業火
40階層
「肉の壁は辞めたか、だが正直こっちの方が厄介だぞ」
「飛行型50 重装歩兵200 大盾兵100 魔術師100か……どれも雑魚ではねぇなぁ」
「じゃあ小手調べ!」
アナが言うように本当に小手調べの雑な弾幕、敵には当たるが配分などは考えられていない乱雑な弾幕を
「へえー」
大盾兵の半数が素早く前に出て攻撃を防ぎ、飛行型は魔術師の後ろに隠れ半数の魔術師が防御壁を張り残り半数の大盾兵は抜けて来た攻撃から魔術師を守る。
ダンジョンから生まれたエネミーとしては見事な連携だと言える。
だがここは40階層。
我慢を重ねに重ねた龍神がいる。
「三南」
「おう、今現在からキリュウの第一の縛りを解く。 好きに暴れろ、防御は俺がする」
「ありがとよ! ガァアアアア!!!」
喉が鱗に覆われ、瞳孔は縦に裂け、口元がドラゴンのそれになっていき炎が溢れ出る。
「連携まで覚えてご苦労なこった……ソレが及ばねぇ暴力の極地を見せてやらぁ」
ゴゥ!と空間の空気がキリュウに引き寄せられ、全て彼の肺に入っていく。
ゴァアアアアア!!!
2キロメートル四方の広々とした空間で散り散りに逃げる敵。
だが逃げ場は無い、全ての隙間は炎が瞬く間に埋めた。
魔法は意味が無い、盾も溶けた、重装歩兵は突撃姿勢のまま先ず中身が灰になり、鎧は床に水溜りのようになった。
遂に金属が蒸発して何も無くなった。
敵が居た痕跡はもうどこにも存在しない。
「喉と肺の調子は? 人型でも10回は確実、嘘は無いよな?」
「想定より負担10分の1だわ、エルフ印の喉薬やべぇな」
「……本当に問題なさそうだな、んじゃ頼むぞ龍神キリュウ。」
「キリュウすごい! 階層丸焼きしたー!」
「おうよ、任せとけ。 オレが本気になったからには全部灰にしてやらぁ!」
切り札であるキリュウの存在力全てを叩き込むブレスを武器に3人は素早く移動を開始する。
ここからは切り札に対策されるか、対策される前に殺しきるかだ。