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プロローグ 3

 レイリアが去るとヨハネスは尋ねた。


「ジークベルト。本当に『マリネス王国』に行くつもりなのか?」


「ああ。あの国に送った使者が帰って来ないからな。あれ程の手練れだった男だったのに……残念だが多分もう生きてはいないと思う。最近、あの国で嫌な噂が流れてるのは知っているだろう? 黒魔術を使って何か儀式が行われているとなると、様子を見に行くしかないだろう」


ジークベルトは顔を上げた。


「だけど、何もお前が行く必要はあるのか?レイリアだっているし、2か月後には子供だって産まれて来るじゃないか。」

ヨハネスは真剣な表情でジークベルトに説得する。


「だから、私が行くんだよ。相手が黒魔術を使うなんて只の人間に出来るはずが無い。もしかすると人間じゃ無いかもしれないだろう?そんな相手に対抗できるのは私しかいないと思うんだ。」


「だが……!」


尚も反対しようとするヨハネスをジークベルトは手で制した。


「第一、あの国は私の妻の故郷だ。それにやがてはレイリアの婚約者になる王太子もあの国にいる。だからどうしても行かなくてはならない」


「そうか。お前がそこまで決めたのなら、何も言う事は無い。ただし、俺もお前についていくからな。俺とお前は一蓮托生だ。それに俺の剣術の腕前は知っているだろう?」


「ヨハネス……ありがとう」


ジークベルトとヨハネスはしっかり握手を交わした。


「それで、いつ『マリネス王国』に行くんだ?」


「準備期間があるからな……。遅くても半月後には出るつもりだ」


「分かった。それなら騎士の選定と魔剣、それに魔法防御の装備品の調達は俺がやっておく。お前はそれまで魔力を体内に貯めて準備をしておけよ?」


「ああ、分かった」



****


 そして半月後――


ジークベルト手練れの騎士達を連れて『マリネス』王国へ向かったその日。

土砂降りの雨の中、ジークベルトを含めた騎士達が続々と城に帰還してきたのだ。


「誰か! 誰かレイリアを診てやってくれ!!」


城に帰還したジークベルトは、ずぶ濡れの姿のまま毛布にしっかりくるまれたレイリアを腕に抱きかかえている。


そこへメアリが駆けつけて来た。


「まあ! レイリア様! まさか陛下とご一緒だったのですか? どうりで幾ら探してもお姿が見られないと思っておりました。もう大丈夫ですよ。婆やで……ヒッ!」


メアリは言葉を失った。


ジークベルトが抱えていたレイリアは変わり果てた姿になっていた。


美しかった金色の髪は漆黒に染まり、ドレスも闇の色に染まっていたのだった――


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