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『祓い師』レイラの日常 〜それはちょっとヤなもんで〜  作者: 本見りん


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王家の『祓い師』



「ッ! コレは……ヴェルナー殿下。この部屋は……いったい何事でございますか? 王妃殿下はご無事でいらっしゃるのですか?」



 王妃の部屋の扉の前に居たのは、この国の王家に仕える『祓い師』。


「……ヒース卿。其方こそどうしたのだ。王妃の部屋の結界に干渉するなど、王家に対する叛逆と疑われても仕方がないぞ?」


 ヴェルナーはまだ少し信じられない気持ちでこの国1番とされる『祓い師』ヒース グレシャム子爵と相対した。


「何を仰いますか!? 私めはこの王家の忠実なる僕にございます。この部屋に怪しげな気配を感じ、しかも私が王妃様の御為に精魂込めてお作りした『魔除け』をも壊そうとする気配さえ感じるのです! アレが無くなれば王妃殿下にかけられた呪いは一気に身体を蝕んでしまう事でありましょう……!」


 そう辛そうな表情を見せたヒース卿。


「……しかし、母上はその『魔除け』があるにも関わらず、呪いにかけられてしまったのだぞ?」


「それは……私の力が足りず、大変申し訳ないと心より思っております……。しかし! アレが無くなれば更に王妃殿下は……!」


 そう言ってヒース卿は目頭を押さえた。


 ……随分と、演技派だな。


 冷静に、ヴェルナーはそう思った。


 今まではこのような卿の演技に皆見事に騙されていたのだ。……今なら分かる。彼は、何か嘘をついている。


「……今、我が国の優秀な『祓い師』が、母上の『呪い』を解呪している。ヒース卿。其方は他の王族を集め隣室で待たれるが良い」


 レイラが今、懸命に母上の『呪い』を解いている。しかし今の時点でどうなるかは分からない。


 そしてこのヒース卿は今回の件で限りなく黒。犯人の1人に違いはないとは思うのだが……証拠が無い。しかし今までなんの手がかりもなかったのだから、これからヒース卿を詳しく調べれば何かは分かってくるだろう。



「……いやしかし! 王妃様の御容態が心配でございます! 私も是非ともその『解呪』に参加させていただきたく……!」


「ならぬ。卿は隣室で待つように」


 ヴェルナーにそう言われ、悔しげに拳を握り締め俯くヒース卿。


 ……このまま、大人しく引き下がるか? それとも……?


 ヴェルナーがチラリとヒース卿を見ると……。


「……いいえ! ここは王妃様の御為に、是が非でも私も参加させていただきますぞ!」


 そう言って顔を上げたヒース卿は、恐ろしげな鬼の形相だった。



 ◇



「……え?」


 王妃の呪いの解呪をしていたレイラは、突然『魔除け』の力が強まった事に驚いた。


 ……コレは、外からの干渉が更に強まっている……。


 レイラは『魔除け』の腕輪に封印を更にかけ直す。


 最初、『魔除け』の腕輪の解呪から始めたレイラだったが、触り始めると『魔除け』が何かに反応している事に気が付いた。ずっと、外から力の供給がされているのだ。


 それからレイラは素早く『魔除け』に封印をかけその力を封じてから、主である指輪の呪いの解呪に切り替え取り掛かっていたのだ。


 あー、ドロドロ。本当、嫌になるわよねぇ。


 そう考えつつも、レイラは丁寧に優しく魔力を流し、ついに指輪の解呪を成功させた。そしてそっと、王妃の指からその指輪を外す。

 『呪い』の抜けた指輪は、力無くコロンとレイラの手のひらに転がった。


 ……アナタも、人の怨念に利用されて大変だったわね。


 レイラはそんな思いで指輪に浄化魔法をかけると、それは少し嬉しそうに見えた。



「終わった……のか?」


 信じられない、というようにアルフォンスが呟いた。


「はい。指輪の呪いは解けましたね。あとは……、この腕輪です」



「腕輪……? ソレは、『魔除け』のはずだろう? ……まさか」



 アルフォンスは今回の犯人に思い至ってレイラを見る。まだ結界は張ったままだ。


「そうですね。この『魔除け』の腕輪を作った人物。おそらくは王家お抱えの『祓い師』の方が今回の真犯人かと思います。この『魔除け』だけなら無害ですが呪いを重ねると相乗効果で倍以上の効果が出て、更に外れなくなります。今はこの『魔除け』の力を封じているので解呪出来たのですが……」


「そうか……。その腕輪は叔母上の腕から外せるか?」


「……今この部屋の外からこちらに干渉しているのはその『祓い師』の方ですよね? この方の、執念を強く感じます。その方の力を封じないと安全には取れないと思いますが……」


 この国の王妃に万一にも何かがあってはならない。これだけ近くで力を供給され続けていたら王妃に何もなく取り去る事は難しい。


「結界を張っていても、力が供給されているのか……」


 ……なんて力だ。だからこそ『この国1番の祓い師』なのだろうが、力の使いようを間違えるとこんな恐ろしい事になるのか。アルフォンスはそう口惜しく思った。


「はい。今ヴェルナー殿下はその方とお話ししているのでしょう? 説得、出来ますかね……」


 そこで外からの干渉、攻撃が加わるのを感じた。


「あー、無理そうだな。殿下の制止も聞かずこちらに攻撃してくるとは……。奴は捨て身だな。後がない者の攻撃は厄介だな」


「純粋な、悪意ですね! そしてその奥にある何やら熱い思い……! コレは何やらゾクゾクしますね!」


 よく分からない所に興奮しているレイラに苦笑しつつ、アルフォンスは結界の向こうの気配を窺い見る。衛兵や他の魔法使い達も集まっている。彼は……ヒース卿は間もなく拘束されるだろう。


「彼が拘束され、力を封じられたら王妃殿下の腕輪の解呪を頼む」


「了解いたしました!」



 ……そして、王家お抱えのこの国1番の『祓い師』ヒース グレシャム子爵は拘束。魔術封じを施され厳重に警備された地下牢に入れられた。





お読みいただきありがとうございます!

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