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怖い

 そうして僕は家に向かった。


 僕は人がいない静かで少しだけ広い道を通っていると、誰かに話しかけられた。


「おい、お前!」


「ん?」


 誰かと思えば、さっき怒って教室から出て行った生徒達だった。


 待ち伏せしていたのだろうか。


 顔を見た瞬間、嫌な予感が背筋を這い上がる。


「お前、デウス様をバカにするような学校に入学なんてしてないよなぁ?」


 男は僕に顔を近づけ、鋭い視線で睨んだ。


「してたら?」


「殺す!」


「そうか、君もデウスのやろうが好きなの?」


「デウス様をやろう呼ばわりか、ゴミめ!!」


 今、デウス様をゴミ呼ばわりしている奴に言われたくないな。


 内心でそう毒づいたが、顔には出さない。


 そう言ってそいつらは僕を殴った。


 一人が僕を押さえつけ、それ以外が僕を殴る。


 拳が頬に食い込み、身体に鈍い痛みが走る。


 そのまま僕は、硬い土のような地面に尻もちをついた。


 全く、最悪だ。


 全員殺してやりたいが、実力を隠さなければいけないし、なにより、こいつら一応、僕の為に怒ってるんだし見逃してやるか。


 そしてこのまま殴られているのに無表情なのもおかしいから、ちょっと怖がるか。


「ちょ、ちょっと〜やめてくださいよぉ〜」


「うるせー! デウス様を馬鹿にしてるからそうなるんだよ!!」


「ひぃー! 怖いよ〜」


 僕が頭を抱えてぶるぶる震えていると。


「ちょっと! 弱い者いじめなんてやめたら!」


そんなことを言っていると、一人の女がそう言った。


声は強く、しかしどこか冷静で、自信に満ちていた。


「あー?」


「大勢で一人をいじめて楽しいの?」


「てめぇもデウス様を馬鹿にするのか?」


「別にデウス様を馬鹿にしてるんじゃない。そんなこと、デウス様は望んでいないって言ってるのよ!」


 ナイス! 助かったわー、ここでヒロイン登場か!


 胸の中で思わずガッツポーズ。


「なめやがって! お前も吹っ飛ばしてやろうか!!」


「口で言ってもわからないなら、痛みで思い知りなさい!」


 女はそう言うと、手のひらに魔力を集めた。


 すると空気がざわつき始め、足元の砂やゴミがふわっと浮かび上がる。


 風がぐるぐると巻き起こり、まるでその場に小さな竜巻ができたようだった。


「おりゃー!」


 男たちも負けじと女に飛びかかる。


「とりゃ!」


 そんな掛け声と同時に、ものすごい風が前に向かって一気に吹き出した。


 まるで巨大なうちわで全力であおいだような、そんな強い風だった。


「ちょ! わ!」


 男たちは声を上げながら、風に押されてバランスを崩し、ゴロゴロと地面を転がりながら吹き飛ばされていった。


「う、うわ〜! クソが! 覚えとけよ!!」


 そのままそいつらは、去り際にそんなことを言いながら風で吹き飛ばされていった。


 制服の裾がめくれ、地面に転がりながら遠ざかっていく姿に、少しだけスカッとする。


「大丈夫?」


 あれ? ていうかこいつ、よく見たら僕の隣の席だった人じゃん。


「あ、あの、ありがとうございます!」


「でも、デウス様を馬鹿にするのはだめだよ?」


「え? でもあなた、あの学校に入学してませんでした?」


「私はデウス様を倒すために入学したんじゃない。デウス様を倒すとか言っている人たちを懲らしめるために入ったの!

 しかもあなた、今日学校で私に、急に変なこと言ってきた人でしょ! あんなことされてむかついただろうけど、今のはそれの罰だと思って今日はおとなしく帰りなさい?」


「はーい…」


お母さんに説教されている気分になった。

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