へ落とす。
でも、僕はそんなイロイダの言葉を否定するように続けた。
「そしてそれと同時に、僕のために怒ってくれたイロイダに、感謝してる」
「へ?」
イロイダが驚いたように顔を上げて、僕と目が合う。
「で、でも…」
「嬉しかったよ」
僕は彼女の言葉を遮るように、笑顔を向けてそう言った。
「そ、そうなんだ…///」
イロイダはそのまま照れたように、少し顔を赤くして目をそらした。
よしよし、これで恋愛のストーリーのほうは順調に進んでるな。
「あ、そろそろ話し合いを再開するみたいだし、戻ろうか」
「う、うんっ」
イロイダが少し明るい声でうなずいた。
「それではさっそく話し合いを再開したいと思う」
セリウスが空気を切り替えるように言った。
「でもその前に、さっきはごめん。僕がみんなを守るはずだったのに、情けない姿を晒してしまった…」
セリウスはもう俯かず、まっすぐ前を見て言葉を口にする。
「大丈夫、お前は出来る限りのことはやっていた」
カルコスが静かな声でそう言って、彼を励ます。
「まあ、それに何もできなかったのは俺も同じだ!」
カルコスは照れ隠しのように笑って肩をすくめた。
「ま、まあ、あんた達もまともな活躍はしてなかったけど、頑張ったことくらいは認めてあげるわ!」
ヒュブリスはツンデレを発動しながら、恥ずかしそうに頬を赤らめてそう言う。
「ありがとう! 元気が出たよ!」
セリウスは嬉しそうに満面の笑みでお礼を言った。
ヒュブリスも思ったより優しいんだね。
僕だったら、普通に「なにしてんの? シンプルに何も活躍してないよ?」って真顔で言うけど。
「まあ、とりあえず、これからはみんな協力していくってことでいいかな?」
「自己紹介はもうしたから、名前くらいはわかるけど、ちょっとよくわからない奴らばっかね」
ヒュブリスは上から目線でそう言って、みんなの顔を見渡す。
「ま、まあ、これから知っていこう」
セリウスがフォローするように、柔らかく声をかけた。




