蹂躪
「ダンジョンの攻略、最長で半月だ。 イケるよな?」
三南の言葉に反応するようにキリュウが見る見る縮み、見慣れた人型になる。
「クハハハ! 前衛は任せろ殺し尽くしてやんよ」
「アナ現着、後衛は任せて」
笑いながら自信満々のキリュウ、それに続くようにアナが到着し2人の後ろに立つ。
「これよりダンジョン攻略及び完全破壊を始める! 行くぞ!」
一分一秒も惜しいとばかりに三南の言葉と同時に3人が洞窟に飛び込むように進撃する。
「オッラァ!」
三南がゴブリン族に合う前にイメージしていたゴブリンそのものな見た目の敵、それを裏拳で数十を吹き飛ばし安全圏を築くキリュウ。
「あははっ!ぶっ飛べー!」
前に居る三南からの存在力の供給を前提とした質と量を両立した圧倒的な魔法の弾幕、キリュウの安全圏を数倍に広げる。
(とりあえず嫌悪感は無い、罪悪感も良心の呵責も問題無し……じゃあ俺も)
「十指爆裂魔法」
指先1つ1つに自身の存在力の上限である5000万を凝縮させた、現在の三南が持つ最大最強の攻撃をアナの攻撃の更に外側に撃ち込む。
ドォ! ドッバァン!!!という異次元の威力が目に見える全ての敵を消し飛ばし、余波で階層の壁に緑色の染みを生み出す。
「現状確認、この階層の広さは凡そ500メートル四方。敵は……邪妖とでも呼称するか、数を数えてた奴いるか?」
「アナ数えてた1000は居た、ぎっちり詰め込まれてるね」
「まぁ最初の階層なんざこんなもんだろ、それより最終階層がいくつかで戦い方も代わる。 ゴリ押しでいけるのなんざ10がいいトコだろ」
アナと三南がほぼ全ての敵を消し飛ばしたので階層全体が安全圏になっている、なので今後の方針を話し合う3人。
たった数十程度の敵の散発的な突撃を片手で叩き潰しながら、キリュウはダンジョン核の位置が戦術的に重要だと述べる。
「ああ、ラシルに……抑え込みは成功、だけど思ったより育ってる……50階層は覚悟するべきだと、しかも下に行く程に階層は広くなり敵は強くなる。」
ラシルとの存在力で繋がっている三南がラシルに確認を取る、ダンジョンは先端を切り取った六角錐のような形状であり最奥にダンジョン核があるが、階層毎の戦力の磨り潰しをサボれば増援に負担がかかり、最悪は地上への尖兵の侵攻が発生してしまう。
「つまり尖兵を全滅させる気概で虱潰しに殺し尽くしながら最終層のダンジョン核に辿り着く、余裕を持つなら一日5層がノルマだな。」
「この邪妖はダンジョンが最初期に生み出した雑魚だ、雑魚の層が続く限り最速でぶっ殺して回りゃあいい訳だ。」
「時間掛けるだけ敵の準備が整う、整う前に何処まで進めるかが勝負」
全員の意思が一致した。
最速で進み層の敵を皆殺し、埋め込まれて時間が経っていないので敵が弱い内に進んで殲滅進んで殲滅を繰り返す。
そして3人は走り出す。 キリュウが前衛でアナと三南が後衛、キリュウが2人の安全を確保し2人が広範囲高威力攻撃で殺しまくり、キリュウが残敵を殺しながら素早く次の層へ
それを淡々と繰り返す。