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ヒロイン

意外と魔法の勉強って大変だなぁ。


魔法陣の描き方も難しいし、呪文も似たようなのばっかりだけど覚えるのが大変だ。


教室の空気もなんだかピリピリしてて、みんな真剣に取り組んでいる。


友達もいないし…。そうだ! 友達作ろう!!


そう思い、授業が終わってすぐに、話しかけやすそうな人を探した。


「う〜ん、う〜ん」


僕は小さく唸り声を漏らし続けていた。


「ねぇ、さっきからう〜ん、う〜ん、うるさいんだけど?」


は! よく見たら隣に、絶対に友達にならないといけない人がいたじゃないか!!


彼女は眉をひそめてこっちを睨んでいる。


それすらも、絵になるぐらい綺麗な横顔だった。


「すみません。ていうか、昨日はありがとうございました」


「別にあれくらい、いいわよ」


彼女は目をそらしながら、つまらなそうに言った。


「えっと〜、その」


教室の空気が、急に重くなる。


僕の声が震えるのが自分でもわかった。


「なに? まだ何かあるの?」


「いや! なんでもありません!!」


そう言って僕は自分の席に戻った。


木製の椅子がギシリと音を立てた。


やばくね? 全然話せない。これじゃヒロインと仲良くなれない…。これは由々しき事態だ!


これはあれをやるしかない!


                        2


よし、完全に準備は整った!。


ふふふ、これでヒロインと絶対仲良くなれるぞ!


学校が終わり、ヒロインちゃんは帰っていった。


その後ろ姿を追いながら、僕は足音を殺して距離を詰める。


周囲はもう夕暮れで、通りには人の姿が少なかった。


そうして、僕はその後をつけた。


家に帰ると思ったが、そのまま魔物が出る森の方へ向かっていった。


草木が揺れ、風が冷たく肌を撫でる。


森の奥では不気味な鳴き声が木々の間を抜けていく。


そしてそのまま魔物狩りを始めた。


「ふっ!」


「はぁー、はぁー」


レベル上げをしているようだ。


ゴブリン数体を相手にし、額には汗が浮かび、息も上がっている。


よしそろそろ来るかな?


「こんにちは!」


「ふぇ!?」


「だ、誰ですか、あなた!」


そう、僕はあらかじめこの作戦に使う幹部を呼んでおいたのだ。


しかも幹部の中でもかなり落ち着いていて冷静な判断ができる奴を呼んできた。


「私は、ペルソナさ」


そう、毎度お馴染みペルソナだ!


顔は仮面で隠されている。


風も吹いていないのに、なぜか彼の周囲だけが静寂に包まれていた。


「一体何のようですか?!」


「それはただ、君を殺しに来ただけだよ」


「へ?」


ペルソナはそう言って容赦なくヒロインちゃんの顔に拳を打ち込んだ。


鈍い音がして、ヒロインちゃんの身体が後方に吹き飛ぶ。


頬が赤く腫れ、目に涙が滲んでいる。


「くっ!」


「あまり、舐めないで! 私だって魔法学校に通っているんだから!」


そう言うとヒロインちゃんは魔力弾をペルソナに向かって撃った。


その瞬間、空気がピリッと震え、魔力が膨張する気配が周囲に広がった。


青白い光が彼女の指先から迸る。


だがヒロインちゃんが撃った魔力弾を、ペルソナはろうそくのように息で消してしまった。


「そんな!?」


「まぁ遊んでいてもしょうがない、殺すか!」


「え、あ、い、いやぁ!!」


「さよなら」


ペルソナはそう言って、ヒロインちゃんに向かって炎魔法を放った。


バシュッと音を立てて、真っ赤な炎のビームがまっすぐに飛び出す。


そのまわりには、ぐるぐると渦を巻くように炎がまとわりついていて、空気が熱でゆがんで見えた。


ビームは光と熱をまき散らしながら突き進み、まるで火の竜が一直線に襲いかかってくるようだった。


地面の草が一瞬で焼け焦げ、熱気が体にまで伝わってくる。


ヒロインちゃんは目を見開いたまま、その炎の迫力に一歩も動けずにいた。





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