異世界の人間
両者が席に座る。
三南は真剣な顔
(最高級のソファこれヤバいな、なんかもう尻が快適って叫んでる。フワッフワだ)
シュエンは笑顔で
(この人間は私の世界の人間とは違う、わかっていても見た目が近いと苛立つ。 ですが三南さんは強大な力を持っている、慎重に礼節を持って真摯に接すれば協力をとりつけられる筈)
内心の剥離は凄まじいが表面上は話し合いの始まりだ。
シュエンはコップを手に取り一口だけ飲み、改めて三南を見据えて口火を切る。
「私達の世界の話しから始めて宜しいですか?」
「異論ありません、質問は挟みますがご容赦を」
「はい。その都度答えましょう」
取り敢えず話し合いの流れを決めて、此処から本格的にシュエンが異世界の話しを始める。
「私達はこの星より少しだけ大きい星に住んでいた一種族であるエルフ、星より生まれ星に還る数ある種族の一つ」
三南は違和感を覚えた。
星に還る種族、星に還らない種族がいなければ言い回しがおかしい。
「…………」
だが質問を挟んでいいのか数秒悩むが、答えはシュエンから示される
「お察しの通り星に還らない種族が居ます。それは『人間』と呼ばれる星から生まれたのではなく生物に造られた生物、奴らは死ぬまでに溜め込んだ存在力……星の源の力を奴らの神に渡す特殊な生命体です。」
そこで一旦言葉を区切り三南に考える時間を渡す。
人間、奴ら等に憎しみと怒りが籠められていたが存在力という固有名詞を解りやすく噛み砕く事もしていた。
三南とシュエンの知る人間は違うと自分に言い聞かせていると見て分かる態度に三南は好感を抱いた。
当たり散らさないのは理性的な人だから、憎しみを持つのは愛を知っているから、三南と『人間』を同一視しないのは同じく神とやらの被害者だと理解しているから
三南は取り敢えず暫定的にだがシュエンの言葉を真実だと受け止める決意をして問い掛ける。
想像通りなら挑発に近いことを彼女の理性を信じて
「人間は存在力とやらを神に捧げる。 存在力が星からの力なら造られた『人間』には無い筈だ。 何処からどうやって調達するのですか?」
瞬間、重力が激上したような錯覚に陥る程の怒気が部屋を支配した。