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マイペース教師

いやー、それにしても楽しくなってきたね。


どういう展開になるかと思っていたら、想像以上に最高な展開になってきたよ。


教室に漂う朝の空気は、どこかざわついていた。


天井の魔導ランプがぼんやりと光を放ち、魔法の世界の非日常感を醸し出している。


そんな中、教師の声が響いた。


「今日は早速魔法の授業を行う」

 

まじかよ、勉強いやだ〜。


心の中で悲鳴を上げながらも、周囲の期待に満ちた雰囲気に流される。 


「基本的にどの授業も私が教えることになっている」 


さすが!


僕を倒すと言ってるくらいにはあるよ。


ビノラの表情は真剣そのもので、教壇からこちらを鋭く見つめている。


その瞳はまるで、こちらの実力を見透かそうとしているかのようだった。


「まずは魔法の基本知識からだ」


「魔法には大きく分けると二つある。それは詠唱付きと詠唱なしだ」 


話を聞きながら、僕は隣のイロイダの横顔に目をやる。


彼女は真剣な表情で話を聞いている。


瞳の奥がきらりと光ったように見えた。


「この学校では基本的に詠唱なしの方を強く教える」


「詠唱付きはどうしても莫大な魔力が必要だからな」 


教室の空気がピリッと張り詰める。 


「本来、素晴らしい才能を発揮するはずだった者が魔力がないという理由で除外されるなんていうのはもったいなすぎるからな」


「そして魔法には炎魔法や氷魔法があり──────」


 


                         2


 


その後、普通に授業を受けた。


窓の外には青空が広がっていたけど、それを楽しむ余裕もなかった。


思っていたより魔法のことを詳しく語っていて、意外と面白かった。


炎魔法、氷魔法、重力魔法──僕の知らない世界が次々と広がっていく。ということは正直ないが、まあ、復習だと思ってやろう。


でも、まさか休憩なしとは思わなかったよ。


三から四時間くらい、ぶっ通しで座らされたまま勉強させられた。


背中が痛いし、脳も疲れた。


しかも、その後、特に何かあるわけでもなく即帰宅──かと思いきや。


家には帰れず、学校の寮へ直行。


軍人かよ!!。


さすがにこれは厳しすぎるよ。


この学校、どうなってんだ。 


これじゃ何も僕が求めているような展開にはならない。


熱いバトルとか、厨二っぽい展開とか、そういうのを期待していたのに。


どうしたものか。 


うーん。


だめだ、思いつかない。 


まぁ、また明日考えよう!


ベッドに倒れ込むと、部屋の天井の魔導灯が静かに明滅していた。



 

                        3


 


今日も学校か。


いや、別にいいんだけどさ。


あんな感じなの?


さすがに夢なさすぎるって!


廊下を歩く生徒たちの足音が、どこか重く感じられた。


みんな少し疲れているように見える。 


そのまま学校に向かい、教室に着いてすぐ席に着いた。


椅子の冷たさが体に染みる。


「はあ…」


ため息が漏れた。


「やけに、ため息が多いわね?」


隣の席からイロイダの声がした。


「だって学校なのに休憩ないじゃん?」


「確かにこれは大変だわね。でも、ちゃんと勉強したい私のような人には良い学校だわ」 


うわ!


勉強したいとか変わってるなぁ。


真面目だなこの子…。 


そのとき、教壇に立つ教師──ビノラが再び口を開いた。


「お前ら、私は時間を無駄にするのが嫌いだ。だからもう授業を始める」 


まじかよ…早すぎるって。


「そしてお前らの中で、かなり勘違いしてる奴らが多いようだ。昨日のようなまともな勉強は、もうほぼないと思ってもらって構わない」 


ウェ!?


「もうない?」


イロイダが小さくつぶやく。


その声には、少し戸惑いが混じっていた。


「大事なのは学力ではなく、とにかく莫大な魔力。そして魔法の技術だ」


「もちろん頭脳も大事だ。だが、それを今後授業でやる事は無い」 


まさかの完全否定。


「この学校では、とにかくモンスターを倒してレベルを上げ、魔力量を増やす」


「そしてたくさん魔法を使い、難しい魔術も使えるようにする」


「魔法がうまい下手、うんぬんは結局はすべて才能と経験だ」


素晴らしい!! この学校の教育方針はまさに天才だ! どっかの宗教の神様と同じやり方!


「だから、勉強するよりとにかく魔術を極めたほうがはるかに効率が良いのだ」


「それでは早速、ゴブリン退治へ行く。ついてこい」


ええ!?


いきなりゴブリン退治?


いや、いろいろペースが早すぎる。


マイペースすぎだろあいつ。


普通あんなのついていけないって。


いや、でも──


面白くなってきた。


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