表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/34

第十話 ポーと若君。

次はポーが砂占術をする番です。

どうなるのか? は見てのお楽しみです。

楽しみと思っていただけたら嬉しいです。


では、どうぞ。

 期待と不安が入り交ざり、不安が勝ち、尻込みをした。

 それでも、とポーは意を決し、集中する。


 我の力を示せ。

 雑念を排除して、人差し指を中央に。

 大丈夫、みんなだって上手くいったじゃないか。


 心が落ち着くのを待って、我の力を示せと繰り返し、そっと指で砂に触れる。

 その瞬間、爆発音がして、衝撃が走り、ポーは吹き飛ばされて後ろに三回、転げた。

 みな、ポーを案じた。プランタ、ボンザ、ペイズ、ミーナはすぐさま、少し遅れて清秀が駆け寄った。

 朝雲は自分の役目を思い出し、砂占術で示された砂を読んだ。

 読んだのだが、わなわなと震えるのみで、言葉にならなかった。


「どうした?」

 清正の一声で、みなの視線が朝雲に集まる。

「……大将軍様、わたしには読めません」

「よいから読んでみよ」

 朝雲は応えられない。

「早く!」

「……了にございます」

 震える声で朝雲が言うと、白家の面々は青ざめたのだが、ポーたち五人には意味が分からなかった。

「あの了に相違そういないな」

「はい」


「どういう意味ですか?」

 プランタが清秀に訊く。

「了とは」

 と清秀は真剣な眼差しをする。

 「終わりを意味する文字なのじゃ。代々伝わる砂占術では、一番に不吉な文字とされ、いままで一度も出たことはないのじゃ」


 気にせんでもよい。

 何事にも手違いというものはある。

 微笑んでそういう清秀を見て、


 いよいよ大変なのだ。


 と、五人は思った。

 いや、ボンザだけは額面通りに受け止めて、じゃあもう一回やり直そう、と朝雲に言った。

 ひとり一度が決まりなのです、と言われて、その苦々しい声色に、ボンザの元気は失せた。


「父上、我らにとっても彼らにとっても時間は惜しいのです。盤上遊戯についての説明をいたしましょう」

 清秀の一声は、みなを正気にした。

 清正も朝雲も気を取り直して、五人を上がり座敷へと招いた。





 前衛に清秀、ボンザ、ペイズ、そして白家の侍大将の坂井豪山さかいごうざん

 中衛にプランタ、ポー、朝雲。

 後衛にミーナと、癒し手の羽地はちさかえ安野光あんのみつ


 自軍の戦士が四人になったときにのみひとりだけ盤上に出ることを許される控えの二名には、忍頭の桐丸新兵衛きりまるしんべえと豪山の右腕、田島双迅たじまそうじん

 そして、戦士の残りが三人になってしまったらそこで負けだと、そこで教えられた。


 清正は軍師の朝雲と、朝雲の実弟である参謀の氷雨ひさめとともに頭を悩ませて、この布陣に決めた。


 盤上遊戯に参加できることは、すなわち、この上ない誉れであることなのだ。

 名を呼ばれた白家の面々は、頭を下げてかしこまったが、とても誇らしげだ。


 ボンザは最初から乗り気だったし、白家の手助けをすると心をひとつにしたプランタとペイズとミーナも、意気込んだ。

 しかし、ポーの顔色だけが、その場にふさわしくはなかった。


「ポー、どうした? うれしくないのか? 頑張ろうって気にならないのか?」

「そんなことないよ。でもさあ、ぼくでいいのかなあ?」


 弱気になっているポーを見て、ボンザが答えようと口を開くよりも早く、清秀が白家の総意を言った。


「ポー殿は召喚者。我ら白家の陰陽師が全精力をかけて呼び出した、白家に勝利をもたらすお方。砂占術でどう出ようが、その力は必ず我らに勝利をもたらしてくれると、我ら一同、信じておる。ポー殿も自信をもって、胸を張ってくだされ」

「ありがとうございます、若君。でも、ポー殿っていうのはやめてください。なんだか照れるから」

「それならばポーも我に敬語を使うのをやめてくれ。年は我の弟と同い年だが盤上遊戯では共に背中を預け戦う仲間じゃ。気遣いは無用。そなたら全員もじゃ。よいな」

「若君がそう言うなら、な」

「うん。よろしくね、若君」

 ボンザが同意を求めて、ペイズが受け入れた。

 ミーナも笑顔で肯く。

「若君、ぼく、頑張るよ」

「それでこそ男子じゃ」


 ポーが言うと、清秀は笑った。

 清秀が笑ったことで、話が結ばれた。


「それではさっそく、力を試させてもらおうか」


 清正が先導して再び闘技場へ出た。


 ボンザの剣はすぐに力を示すことができたのだが、プランタの付与は少しコツが必要だった。

 それでもプランタは持ち前の優秀さですぐにものにする。

 ミーナの歌はただ歌えばよいというわけではなく、歌詞と曲を覚えなくてはならなかった。

 耳の魔法陣によって言葉はわかるが字は読めないので、歌詞は耳で覚えるしかなく、何度も聞き、何度も歌わなくてはならなかった。

 途中でミーナたちの文字に起こせばよいと気が付いて、書き留めて歌詞を覚えることが楽にはなったのだが、曲はやはり耳で覚えるしかなかった。

 それが十四もあったのだから、龍を使いこなすのに一番苦労したのはミーナだろう。

 ペイズの金塊は、ただ、出でよ、と念ずるだけだと言われて、内心、簡単だとなめてかかったのだが、なかなかどうして上手くはいかなかった。

 それでも一時間としないうちに、金塊を出現させられるようになった。

 ペイズは金塊と聞いて両手でも持ち切れないほどのものを想像していたのだが、手のひらに乗る程度の大きさでも十分らしかった。

 ポーの龍、了は、どうなったか。

ポーだけがうまくいきませんでした。四人はうまくいったのに。

ポーの胸中は……? 



我が儘になってしまうかもしれませんが、

やっぱり端くれでも書き手です。ひとりでも多くの人に読んでほしいです。

私に足りないものは何か? どうすれば読者を増やせるか? アドバイスをお願いします。


では、またお逢いしましょうね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ