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MONSTERS

作者: 津辻真咲
掲載日:2018/10/30


「!」

城嶋陽介じょうじま ようすけは何者かに首を絞められた。城嶋陽介は苦しむ。そして、バタンッと地面へと倒れた。

ヒュゥゥゥ……と風と共に犯人は去って行った。



西暦2060年。

日本領土が完全に管理され、山奥まで監視体制が行き届いた時代。日本は監視社会となった。そんな中、妖怪たちは行き場を失っていた。


「人類は我々を侵略してきた!! 今こそ復讐の時!!」

おさ黒闇くろやみの声に部下の妖怪たちは雄たけびをあげた。


日本は監視社会になったが、そのため妖怪たちの行き場を奪っていた。

妖怪たちの一部は人類が妖怪を侵略して来たと誤解し、人を襲うものもいた。



「只今、速報が入りました。妖怪と警官隊が衝突しました」

「……」

城嶋洋子じょうじま ようこは黙ってテレビのニュースを見ていた。城嶋洋子は朝食を食べ終えると、カバンを持ち、玄関へと急いだ。

「気を付けてね」」

「いってきます」

「いってらっしゃい」

母に見送られ、城嶋洋子は高校へと急いだ。



城嶋洋子は少し小走りで、歩道を進む。すると、漆黒の羽に怪我を負った鴉天狗の黒風くろかぜを見つけた。

「あなたは、妖怪……」

「だったら何だ!! 警察に突き出すならそうしろよ!!」

すると、城嶋洋子はカバンから携帯電話を取り出し、操作する。

ピピピッと音が鳴り、親友の保科星奈ほしな ほしなに電話がつながった。

「もしもし? 星奈? 私、洋子。今目の前に怪我をしている人がいるの。うん、分かった。ありがとう」

ピッという音と共に、電話が切れた。

「どういう風の吹き回しだ!?」

「神様っていると思う?」

城嶋洋子は唐突に尋ねた。

「何だよ!?」

「私はいないと思う」

城嶋洋子は真っ直ぐな瞳で彼を見た。

「……」

その城嶋洋子の瞳に、黒風は圧倒され、何も言えなかった。すると、バラバラバラとヘリコプターの音が聞こえて来た。そして、強い風が二人を襲った。

「洋子っち!! 迎えに来たよー!!」

保科星奈、16歳。祖父は科学者で研究所を経営している。

「な、何だよ!? これ!?」

「ドクター・ヘリで来たよー!!」


「星奈、ありがとう」

着陸したヘリから降りて来た保科星奈に城嶋洋子はお礼を言った。

「洋子っちのお願いなら、何でも聞いちゃうもん。だって、私の初めての親友だもの」

二人は微笑み合った。



保科星奈の祖父の研究所。そこで、黒風は治療を拒んでいた。

「離せ!! 俺は洗脳なんかされないぞ!!」

「ちょっと!! そこのあなた!! 洋子っちのお気に入りだからって、調子乗り過ぎよ!!」

「お前らなんかに助けてもらうなんてお断りだ!!」

「仕方ない。クロロホルムだ」

保科星奈がそう言うと、研究者の男性は黒風にクロロホルムをかがせた。すると、黒風は気を失い、倒れた。



治療後、黒風は目を覚ました。彼は治療がしてあるのに気付いた。

「気分はどう?」

城嶋洋子だった。ずっと、治療が終わってからも、黒風に付き添っていたのだった。

「最悪に決まってるだろ」

「それじゃ、先生呼んで来るわね」

「おい、待てよ。何で助けた? 俺は人類の敵なんだぞ」

「情けは人のためならず。古い意味の方で解釈してもらえれば、結構。それでは、失礼」

城嶋洋子は病室を去ろうとする。

「おい、待て」

「何?」

城嶋洋子は振り返る。

「あの時の、〈神〉がいるかどうかって、何で聞いたんだ?」

すると、城嶋洋子は微笑んだ。

「神様は乗り越えられる試練しか与えないって言うけど、試練を乗り越えた者しかいないからそういう言葉が出来たんじゃないかなって思うの。だからだよ?」

「そうか」

黒風は黙ってしまった。



黒風は白い天井を見上げて、ベッドに横たわっていた。

すると、数分後。保科星奈は医師を引き連れて、黒風の病室へ入って来た。

「Hello-!! 診察です!!」

数分後。

「包帯が取れるまで安静にしてて下さい」

医師はそう言った。

「と、言う事で、分かった?」

保科星奈は笑顔で確認する。

「なぁ」

黒風は少し暗い表情をしていた。

「ん? 何?」

保科星奈は黒風の方へ視線をやる。

「なんで、あいつは敵なんかの俺を助けたんだ?」

黒風は尋ねた。

「知りたいの?」

「あぁ」

すると、保科星奈は答えた。

「たぶん、この戦争で傷付く人が増えるのを止めたかったんじゃないかな。洋子っちのお父さんは一反木綿に首を絞められて、殺されたから」

「!?」

「この戦争が始まったきっかけである最初の事件よ」

「!? そんな話聞いた事な……。まさか、あの時の……」

「何!? 教えなさいー!!」

保科星奈は黒風に掴みかかる。

「この戦争が始まる前日、一反木綿が言ってたんだ。突風にあおられて、何かに体が巻きついて大変だったと!!」

ガシャン!!と背後で音がした。黒風と保科星奈は振り返る。すると。

「それ本当なの?」

城嶋洋子が涙を流して、立っていた。

「ただの勘違いだったって言うのか。それじゃ、人類が攻撃して来たのは、この事件のせいか、一体何だよ!!」

黒風は拳を握った。

「……」

保科星奈は黙っていた。

「なぁ、俺の仲間たちは……」

「今、この研究所へ君を取り返しに来るみたいだよ?」

……。

「えー!?」

「星奈!?」

黒風と城嶋洋子の二人は驚いた。

「だって、〈監視システムネットワーク〉通称〈All Net〉はうちの研究所が本部だもん!!」保科星奈はピースサインをする。

「それじゃ、あの変な飛行物体は!?」

「あれは、ドローンだよ」

保科星奈はイェイ!!と小さくジャンプする。

「そのシステムにより、全日本の領土の監視化が実現したの」

「そう言う事!!」

保科星奈は再び、ピースサイン。

「そうか。そういう事でこんな事に……」

黒風は下を向いた。



すると、辺りに轟音が響いた。

「何!?」

「南棟から出火しました。ただちに非難して下さい」

館内アナウンスが流れた。

「とうとう来たみたいだね」

「みんな外へ!! もう!! おいてっちゃうよぉー!!」

保科星奈は叫んだ。

「分かっていたなら対策ぐらい打っていそうだが」

黒風は少し疑問に思っていた。



城嶋洋子と黒風、保科星奈は外に出た。すると、外にはたくさんの鴉天狗と松明丸が。

「黒風!! 今助けに行くからな、そこに居ろ!!」

黒闇が叫んだ。

「俺を助けに来たんだ。このまま、この建物ごと松明丸の業火に焼かれる!!」

「何!! ふざけんな!! 何とかしろよー!!」

保科星奈は黒風に食ってかかる。

「何とかって……」

「今さっきあった事を全て話せばいいのでは?」

城嶋洋子が冷静に答えた。

「そっか!! だったら、これを使って!!」

保科星奈は小型拡声器を黒風に手渡した。すると、再び轟音が響いた。

三人は振り返る。すると。

「研究所が……!!」

研究所が業火に燃えていた。

――挟み撃ち。

黒風は焦った。すると。

ゴォォォという音と共に研究所の外壁の一部が崩れて来た。

「逃げて!!」

城嶋洋子は黒風をかばい、研究所の外壁の下敷きになってしまった。

「!!」

「洋子っち!!」

保科星奈は彼女に駆け寄る。すると、黒闇は部下の妖怪たちをあおる。

「皆!! 神は必ず我々に味方する!! 我々の聖域を奪った人類を許すな!!」

――何が神だ!!

ふぅぅぅー!!

黒風は炎を吹く。そして。

「黒風!! 何をしている!?」

黒闇は彼の行動を叱責した。しかし。

「少しだけ黙ってて下さい!!」

彼は言う事を聞かない。

「行け!! 黒松明丸!!」

黒松明丸は松明丸に突進して行く。そして、松明丸を打ち消し、消えていった。

「……」

黒風は力尽き倒れた。



通学路。

城嶋洋子は鴉とねこじゃらしで、遊ぼうとしていた。

ひょいひょい……。

「俺らは、そんなの好きじゃないぞ」

「?」

城嶋洋子は振り返った。

「あ」

「……」

そこには黒風が立っていた。黒風も城嶋洋子も一命を取り止め、怪我も治っていた。

「良かったね?」

城嶋洋子は微笑んだ。

「え? って……ちが。ま、そうかも、いや、そうだけども」

「?」

城嶋洋子はきょとんとする。

「俺は、平気だったんだけど、お前の方は?」

黒風は顔を上げる。すると、城嶋洋子は笑顔だった。

……。

「あぁー!!」

すると、背後から保科星奈の大きな声が聞こえて来た。

「もー!! 洋子っちの〈一番〉の〈親友〉は私ね!!」

「……はい」

黒風は保科星奈に圧倒される。そして、それを見ていた城嶋洋子は笑顔になった。



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