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第16話 ほんとに未経験OKのお仕事?

「それで、ロエルの本当の仕事っていうのは?」


 ロエルは彼の自室にいる私に向かって、質問の答えを教えてくれた。


「トレジャーハンターだ」


 ……トレジャーハンター……。

 これまたファンタジー世界っぽい職業だ。

 でも、どうして本業はトレジャーハンターなのに、表向きは『王立魔術研究所に所属する魔術師』って、ことになってるんだろう。


 そして、それよりもまず!


 異世界トリップしてまだ24時間もたっていないうちから、私はトレジャーハンターの助手になってみないか? って、トレジャーハンターであるロエル本人からスカウトを受けているという状況なのだけど……。


 うーん。

 私がやってきた21世紀の地球にだってトレジャーハンターは実在する。映画や漫画や小説などフィクションの中だけのお仕事ってわけじゃない。

 本業は別にある人はもちろん、トレジャーハントの仕事のみしているプロのトレジャーハンターや株式会社が企業としてトレジャーハントをおこなうケースだって、海外には存在するって聞いたこともある。


 でも、私、睦月 唯花は24年間、トレジャーハントとはまったく無縁の生活を送ってきたんだよ。トレジャーハントをモチーフにしたゲームすら未経験だ。

 それなのになぜ、ロエルは私に助手にならないかって言ってきたの?


「ロエル……私、トレジャーハンターの助手をした経験はないんだけど」


「かまわない」


 ロエルは、彼の正面に立っている私に、りりしい表情でキッパリと言いきった。

 ……いや、たとえロエルがかまわなくても……。


 私がかまうというか。トレジャーハンター、しかもこの、昔のヨーロッパっぽい異世界でのトレジャーハンターって、なかなかに危険なのでは?

 仮に私がロエルの新人助手になったとして、助手である私のミスでロエルにだって危険がおよぶかもしれないし。


 なんで、ロエルはトレジャーハンターの助手が私につとまると思っているんだろう。


(……あ! もしかして)


 私は、ロエルが かつて私と同じ世界からやってきた人と会ったことがあるって話してくれたことを思いだした。


 たとえばの話だけど。

 現代の地球のトレジャーハンターたちが秘境にたどりつき、古代の財宝をみつけた途端、財宝が持つ神秘の力で、あたりがペカーッと光り、なぜか異世界トリップ。この世界に飛ばされてしまった……、なんてことがあったとして。(ほら、不思議なアイテムをみつけて別の世界へ行くなんて、異世界トリップものの王道なハラハラドキドキな展開が期待できそうだし!)


 トレジャーハンターたちは、この世界のトレジャーハンターであるロエルと出会い、一時期行動をともにする。

 それで、ロエルにとって地球人というものは、『たとえ実務経験がなくても、皆がトレジャーハントの知識や心得がある種族』――って思いこんでる……とか。


 答えが気になった私は、ロエルに聞いてみた。


「ロエルが私に助手にならないかって言った理由。よかったら教えて」


「理由?」


 私の質問はロエルには少し意外だったのだろうか。一瞬目を大きく見開いてから言葉を続けた。


「きみは信用できる人間だと直感したからだ。それに、きみはこことは違う世界からやってきた。このふたつだけでもオレにとっては充分な理由だ」


「ロエル……」


 信用できる人間だと直感したと言われるのは、もちろん悪い気はしない。

 でも、やっぱりロエルは『こことは違う世界からやってきた』を理由にあげてきた。


 今回は(今回こそ)私の予想もいい線いってるってこと?

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