ぐだぐだ
「チクショウが……全存在力を指先に集めるなんざ、滅茶苦茶しやがって」
乱闘は互いの耐久力と回復力により泥沼状態になったが、三南の両手五指十本に全存在力を留めて実質十倍の威力による暴威で決着がついた。
「やかましいぞ馬鹿が、お前が喧嘩売ってきたんだろうが……第1拠点は砦化できてる。 第2は神樹の影響か、治安も問題無いと」
グチグチと文句を言っているキリュウに言い返しながら資料に目を通し、大きな問題は無く順調に進んでいる事を再確認する。
「しっかしゴブリン族優秀すぎねぇ? 発電所にインフラにネット環境も整えやがった、まぁ流石にネットは一部だが」
「それでも十分過ぎる、連絡手段は倍以上になったからな……オークと合わせて、もはや怖いわ」
オーク族とゴブリン族の頭脳とパワーにより大抵の事は出来ていた。 元からあった物を維持しただけですとは言っていたが、ネット環境の維持など専門用語だらけで三南は理解出来なかった。
現代日本人よりネットに強いゴブリンとは何なのか。
「戦力はどうだ?」
キリュウは破壊活動を主とするが戦闘も得意とするので、三南は半ば無理矢理に戦闘顧問という戦闘に関する全てを押し付けた。
故に問いかけるのはキリュウになのだ。
「魔族がヤベェな、エルフは真っ当に強くなってるが……魔族は100人が掌からビーム出してたわ、確かかめは」
「やめろ! 技名を口にするな! 掌からビームが出ただけだ、それ以上でもそれ以下でもない。 いいな?」
「おぅ、分かった。 まぁ順調だ、際限なく補給される存在力と馬鹿みてぇに増える攻撃のバリエーション。 このオレが一回落とされたぐれぇだ、ドラゴンも何故か属性以外のブレス使えるようになりやがったし」
妙な迫力を出した三南に少し怯むキリュウだが、問題無く報告は為された。
キリュウは龍神であるというのに訓練という名目で的扱いされている事に三南へ再三苦情を申し立てているが無視である。
ドラゴン族は破壊以外が苦手なので平時は肩身が狭くなる、仕方無い事だが諦めて放り投げる訳にもいかない。
なのでドラゴン族は自主的に戦闘機の迎撃模擬訓練として飛び回ったり落とされたりしている。 それならばドラゴン族の神たるキリュウも落とされるべきだと三南は結論付けた。
前日にボコボコにされたから強引に議題にして無茶苦茶理論を振り回し、八つ当たりとして可決させた訳ではない。
ドラゴン族の献身に感動したのは事実なのだ。