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自己紹介

そして僕は今日、あえて学校を休む。


特に論理的な理由があるわけではない。


だが、今日は学校を休んだほうが、面白いことになる気がするんだ。


窓の外は快晴。


カーテンの隙間から差し込む光が、部屋の床を斜めに照らしていた。


時計の針が、いつもよりゆっくりと進んでいるように見える。


学校を休むとなると、暇だな。


ここはひとつ、僕という人間の説明をしようか。


僕は夜桜穰だ。


オタクで、厨二病。


そして僕は、この世界を物語だと思っている。


実際に物語であるか否かは重要ではない。


ただそう思い、誰かに見られている気分で舞うのだ。


僕は主人公だから、みんな僕の心を見て、言葉を聞いて、楽しんでいる。


そう、僕は信じているのだ。


だから、たまにメタ発言みたいなことをするだろう。


だが、それはメタ発言であって、メタ発言ではない。


この物語は僕の頭の中で描いたものそのものなのだ。


だからたまに、僕自らナレーションを入れることもある。


まぁそういうことなので、そろそろ意図的に勘違いコメディでも始めるか。


いや、もう始めていると言ってもいい。


大体の信者は僕を神だと思っているし、最強でかっこいいと思っている。


本当は僕が頭の中で、厨二病的展開を想像してるだけなんだけど。


まぁ、それでいいのだ。


ここからこの物語がどうなるのか、楽しみだよ。


それにしても、そろそろ新キャラ登場してもいいんじゃないかな?


まぁ、新キャラに出会うためには、まず部屋から出ないとな。


僕はそう思って、パーカーを羽織り、玄関を開けた。


湿ったアスファルトの匂いが鼻に届く。


遠くで蝉が鳴いていた。


僕は、部屋から出て散歩を始めた。


そして、散歩をしていると――まっちゃんが居た。


なんとも都合の良い展開だ。


「あれー? みのるっちじゃん!! お久〜」


「やぁー、久しぶり」


「最近会えてなかったから寂しかったよ!!」


「もしかして、待ち伏せしてた?」


「まあね〜!」


「人の目もあるから、部屋行こ?」


「りょーかい〜!」


ーー僕は、まっちゃんを部屋に連れ込んだ。


「まっちゃんって、初めて出会った時から全然姿変わってないよね」


「まあ、エルフは寿命が長いからね〜!」


「それにしても、みのるっちのおかげでエルフと人間が同じ立場になったから街も普通に出歩けるし、本当にありがとう」


「別にいいよ」


「まっちゃんも何か、フレンドリーな感じになったね? 昔はめっちゃ礼儀正しい、ガキだったのに」


なんか喋り方がいつの間にかギャルになってる…。


「穰はこういう感じの方が好きだって聞いたからさぁ〜!」


「頑張ってフレンドリーな感じにしてるんだけだけどね」


まっちゃんはそうボソッと呟く。

 

「別に僕、フレンドリーな感じ好きじゃないけどね」


「え?」


「いや、別に嫌いじゃないよ?」


「情報源がどこか知らないけど、そんなこと一言も言ってないなぁ、僕」


「え? でも、ペルソナさんが…、いや、じゃあ、もう、戻すね…」


「まっちゃんがそっちが楽なら、そっちにしなよ」


「まっちゃんは僕にとって家族のように大事な存在だ。どっちのまっちゃんも好きだよ」


「あ、ありがとう!!」


まっちゃんはそう言って微笑む。


「それにしてもみのるっちって…」


僕は笑いを堪える。


「や、やめてよ! しょうがなかったんだもん!」


まっちゃんは顔を真っ赤にして怒る。


多分相当無理してたんだろうね。


好きにすればいいのに。


女の人って、わからないね。


でも、まっちゃんも成長したなぁ。


昔も確かに礼儀正しかったけど、その時はもうちょっと子供っぽかったのに。


これが子供の成長に悲しむ親の気持ちかぁー。


まあ、僕の方が年下だけど…。


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