拠点模索
4つのソファーに座り向かい合う4人だが、魔王アナは単純に難しい事を考えるのが苦手でエルフのシュエンは武闘派の脳筋に近い上に本来の代表ではないので、自然と向かい合う龍神と三南が話し合うのを2人が聞いて理解するといった形になる。
「とりあえず指示出すか……いや、迎撃だから位置が最重要だよな。 龍神どこだ」
「ココだな、オレたちの転移位置は同じだ。まぁ決めつけはよろしくねぇが、アッチの世界からコッチの世界に送る位置は固定って考えてもいいかもな」
スマホのアプリで世界地図を出す三南に即座に位置を指し示す龍神。
「いや指デカいな、拡大するからもう一回頼む」
「うぉお! 絵じゃねぇのかこれ? まぁココだ」
指先どころか全てが筋肉質な龍神の指した場所は凡そ日本近くとしか分からなかったので、さっと拡大すると大男が本気で仰け反りながら驚く様を少し笑いながら眺める三南。
アナとシュエンも真剣に見ていたので龍神程ではないが驚いている。ちなみにシュエンは同じようなモノを三南が人類滅亡確認時に見ている筈だが、三南が確認したのは動く者が居ない動画やテレビばかりだったので絵を見ていると勘違いしていたようだ。
そしてすぐさま立ち直った龍神の示した場所は
「山梨の端? 今が東京だから……近すぎるな。 強化異人だと転移地点からココまで何分で踏破できるか大体でいいから教えてくれ」
かなり東京寄りの山梨県。これを近いか遠いか判断するには敵の移動速度が必須。
「10分は掛からねぇだろうな。 コレ翻訳出来てるか? 大丈夫だよなシュエン嬢ちゃん」
「はい。 翻訳というより意思疎通の魔法ですので龍神様が思って口に出した事を、三南さんに届く迄に理解できる言語に自動変換します。そこまでなら翻訳ですが、感情や音調など数十の判断材料を経ていますので齟齬は発生しないでしょう。」
「ならいいんだ、ありがとよ」
今更だが意思疎通に齟齬があれば拙い事になるので確認した龍神。
この情報は重要も重要なので認識の違いなど許されないが、説明を受けて大丈夫と判断した龍神。
三南も同じ意見だったのか頷いている、龍神と三南が頷いているのでアナも真似して頷いている。
「改めてありがとうなシュエン……しかし時速100どころじゃないな、300から400だけど想定するなら最低400で500は出せると考えて……一時間の余裕は欲しいな。 皆の攻撃での得意分野を教えてくれ」
大体の拠点候補を頭の中に浮かべながら問いかける、距離を確保出来たなら次はどうやって倒していくかだ。
「オレも眷属達も敵が移動中に攻撃するのは苦手だ。 得意なのは拠点防御しつつの殲滅、移動しながらは全部焼き払うなら別だな。 その場合逆に得意になる」
「アナ達は動いてるの得意、魔族は攻撃魔法が得意な種族。 武器は剣とか槍とか色々」
「私達エルフは魔法全般ですが、罠や精神に働きかける繊細なモノを特別に得手としています。 武器は弓を主としています」
次々に得意な攻撃を示す。三南のイメージと違わない答えだったが確認は必要だ。