苦い苦い珈琲
郊外の喫茶店で、俺は、幼馴染と、もう一人の勇者と珈琲を飲んでいた。
この国には勇者が二人いる。
この世界には三十二人の勇者がいる。もっとも総数は今一よく分かっていないようだけど。
ともかく、目の前にいる男は、この国のもう一人の勇者だ。
この勇者……いや、俺も勇者だからここは先輩と呼ぼう———先輩は、30代前半くらいのどこか暗い影を落としている男だった。無精ひげを生やした口元や、片目が隠れるほど伸びた髪は、どこか不潔感があったが、それが逆に彼の空気と合っていた。
そしてその風采のせいか、年以上に老けて見えてしまい、だからこそ彼の話を聞く時は祖父の話を聞く時と同じように、背筋を伸ばして聞いてしまう。
「別によ、元の世界に未練はなかったんだよ。だがなぁ、どうしても……どうしても、―――和食が食べたくなるなぁ。」
もっとも、話題は非常にライトもいいとこだ。
「もう一生食べられないと思うと、ちっと悲しいよなぁ。」
「あぁ~。分かります!」
「酒も、エールやワインっぽいやつなら結構あるんだけどよ。日本酒っぽいやつがほんと無いんだ。」
「へ~。」
「かぁなしいよなぁ。刺身を一切れ食べて、そのままくいっといくんだ。そしたら日本酒のとろっとしたのが、魚の甘味を包んで……。あ゛ぁ~、ぴりっと辛い日本酒のみてぇなぁ。はぁ……。」
どうやら彼はのんべぇだったらしい。
この世界で日本の話をできるのはとても貴重なことだが、生憎、俺は彼に聞きたいことがたくさんあった。
適当に相槌し、話をひと段落させてから聞く。
「ところで、先輩先輩。この子……幼馴染は、勇者じゃないんですか?」
隣にいた幼馴染をびしっと指す。彼女の肩がぴょいっと上がった。
「ん~? ちげぇな。」
「なんで分かるんですか?」
「勇者独特の雰囲気っていうのが無いからな。それに魔術師一人が連れてこられる勇者は一人って決まっているんだ。」
「なるほど。じゃあなんで、彼女は連れてこられたんですか?」
俺が一番聞きたかったことだ。
「そりゃ、その可愛い子ちゃんがお前さんの未練だったんじゃねーかな。」
「未練?」
先輩は煙草をくゆらせながら答えた。日本じゃ未成年者の前で煙草を吸うなんてマナー違反だが、ここじゃそんなものはない。郷に入れば郷に従え、それはどこへ行っても役に立つ、世界共通どころか異世界でさえ通ずる処世術だ。元日本人同士であろうと、それは同じ筈。彼とのつながりを断たないためにも、彼女のほうへ煙がむかないように窓を開けるにとどめる。
先輩は言葉をつづけた。
「こりゃ勇者内だけの話だけどよぉ。勇者がこの世界に連れてこられる時、元の世界で一番心残りであるものを一つ持ってるんだ。」
「へぇ~。」
「ある勇者は仕事が心残りだったか知らんが、書類の束持ってきたやつもいたぜ? ありゃ正直笑っちまった。他にも、両親の形見だったり、お金だったり、ゲームだったり。最近だとスマホが多いかな……。あぁ~そういやアダルトビデオ持ってきたやつもいたなぁ。」
「……なるほど。それで俺の一番の未練は、彼女だったわけですか。」
幼馴染は「て、照れるわね!」と、顔を赤くしていた。……やっぱりかわいいなぁ。それと同時に申し訳なくなる。
俺のせいで、彼女はこの世界にきてしまったわけだ。
……絶対、元の世界へ戻る道を探ろう。せめて彼女だけでも、元の世界へ。
「念押ししとくが、これほんと、この世界の人間には言うなよ?」
「なんでですか?」
「要はそういった未練は、その勇者にとって一番大切な物のわけだ。この世界のやつらは、基本的に俺たちに対して優しいが、それは俺たちを操る術がないからであって……。」
「あっ……つまり、その未練である物を使って脅して、操られる可能性もあるってことですか!」
「そういうこった。もっとも大概の未練はくだらねぇものだから、意味ねぇけどな。」
確かに仕事の書類は意味をなさないだろうが、幼馴染を人質にとられ、それが救出不可能な状況なら、俺はきっと何でも従うしかなくなってしまうだろう。
「まぁ安心しろ。この世界は色々、勇者にやさしい仕組みになってんだ。だからめったなことじゃ、勇者を脅すなんて馬鹿な事しでかすこたぁねぇし、できねぇよ。」
確かに、勇者と勇者に連れてこられた人以外は迷う通称迷いの森とか、勇者の持っている圧倒的な能力とか、病気知らずの身体とか、ちょっと小細工すれば不老不死になれるとか、勇者の特典は満載だ。
まるで神様が、無理やり連れてきたのを詫びているようにも思えるほどに勇者に有利な世界。正直今まで、勇者によって滅ぼされてないことのほうが不思議。だからこそ、この世界の国々は勇者を核兵器のように扱っている節がある。意思がある分、核兵器よりもよっぽど危険だと思うけど。
あぁちなみに俺の能力は“時間”に関することだ。
色々なことができるが、一番便利だなと思うのが『時を止めること』ができることだ。これだけで、どれだけ強力かつ横暴な能力かわかってもらえるだろう。まぁもっとも一日に一回しか使えない制限付きだが。
そうはいっても強力も強力。さらにできるのはこれだけでは無いというのだから、驚きの一言しか出ない。
そう、俺の能力のもう一つは―――『時を巻き戻す』ことができることだ。
これは時を止めることより制限が強く、仕えるのは人生で一度だけ。だけど、全ての失敗をやり直せる。
それが、どれだけ強力か、考えただけで身震いする。
恐らくあの黒マントが「一から」言っていたのは、このことじゃないだろうか。もっとも何故あの人が僕の能力を知っていたのかは謎のままだが。
僕の能力は、幼馴染と、友人3人と、それから先輩にしか言ったことがないし、そもそも時を巻き戻すことが出来ること自体は誰にも言っていない。
先輩の能力も、どのようなものは教えてくれなかったが、「勇者が俺一人なら、世界滅ぼせるほどには強い。」と言っていたので、俺と同じくらい強いのだと思う。
恐らく勇者全員がこのレベル。
「にしても、よく、この世界滅んでないですね……。」
僕の言葉に、幼馴染もうんうんとうなずいている。
「勇者がみんなこの人みたいなら、とっても納得できるけれど……。先輩のような勇者もいるのだから、そうじゃないみたいですね! だから不思議です!」と、ニコニコ幼馴染。
「お嬢ちゃん喧嘩売ってる?」
「あら、悪口じゃないですよ! まだお会いして間もないですけれど、先輩が悪い人でないことは分かります。」
「……。」
「でも、この人と違って先輩は、……うーん、……なんて表現したらいいかなぁ。そうね……私側の、弱い人間でしょう! 弱い人間は、時々世界を滅ぼしたくなるのです!」
「なんだそりゃ。」
「だから、今まで世界が滅んでないのは、きっと天の思し召しですね!」
「変な嬢ちゃんだ。ちなみに俺は、世界が滅んでないのは別の要因があると思うがな。」
なんだか幼馴染が妙なことを言っている。
珍しいこともあるもんだ。いや、時々おかしなことを言うのは平常運転か。まぁでも、どんな幼馴染も可愛いなぁ。
そう思いながらずるるると珈琲をすすっていると、窓の外には乞食の姿が見えた。この国……というか、この世界では珍しくもない。文明レベルも、元の世界ほど進んでいないせいか、それとも魔物の存在のせいか、非常に貧困者が多い。
王城の周りは煌びやかでも、一歩外に出ればこれだ。
日本にいたころには縁遠かった闇が、この世界ではよく見える。けれど忘れちゃいけない、あの世界でもこんな現実はあったのだ。
乞食はあぐらの姿勢で、頭を地面にこすりつけていた。声は上手く聞こえない。何も言っていないのかもしれない。彼は時々通行人に蹴られたり、罵声をあびせられたりしながらも絶対にそこを動こうとはしていなかった。当たり前か、命がかかっているんだ。
手足は痩せ細り、お腹だけがポッコリ出て、窪んだ目がギラギラと鈍く輝いている。
「……。」
時間を止めて、窓を開けて彼の前へ、珈琲代を抜いたお金を置く。
先輩は、「お前さん優しいなぁ」とキセルを口に含んだ。
「やめてください。ただの偽善です。」
「そんでも、なんもしなかった俺よか、よっぽど優しいだろうよォ。……お前さん、モテたろ?」
「へ? いやいや。」
あまり長い間時間を止めていても、他三十人の勇者に申し訳がないので、ほどほどにする。勇者に効果が無いのは、こういう時に不便だ。
一応、一度あいさつ代わりがてら「時々、時間止まったら俺のせいだから。すまん。」と言って謝罪してあるので、理解は得られているだろうが……それでもね。
とはいえ、いきなり勇者以外の人々のやる気がなくなったり、色んなものが宙を浮き出したりなど、他の勇者の能力の影響も受けることはわりと頻繁にあるので、お互い様かもしれない。
とにかく早急に、時間の流れを元に戻す。
「へ~。」
幼馴染も俺の能力の効果を受けていたはずなのに、すぐに俺が時間を止めたことに気づいたらしいく、乞食の前に置かれたお金を見てにやにやした。
対して乞食はあたりをキョロキョロ見渡して、もう一度地面を頭にこすりつけて、路地裏へ駆けて行った。
「やっぱ貴方は優しいわね!」
「……違うんだよ。」
幼馴染の純粋な笑顔に、思わず苦々しい表情になってしまう。
1か月くらい前だろうか。
確かに、初めて乞食を見たときは、何とかして助けようと思ったのは本当だ。彼は幼い少年で、先ほどの乞食と同じような格好をしていた。
ここでお金をあげても根本的な解決にならないことは明らかだったので、俺は彼に手を差し伸べてこう言った。
「ねぇ君、俺のとこ来ないか?」
勇者として国から支給されたものや、魔物や盗賊を倒したお金はかなりあった。1年くらいは豪遊できるくらいだ。慎ましく生きれば、その10倍は軽く持つ。俺の寝床は王城だったが、他に一つ家を持っていたし、そこで暮らしてもらえばいいかと思っていた。
つまり、一人や二人くらい助けられるだろう、と頭の中で算段していたわけだ。
「……。」
少年はしばらく無言だったが、やがて小さく「はい、だんなさま。」と言った。俺は頷き彼の小さな手を握った。
すると突然、路地裏から、次々と痩せ細った少年少女たちがわらわら出てきて、ゴボウのような手が何本も俺のズボンの裾を引っ張ったのだ。
「おじひ、ください、だんなさま。おじひ、ください、だんなさま。」と、呪文のように何度も言いながら。
そのうち二人の少年は、靴をなめ、一人は少女だったがその胸を俺の腕にあて、慣れたように甘えた声を出した。もう一人の少女は、俺の男根を捕食するように掴んでいる。
他の子供たちも俺の足元に集まりながら、茶色く汚れた小さな手を伸ばした。
「おじひ、ください、だんなさま。おじひ、ください、だんなさま。」
「だんなさま、おじひ、ください。だんなさま……。」
子どもの数はどんどん増えていく。10人だと思ったのが、今では20人だ。いや、もう一人増えたか。とても片手間に養えきれる数ではない。
俺はそこで子どもたちに囲まれて、一歩たりとも動けなかった。
気づいたら腰にかけていたお金の入った袋はどっかいっていた。目の前の少年も俺の服の裾を持ち、媚びるようにこちらを見ていた。
窪んだ目が、無数にこちらを見ているような気がして思わずゾッとした。そして、そんな感情を抱いたことがとても申し訳なくなった。
「……ごめんね。」
その時は、どうしたんだったかな。あぁ、確か冒険者の友達がちょうど来て、俺を子どもたちの輪から連れ出してくれたんだった。
とても男勝りで、竹を割ったような性格の格好いい女冒険者だった。
「まったく、何やってんだか。あぁいう手合いのは、もっとこうバシッと断んなきゃ、あ~なるんだよ。」
「あぁ……うん、ごめん。」
「どうせ放っとけないとか思ってたんだろ?」
「ううん。ただ何もせずに見捨てるのは後味悪いな、って思っただけだよ。」
「よく言うよ。」
それから俺は、乞食を見るたびに、時間を止めてお金を渡している。それ以上はできないから、それ以上を求められないように逃げている。
一体これのどこが、優しいのか。きっと偽善者にも鼻で笑われてしまうような行為だ。
だがそんな事は露知らない先輩。
「謙遜すんなって。お前さんはすごいと思うぜ?」と言って、うんうん頷いている。俺の表情は非常に愉快なことになっているだろうが、彼は気づかない。
「だって、お前さん、孤児院にけぇっこう寄付してんだろ? それに、王にこういう子たちの保護を頼んだとも聞いてるぜ。」
「……。」
「さ、ら、に、いろんな人に呼び掛けて、子供の保護まで進めていると! くぅ~、格好いいねぇこの野郎! もはや聖人レベルじゃねぇか。」
「いや……そんなんじゃないんです。本当に。」
そもそも、乞食の前で珈琲飲んでいる人間が善人なわけないだろ。
罪悪感が、手前勝手な怒りへ変わってしまいそうになって、あわてておさえる。何も知らないくせに、なんて、何も言わない俺が言う権利はない。
色んな言葉や感情、脳裏に焼き付いた光景を押しつぶして飲み込んだ珈琲は、苦虫を磨り潰したジュースをすすっているような感覚を引き起こした。
◇
幼いころの話だ。
幼馴染と彼女に家で、テレビを見ていた。確かその頃はちょうど薄めのテレビが普及してきていた頃だったかな。俺の家より彼女の家のほうが先に、その薄くて綺麗で大きなテレビになっていた。
二人で、「おぉすごい」「綺麗ね!」なんて、はしゃぎあっていた。
テレビでは、あるドキュメンタリーがやっていた。詳しくは覚えていないが、タイトルは発展途上国のなんちゃらかんちゃら密着取材とかで、サブタイトルに悲惨なスラムの子供たちの現状みたいな感じで書いてあった。
そしてそこには、明日食べる食物にも困り、病にかかればすぐ死に、人としての尊厳が守られていない子供たちの姿が映っていた。
「ひどいね……。」
「うん……。」
すっかり、はしゃぐ気も失せて、それでもテレビを消す気にもなれず、二人で手をつなぎながらそのテレビを見ていた。
今にも死んでしまいそうな、同い年くらいの子どもを見ると、胸がきゅっと痛んだ。
「何で、こんな差があるんだろうね。同じ、人間なのにね。」
「ふしぎ。」
「どうにかしてあげられたらいいのに。」
テレビがCMに変わった瞬間、キッチンのほうから「ご飯できたわよ~!」と声がかかった。一気に現実に引き戻された感じがした。
そして、その日のご飯はなんだったかな。忘れちゃったけど、俺はそれを見て、「このおかずの一品でも、あの子たちに分けてあげられたらいいのに。」って言った覚えがある。
「ふふふ、送るまでに腐っちゃうわよ。」って、幼馴染のお母さんが笑った。
「そうねぇ、本当に助けてあげたいなら、募金するといいわ。」
「ここらへんに募金箱ある?」
「たくさんあるわよ。コンビニとかスーパーとか……。探してみなさい。」
その時の俺の所持金は、1200円ちょっとだったと思う。なんとかしてあげたい、なんて思っていた俺は、その日さっそく近くのマーケットの募金箱へお金を投じた。その額、500円。
あぁこれで少しは救われるかな、って俺は少しホッとした気持ちで寝床に付いた。
あの痩せ細った男の子にパンとチョコレートを、それから病気の女の子に薬と清潔なベッドを、やせ細ったおじいちゃんに温かい毛布を、みんなに綺麗な水を……。
あの画面越しの悲惨な映像に、少しでも救いが欲しかったのだ。
じゃないと、この胸の黒い靄が取れなくて、悲しいやら気持ち悪いやらで寝れもしない。
ベッドの上でゴロゴロしてしばらく、ふと、あれ? って思った。
俺は毎月お小遣いをもらっているけど、それは生活費じゃなく、遊ぶためのお金だ。なくたって普通に三食食べられるし、寝床も衣服も十分にある。学校も行けるし、身体だって毎日洗って清潔で、お風呂まで入れる。
現在の所持金である1200円。そのすべてを募金したって、生きるのに苦労はしない。だけど俺が募金したのはたったの500円。
俺って……もしかして、すごく酷い人間なんじゃないか。
だってこの豊かな国に生まれた俺も、貧しい国に生まれて今にも死にそうな彼らも、同じ人間だ。人間として産まれたからには、平等に幸せを貰うべきだ。産まれる所が違うだけで、不平等なのはおかしい。
だけど、実際は平等じゃないのは、さっきのテレビで知った。
知らなかったのなら、もしかしたらしょうがないのかもしれないけど、知ったからには、その不平等を直そうと努力しないのは最低だ。
なのに―――俺はケチッて、自分のちょっとした楽しみのために、700円も手元に残したのだ。
「あぁ……。」
その日は結局眠れなかった。
この話を分かりやすく例えるならこうだ。
砂漠に、今にも死にそうな人がいる。その人はもう水もなく、今にも枯れはててしまいそうだ。
男はそれを見てこう言ったんだ
「おぉおぉ可哀想に。」
男には大量の水と食料があった。それは次のオアシスへ着くまで好きなだけ食べて飲んでも、まだ余るくらい。だから水が無くて死にそうな誰かを助けても問題なく、その人一人分の飲食は十分賄える。
ただ流石に、好きなだけ水を飲むっていうのは、あきらめなくてはならないだろう。
この男は最低だろうか。きっと最低で下劣で、自分のことしか考えられない糞野郎だと思う。誰だって思うだろう。
でも俺は彼を責めることができない。
だってこの男と俺は、全く同じことをしたんだ。
少しだけ楽しく、快適に過ごすために、人を見殺しにしたのだ。
あぁなんて浅ましい男なのか! かてて加えて、罪悪感を覚えないように、自分が善人面できるように、水一滴程度を、死にかけている人の口元へ入れた。「ちょっとでも長生きできるといいね~。」なんて、ふざけてやがる。
いっそないほうがいいほどの醜い善行は、ただ自分の罪悪感から目をそらすために行われたにすぎない。
あぁ、自分が優しい人間だなんて思ったことは一度もなかったけど、こんな下種野郎だったなんて……。
自分の周りの人は、幸せになると自分も嬉しいから親切にするだけ。だから自分の周りにいない人が幸せであろうと、不幸であろうと、知ったことではないって?
その不幸な人たちが、現実にいると知っていてなお、自分のささいな娯楽をとったということは、そういうことなのだろう。
もう、何ていうか、すごく利己的で気持ちが悪い人間だ俺。恐ろしくもある。
そのころから、人に「優しいね。」「親切だね。」なんて言われるのが怖くなった。