♥ 瞳と瞳で通じ合う♪「 夏のホラー2020 」
◎ 「 瞳 」は「 め 」と読んでください。
久し振りに友人と会う事になった。
久し振りと言っても、半年振りなんだが……。
ぶっちゃけ、会いたくない。
友人──U太( 仮名 )にしよう。
U太はアイドルみたいにイケメンで無駄にキラキラしている男だ。
オレは見た目もパッとしない地味男。
U太の引き立て役にしかならない。
何故、U太はオレに会いたいのだろう?
24時間しかない貴重な時間を無駄に割いて、態々オレみないな地味男と会って、U太に何のメリットがあるんだろうか。
うん、分からん。
U太との待ち合わせしているのは、駅の改札口を通って直ぐの待合室の中だ。
何で駅の中なんだ?
何処かへ行く予定でもあるのか?
用事の序でに近くに住んでるオレを態々呼び出したのか?
幾ら最寄り駅だからって、自転車で15分も掛かる距離なんだが!!
外は炎天下で暑いし、オレの背中は汗でビショビショなんだが!!
…………嫌がらせじゃないよなぁ?
…………いや、有り得る??
何処へ行くつもりなのか知らないが、オレは持参したタスポを改札口にタッチした。
改札口を通り、待合室へ向かう。
自動でドアが開くと、涼しい風がオレを出迎えてくれる。
待合室の中に入るとクーラーの風が効いていて、すっずすぃ〜〜〜い♪♪♪♪
生き返るぅ~~~~♪♪♪♪
此処は天国だ!
楽園だな!!
U太は未だ来てないみたいだから、U太が来る迄は涼みながら待たせてもらおう。
オレは備え付けられているベンチに腰を下ろして座った。
────ハッ……。
いけない!
すっかり爆睡してしまったみたいだ!
U太は…………。
「 ──あっ、起きた?
御早う? 」
「 『 御早う 』じゃないわ!
来たなら起こせよ! 」
「 ごめん…。
あまりにも気持ち良さそうに眠っていたから…。
起きるまで待っていたかったんだ(////)」
何故、頬を染めるんだ?
照れた顔して、サラサラな髪を掻き上げながら言わないでほしい。
「 ──で?
オレに『 会いたい 』って言ってたけど、何? 」
「 ……うん(////)
内容が内容だからね…相談の出来る相手が閠也しか居ないと思って…… 」
「 オレじゃないと駄目なのかよ? 」
「 うん、駄目なんだ… 」
「 …………どんな事だよ?
取り敢えず聞いてやるから話してみろよ 」
「 うん…。
有り難う、閠也…(////)」
頼むから一々、顔を赤らめないでくれ!
「 実はね……。
2ヵ月前からなんだけど……。
誰かに見られているような気配を感じるんだよね… 」
「 よぉ〜し、先ずは1発殴らせろ! 」
「 えぇっ?!
どうして殴られないといけないのさ? 」
「 お前さぁ…、自分の顔を鏡で見てるだろ!
お前のモテ自慢を聞かせる為に態々オレを呼び付けたのか?!
このド暑い炎天下の中、オレにチャリを漕がせやがって! 」
「 ち、違うよっ!
誤解だよ!
モテ自慢じゃないから!
全然違うからっ!! 」
「 ほ〜う、モテ自慢ではないと?
じゃあ、何自慢だよ! 」
「 自慢じゃないよ…。
困ってるんだ…。
毎日じゃないんだけど…誰かの……いや、何かの視線を感じてて……。
まるで…監視されてるみたいで……気味が悪いんだ… 」
「 やっぱモテ自慢じゃないか! 」
「 違うから!
誰も居ないのに視線を感じるんだ!
僕は1人暮らしだから、誰かの視線を感じるなんて有り得ないんだよ 」
「 …………盗聴だの盗撮だのされるんじゃないのか?
お前、アイドル並みにイケメンだからさ。
お前を狙ってる女が、勝手に合鍵でも作って部屋の中に仕込んでんじゃないのかよ?
天井の上に隠れ住んでたり、ベッドの下に潜んでたりな!
天井や壁に穴とか空いてないか確認した方がいいんじゃないのか?
今時のストーカーはおっかないらしいからな。
部屋に女でも連れ込んでみろよ。
滅多刺しにされるかもな〜〜〜 」
「 真面目に聞いて!
…………オカルトとか怪しい分野に閠也は詳しいだろ? 」
「 怪しい分野って…… 」
「 閠也の立ち上げてるサイト、見てるよ。
色んな相談に乗ってて、アドバイスもしてるよね…。
直接会って相談したかったんだ… 」
「 マジかよ…。
何でオレのサイトを知ってるんだよ… 」
「 …………それはノーコメントでいいかな(////)」
何故、そこで恥ずかしそうにモジモジするんだよっ!!
「 だ…駄目かな?
相談……に乗ってもらえると助かるんだけど…… 」
「 分かったよ。
詳しく話してろよ? 」
「 ──有り難う!
閠也っ(////)」
おぃーーーーっ!!
抱き付くなーー!!
オレはホモじゃないぞ!!
「 人目があるんだから、抱き付くな!
白い目で見られるオレの身にもなれ! 」
「 ご、ごめん…。
嬉しくて…つい…(////)」
親切で優しいオレはU太の話を聞いてやる事にした。
U太の話を聞き終えたオレ、U太にアドバイスをした。
何が起きても「 決して目を合わせるな! 」ってな。
U太があまりにもごねるもんだから、今からU太の家へ向かう事になった。
オレは除霊師じゃないんだぞ!
U太はプラットホームに設置されているベンチに座っている。
オレは冷たい飲み物が欲しくて自動販売機の前に立っていた。
「 ──おい、お前も何か飲むか? 」
U太の方を向いて、U太に声を掛けると、U太は立ち上がっていた。
「 U太?
どうした? 」
「 ……………………どうしよう……閠也…… 」
「 何がだよ? 」
「 合っちゃった… 」
「 何と? 」
「 ………………目…… 」
「 はぁ?
目ぇ?
何言って── 」
「 行かなきゃ!! 」
「 は?
おい、どうした?! 」
「 閠也……好きだよ… 」
「 はぁ? 」
「 何言ってんだ?! 」って言葉を掛ける前にU太は線路に向かって走り出した。
電車がホームに入って来る。
ジャストミートって言うのか?
突然線路に飛び込んだ閠也の身体は電車の先頭にぶつかると────。
オレは一体何を見せられたんだろう?
目の前でU太がホームに入って来た電車の前に飛び込んで、電車の先頭にぶつかって、飛ばされたように見えたけど……。
「 目が合った 」って何とだよ?
「 行かなきゃ!! 」って何処にだよ??
…………プラットホームは騒然となっていた。
そりゃそうだよな。
人が1人、ホームに飛び込んだんだから──。
「 いらっしゃ〜〜〜い 」
誰かの嬉しそうな囁きが聞こえた──ような気がした。
空耳だろうか?
………………空耳だと思いたい。
U太は連れて逝かれてしまったのだろうか……。
◎ 線路に飛び込まないでください。